64 幸福のジャラン・マリオボロ(インドネシア)
バリ島の一大祭事ニュピの間、避難のつもりでジャワ島のジョグジャカルタを訪れた。デンパサールからの長距離バスでバリの西の端へ。港からバスごとフェリーで海を渡ってジャワに上陸、さらに西へ西へ、そしてジョグジャカルタ。
ボロブドゥール遺跡に近い町としか知らなかったのだけど、バスで降り立った瞬間から魅了された。なんだこれ。東南アジア果汁濃縮還元みたいな、明るい混沌の街。
メインストリートのジャラン・マリオボロ(マリオボロ通り)は南北に伸びて全長(体感)2kmほどで、西側、東側それぞれに商店やスーパーマーケット、お土産屋等々がみっしり並んでいる。
ちょっと高級なスーパーやショッピングモールもあるし、お手頃価格のラマヤナ衣料デパート、ローカル市場等々、毎日毎日、1日に何度往復しても飽きないぐらい、楽しいとしか言いようがないマリオボロ通りである。
宿もよかった。
バリで知り合った人に勧められた HOTEL INDONESIA は「地球の歩き方」で
” バックパッカーの溜まり場 "的に紹介されているが古い情報だった。泊まっていたのは地元ミュージシャン(自称)や中国人ビジネスマン、謎のフィリピン人などなど。
が、これがめちゃくちゃいい宿でね、思い出の宿シリーズは一旦前回で終わってるけど、インドネシアではここHOTEL INDONESIA も外せない。
とにかくスタッフが心強くも微笑ましい。全員、おじさん。
で、胸ポケットにHOTEL INDONESIA と刺繍のある制服を着ている。8時だよ全員集合!で育った世代(古くてすんません)としては、インドネシアのドリフターズに見える。
マリオボロ通り北端の路地を入ったところにあってとっても静か。コの字型の2回建てで中庭があり、風通しがいい。部屋も広くてきれい。ドリフは皆親切。
いやあいずれまたぜったい来ようと思いながらバリに帰ったのが1回目の訪ジョグジャ。
2回目は、その数年後、バンコクからジャカルタへ飛び、ジャカルタから列車でバンドンへ寄って、バンドンからバスで向かった。
バスは騙されて、ダイレクトと聞いたのにローカルだった。人生を諦めたかのような低速の各停。朝早く出て、着いたのは夜の9時過ぎだった。
でも不思議とまったく不安を感じさせないのがジョグジャカルタ。バスの車掌が客待ちのベモ(人力自転車)に話をつけてくれて、HOTEL INDONESIA まですいすい運んでもらった。
ホテルに着くとドリフの一人が「ん?前に来たよね?」と覚えていてくれた。「料金値上がりしてるよ、悪いね」と笑いながら部屋に案内してくれて無事にチェックイン。
ちなみに前回は22,000ルピア、今回27,000ルピアだったけど満足です。
2回目のジョグジャも前回同様、めちゃくちゃに陽気で楽しかった。
ボロブドゥール遺跡や動物園なんかにも行ってそれはそれで良かったけど、やっぱりマリオボロ通りがいちばん好きだ。
どれぐらい好きかというと、端から端までどんな店があるか、日記帳にメモしながら歩くぐらい好きだ。1日では出来上がらず、何日かかけて書き込んだ。
以下、真ん中の空白は道路部分。今は変わってるかもしれないけど、当時は中央分離帯があり、片側2車線だけどバイクとかベモとか停まってて実質1車線、みたいな感じだったと記憶する。
そして、マリオボロ通りの魅力をずずんと底上げしているのが、ジョグジャピープルの人なつっこさ。
笑顔という言葉はあんまり好きじゃなく、殊に " 旅先で出会った笑顔 " なんてフレーズを目にすると、あ〜は〜なのだけど、ジョグジャカルタは笑顔にやられる。
ああジョグジャカルタ。
こんなに好きな街に出会えて、旅人わたくしは幸せ者だ。
次のエピソードへつづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?