惑星直列したウクレレ
私が市民ライターとして参加させていただいているローカルメディアNPO法人森ノオト。ひょんなことから同期で音楽隊を結成することに。目標は11月23日秋の森ノオト主催の「あおばを食べる収穫祭」での演奏。チャンスがあればやりたいことリストの中に実はひそかに入っていたものが「ウクレレ」だった。惑星が直列する時を待ってストックしていたのだった。そしてその時は今やってきた。(ちなみにもうひとつひっそりとリストに入っているものはなんと、ダンス!が、それはまだ縁が巡ってきていません)
9月。サックス、キーボード、オタマトーン、ピアニカ、リコーダー、タンバリン、ジャンべ、ウクレレ、それぞれ出来そうな楽器の担当を決めて、何度もメンバーでカラオケボックスで練習。私はなんとメルカリでウクレレを手に入れた。もう1人のウクレレ担当ありちゃんはとても上手だけど、私は持ち方すら知らないシロウト中のドシロウト。果たして本当に弾けるようになるのか?疑問しかない。
楽しくやろう!というスタンスの私たち。楽しい=ゆるいかと思いきや、各自練習を重ね、集まる回数が増えていく。おかしい。ガチだ。私に至っては期間限定でYAMAHAの個人レッスンに通ってしまった。そう、今まさに楽しく燃えている。
来る日も来る日も毎日練習。コードが指に馴染んできた気がする。2回目の音合わせの時にはポロンポロンと少しずつ弾けるように!
10月。曲が決まる。
1.ピタゴラスイッチ
2.ルパン3世
3.やさしさに包まれたなら
みんなであーどこーだと子どもたちも楽しめるような、盛り上がるような、ラインナップを考える。でも私はまだまだ指が動かないわ、音が出ないわで、こんなんで大丈夫なんだろうか。それになんだか指が痛い。
そして11月。乾燥の季節がやってきた。生きてきてこんなにも指のケアに気をつけたことがあっただろうか。いやない。指が荒れると痛くて上手くコードが押さえられないので、ニベア缶が手放せない。ちなみに冬バージョンのほっこりかわいい絵のニベア缶。そしてさらに気付いた。左手の人差し指がカチカチに固い。YAMAHAの先生に聞いたらウクレレを弾く人はだいたいこうなるそう。先日アロンアルファを使った時に指と指をくっつけてしまい、焦って剥がしたことがあったので、ずっとアロンアルファが指から取れていないのかと思ってたら違った。私はウクレレを弾く人のカテゴリに入ったのかもしれない。にわかに。
メンバーと衣装の打ち合わせをする。上は白トップスで合わせようということになる。衣装は白トップス。ふと、派手なピアスが欲しくなった。ここ数年派手なピアスに憧れていた。お友達繋がりで、デザインが素敵だなと思っていたアクセサリー作家さんにオーダーでお願いすることができて、仕上げていただいたのがこちら。黄色のビーズに縁取られたアンティーク調の大ぶりのピアス。か、かわいすぎる。ありがとうございます。
本番1週間前。会場の下見をした。ここでやるのか。意外と広くて思ったより音が遠くまで届かない。やはりマイクでちゃんと音を拾ってもらおうということになる。
その後カラオケボックスにて最後の音合わせ。3曲演奏し終えて顔を上げてふうっ…!と息を吐く。みんなと目が合う。なんともいえない表情。しばらくしてニッと笑い合う。音がまとまってきている手応えがあった!
いよいよ収穫祭当日
寒い朝、でもピカピカの晴天!
藤が丘駅前公園に到着し、進行の方と打ち合わせとリハ。寒さで指がかじかむ。
リハを終えて、私たちは舞台裏でなぜか布の裁断をしていた。森ノオトでは、全国から巡り巡って寄付された布を次に生かすために販売する「めぐる布市」というプロジェクトがある。メンバーのゆうかちゃんがそこで布を買い取り、スカーフにするという素晴らしいアイデアを思い付いてくれた。寄付された布の出口を作れたのだ。(ちなみに8枚分のスカーフが取れる生地が420円!)
