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年の瀬がくる
ぐちゃぐちゃの残飯みたいな心持ちあなたのいない年の瀬が来る/ぐりこ
11月の半ばに現在の場所に事務所が移転した。
そして一ヶ月も経っていないのにLEDの照明が一箇所点かなくなった。
なんでやねん。
原状回復したんとちゃうんかい。
何度か点灯消灯を繰り返してみたけれど点かないものは点かない。
よく見れば他の照明器具とそこだけ種類が違う。
幸い仕事をするスペースにあまり関係のない場所ではあるものの、事務所のドアを開けたら薄暗い、というのもあまり良いことではない。
来客がほとんどなく、宅配便も年に数えるくらいしかこない我が職場であっても同じである。
仕方なく高いところ作業用の三段ステップを出してきて点かなくなった照明を外してみようと試みたが、点灯パーツと思しきところがびくともしない。
うおお、なんだこれ。
どうやって外すのこれ。
しばらくステップの最上段でじたばたしてみたもの、高所恐怖症が頭をもたげてきたので一旦地面に降りて冷静になることにした。
照明の基盤の端にシールが貼ってあるのでそれでメーカーや品番や製造年を確認して検索すれば電気業者向けの設置説明書のPDFくらいはあるだろうと思い、ステップの最上段で恐怖と戦いながらスマホでそれを撮影した。
結果、ちゃんとPDFはあったが点灯パーツを取り外すのは割と困難なミッションであった。
6箇所の差し込み口に直径2.5mmくらいの棒状のものを差し込んでロックを解除し、電源コネクタを外し、吊り下げ金具から鎖を外す、この一連の作業をステップ最上段から手がギリギリ届くくらいでやらなくてはいけないのだ。
ああ、あと5センチ身長が欲しい。
この時ほど痛切に思ったことはない。
再度じたばたと作業をして取り外した点灯ユニットは10年前の製品で現在製造終了となっており現行品では代替になる相当品もない、ということが判明。
念の為、メーカーに問い合わせても同様の返事がかえってきた。
そもそもLEDの電球というものは劣化して照度が落ちたとしてもまったく光らないということはないらしい。なので点灯しないのは安定器などの装置側の寿命なので交換工事しかないです、とのことだった。
仕方なく管理会社に電話をして照明を取り替えてもらえるように依頼した。
この年の瀬にすぐ電気工事の業者がつかまえられるとは思えず、しかも部材もすぐに入荷するかどうかもわからない。
おまけに仕事は山積みで、胃の内視鏡検査も受けなければならず、会社のPCの交換作業も年内に終わらせなければならない。
さらに他拠点のベテランの女性が半月板を損傷したとかで出社してこれないらしく、月末の処理に暗雲が立ち込めている。
ぐちゃぐちゃの状態で年の瀬が押し寄せてくる予感がひしひしとする。
しかし、まあ考えても仕方ないのでとりあえず夫と街中のイルミネーションを見に行き、帰りに中華を食べてビールをしこたま飲んで帰った。
そしてその店に弁当箱を忘れた。