新時代の選挙手法とSNSの光と影:兵庫県知事選挙を振り返る

2024年の兵庫県知事選挙は、SNSを駆使した新しい選挙手法が注目を集めた。齋藤元彦氏の選挙活動では、リーダー不在の「チームさいとう」がSNSを活用し、政策やメッセージを拡散する姿勢を見せた。しかし、この手法は賛否両論を巻き起こしている。

支持者たちは、「おねだり」や「パワハラ」疑惑への反論を拡散する一方、対立候補への批判もSNS上で激しく行われた。これにより、選挙戦は熱を帯びたが、一部では虚偽情報の拡散や誹謗中傷が横行し、公職選挙法違反の疑いも取り沙汰される事態となった。

一方で、SNSを利用した選挙は若年層の関心を引き出す契機ともなり、従来の「後援会頼み」の選挙とは一線を画した。その影響力は、ヤフーコメント欄やYouTubeにおける動員力にも現れた。ただし、SNS上の情報はログに残りやすく、警察が調査を進める中で虚偽情報の拡散や組織的な動きが明らかになる可能性がある。

このような選挙手法は、民主主義の新たな可能性を示す一方で、責任の所在が曖昧になる危険性をはらむ。特に、リーダー不在を掲げる「チームさいとう」の活動では、デマの拡散や誹謗中傷が団体全体の問題として問われる事態になりかねない。

SNS選挙の本質はあくまで「ツール」であり、それをどう使うかは候補者と支援者のモラルやリテラシーにかかっている。この経験を踏まえ、今後の選挙手法がどのように進化するか、建設的な議論が求められる。

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