布については、ゆうかちゃんが買いに行ってくれることになった。でもその日が本番5日前。もう集まる時間がなかったため、買った布を当日裁断して切りっぱなしのワイルド仕様にしたスカーフをぐるぐると巻く作戦。
10時。収穫祭スタート!
謎のイタリア語のラジオ体操から始まった。
身体を伸ばす。曲げる。そして跳ねる。
清々しい〜!グラッチェ!
藤が丘商店街のお店がたくさん立ち並ぶ。
人が集まってきた。商店街の力はもちろん、時間をかけて地元と伴走してきた森ノオトの集客力は素晴らしい。盛況だ!
美味しそうなオーガニック泥付き野菜やソーセージや焼き菓子、ジェラートやおでんが並ぶ。私はトリッパ入りのミネストローネスープとミルククリームを挟んだフォカッチャをゲットして、丘に登ってベンチで休憩。
空が青い。木々が映える。
そして本番を迎えた。
演奏スタート!ありちゃんのお子ちゃまが寄ってきてくれるかわいいハプニングや音痴前提の楽器オタマトーンの紹介で会場が優しい笑いであったまる。オタマトーンは、愛らしさゆえとうとう名前まで付けることになり、オタマトーン担当のまりちゃんがハモリンと名付けた。
ピタゴラスイッチでほっこり。みんな笑顔。
そしてルパン3世。アオハルさんのサックスの音色が響き渡る!オタマトーンハモリンもソロを張る。ピアニカ司会進行係のけいさんがキレッキレのダンスでタンバリンをかき鳴らしてくれる。さっきまで「YMCA」を踊っていた。底なしの体力と度胸にあっぱれ。リコーダーとピアニカの旋律がかっこいい。キーボードが鳴る。私もタンバリンで盛り上げる。いいねー、曲調がかっこいいよ、ルパン。
いよいよラスト。「やさしさに包まれたなら」だ。ウクレレを手に持ち椅子に座ると、うそだろ、楽譜がない。しまった、舞台裏に置いてきた。予備の楽譜をありちゃんがセットしてくれたが、コードが変更前のもので不安が募る。演奏はウクレレからスタート。少し緊張したけど、音とともに気持ちもほぐれてきて、楽しくなってきた。うん、楽しい!その瞬間、楽譜が風でめくれて見えなくなった!一瞬だけ手の動きをとめて楽譜を戻す。あぁドキドキの綱渡り。そして最後の「メーッセージ」の部分。最後はウクレレのジャンジャカジャンジャガ、ポロポロン。曲が終わった。
いつかやりたい「楽しいことリスト」、ピシッとタイミングが惑星直列した瞬間、ドキドキしたことを覚えている。飛び出すか否か。そして当たり前じゃない小さな冒険の方を選んだ。当たり前じゃない人生はこんなにも豊かだった。
森ノオトバンドの結成から本番までの軌跡は以上です。またいつか結成する日がくるだろうか。いや、来る。来ない気がしない。森ノオトのライター講座を受講して出会った仲間たち。「楽しかったね!」「終わったねー!」「早くももう練習がないと思うとさみしい!」色々言い合いながらも、みんなで笑顔。笑顔!「楽しくて貴重な体験だった」とウシュウさん。リコーダーのゆきちゃんが「遊び心で集まれる仲間って素晴らしいね!」と言う。ほんとにその通りだ。楽しいことをかき集めて進んだらこうなった。生きることは楽しいことばかりではないけど、私たちは楽しむために生きている。
毎年このイベントを主催している森ノオト本部の方に今更ながら尊敬の念を抱く。ゴミを極力出さないよう、リユース食器を使用、カトラリーやカップ持参歓迎のエコでサステナブルな「あおばを食べる収穫祭」。昨年は会場のゴミは45ℓのゴミ袋ひとつに収まったと言う。この規模のイベントでひと袋とは!サポートしてくれて、楽しいことを自由にやらせてくれる森ノオトだからこそ、森ノオトバンドも生まれた。ほんとうに感謝です。
最後に、見にきて笑顔で頑張れー!と応援してくれた私の家族にも。ありがとう!素晴らしい
よき秋の1日!