拝啓、憎くて仕方なかった奨学金へ
奨学金という名の借金を背負って大人になってしまった。
そしてその返済は今も終わっていない。
そこに対する絶望というよりかは、過去の学歴を消してしまいたいという気持ちの方が、私は大きい。
将来をきちんと考えずに"夢を叶えたい!"みたいなおちゃらけた気持ちで専門学校に入り、いとも簡単に大卒カードを捨てたこと。
自分のことなのに、よく考えなかったこと。
専門学校で取った資格はどう考えても適正のない職業だったこと。
本当は語学系の大学に行ってみたいという気持ちもあったのに、親の「やめときな」の一言でその選択肢を捨てたこと。
現職での転職活動の際、大卒以上の求人を何度も目にしたこと。
何でも学べる若い時期を、必要のない資格勉強に費やしてしまったこと。
それらの罪は、確実に罰として私の人生の足枷になっている。
やり直しが効かない人生なのに、考えなしな選択をして、私は私のことを大事にできなかった。
毎月奨学金が引き落とされるたび「ああ、これがよく考えずに将来を決めたことへの罰なんだな」と思ってしまう。
高校生の自分に戻って、進路選択を提出したあとに「やっぱり辞めます!」と職員室に走り出す夢を見たこともあった。
そのくらい、私は学歴コンプレックスと呼ぶにはあまりにも執念深い後悔の念を抱いていた。
それでも運良く20代後半で夢中になれる仕事を見つけられて、だいぶ苦しむ時間は減った。
大学だろうが別の専門学校を出ようが、最終的に今の仕事に辿り着いていたと思うから。
きっと、かなり遠回りしただけで結果は同じだった。
そう思うと、少しだけ心が楽になる。
自分のケツは、自分で拭く。
だから私は返済し切るまで、過去の行いのツケを払い続けようと思う。
その頃には、最終学歴なんて気にならなくなるくらい、もっと仕事に熱中できていたらいいな。