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【特捜最前線】風が光れば、手錠がうなる

「特捜最前線」第1・2話が東映のYoutubeチャンネル・東映シアターオンラインにアップされてます。しかも1年以上前に、、不覚や、知らんかった。ま、デアゴスティーニの第1巻にも勿論収録されているので、無問題なのですが、Youtubeではコメント欄もいい感じに熱くもあり、温かくもあり、いい世界が広がっていました。

「特捜最前線」のメインライターを務めた、長坂秀佳さんが「まだ『特捜』を観ていない人は、この機会に観ていただけるとウレシイ。」と仰ってたことは、以前の記事でも触れましたが、筆者も今の時代だからこそ、「特捜最前線」を多くの人に知ってほしいと思ってます。

なので、上記に紹介したYoutubeから、「特捜」に触れて欲しいのは勿論ですが、冒頭1分ほどのオープニングだけでも是非視聴いただきたい。とにかく「渋カッコイイ」!

テーマ曲「私だけの十字架」をアップテンポにアレンジし、トランペットが奏でる主旋律が高揚感をかき立てる一方で、得も言われぬ哀愁をも纏わせています。加えて、特命捜査課のメンバー紹介も兼ねたナレーションを聞くだけでもワクワクします。以下に引用しますと、、

大空かける男がいた
 神代警視正 二谷 英明
大地を走る男がいた
 津上刑事 荒木 しげる
命を捨てて男がいた
 吉野刑事 誠 直也
夜明けに叫ぶ男がいた
 高杉刑事 西田 敏行
謎を切り裂く男がいた
 船村刑事 大滝 秀治
闇を撃ち抜く男がいた
 櫻井刑事 藤岡 弘 

風が光れば 手錠がうなる
大東京に朝が来る
彼ら、特捜最前線

https://youtu.be/o-KD5SDFVnM?si=2QLvlge1tMt4stE-

音声で聴いてもカッコイイですし、こうして活字で見てもワクワクしてしまいます。繰り返しますが、この1分ほどのオープニングだけでも視て欲しいです。

さて、このナレーションの最後の方ですが、「?」となった人もおられるのではないでしょうか。「光るのは『手錠』で、うなるのは『風』」なのでは、と。しかし誤りではなく、確かに「風が光れば 手錠がうなる」と言ってます。

これは、おそらく「漱石枕流」という故事成語の成り立ちを意識しているのだ、と睨んでます。

そうせきちんりゅう【漱石枕流】
偏屈な態度で、自分の誤りを指摘されても直そうとしないこと。負け惜しみでひどいこじつけをすること。

注記 「枕流漱石(ちんりゅうそうせき)」ともいう。「石に漱ぎ、流れに枕まくらす」と読み下す。夏目漱石の雅号の「漱石」の由来として有名で、「負けず嫌い、偏屈者」という寓意を込めている。

故事 中国西晋の時代、孫楚は、隠遁しようと決心して、友人の王済に「山奥で石を枕にし川の流れで口をすすごう」と言うべきところを「石で口をすすぎ、流れを枕にしよう」と言ってしまった。それを指摘されると「流れを枕にするのは、汚れた話を聞いた耳を洗うためで、石で口をすすぐのは歯を磨くためだ」と言い張った。

出典 『晋書』孫楚

https://dictionary.goo.ne.jp/word/漱石枕流/

これだけ読むと、あまり良くない意味に思えますが、「特捜」のナレーションの場合は「こじつけ」ではなく、あくまで漱石枕流の「語順感」を倣ったものと思われます。言い間違いに対してのこじつけにしても「漱石枕流」ってちょっとオシャレじゃないですか。文豪・夏目金之助も自身のペンネームにしたくらいですから。

もしくは、夏目漱石が「負けず嫌い」の意味を込めたことにかけて、当時のライバル番組である「太陽にほえろ!」に負けじとばかりに「漱石枕流」的なレトリックを用いたとも考えられます。

、、これは筆者の「漱石枕流」あるいは「特捜過剰考察」かも知れません。

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