見出し画像

【歌詞語り】庄野真代「モンテカルロで乾杯」

庄野真代「モンテカルロで乾杯」
発売年:1978年
作詞:ちあき哲也
作曲:筒美京平

庄野真代さんと言えば「飛んでイスタンブール」と、この「モンテカルロで乾杯」が代表曲で、どちらも名曲なのですが、本稿では後者の方について。

イントロから「シタール」というインド発祥の弦楽器の調べが美しいです。この曲は編曲も筒美京平先生、聴く者の魂を心地よく揺さぶってくれます。

さて、この歌の始まりですが、

そして24時間 あの都会(まち)あとに

「モンテカルロで乾杯」作詞:ちあき哲也

と、冒頭に「そして」という接続詞が着いてます。何に加えての「そして」かというと、前作の「飛んでイスタンブール」の世界を指すと思われます。

あの都会=イスタンブールでうたかたの恋に破れた女性が、今度はモンテカルロに訪れて、、という展開なのでしょうが、この都市間の移動はどれくらいかかるのでしょうか。

楽勝なのかな

あくまで2024年にGoogleでざっくり調べた結果でしかないですが、イスタンブールからフランス・ニースまで飛行機でざっと3時間、そのニースのコートダジュール空港からモンテカルロまでは電車で1時間少々とのこと。搭乗手続きや、乗り継ぎやらを考えると「24時間」というのは、1978年時点においても、妥当な移動時間と思われます。

霧にしめった列車 ひとり降りた時
まさか待ってるなんて にくらしい人
思いつめてる気持ち もろくターンさせるの

同上

傷心を癒すべく、24時間かけて移動してきたモンテカルロに、なんとイスタンブールでフラれた男性が待っていた!ということで「ひきかえすより 他にしかたなさそう」と思い、「黄金きんの時計を過去にまわして」その男性への気持ちが瞬時に戻ってしまうのです。

そんな再会を果たしてしまうと、あとはもうそりゃ狂詩曲ラプソディーという訳です。「割れてしまえ地球なんか」「割けてしまえ未来なんか」とタンゴを夜通し踊り狂うのです。

しかし、この男、ドンファンにもほどがありやしないか。この女性がイスタンブールからモンテカルロに行くのは分かっていたのか、、いや下衆の勘繰りはやめましょう。世界を股にかけて、劇的な再会を果たしてしまった男女の物語です。

2曲で1つの物語、という解釈をした方が、物理的にも心情的にも無理がなく、面白いです。素敵な仕掛けで楽しませてくれてます。

なお、2021年4月に催された「~筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト~ ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」に、庄野真代さんもご出演されました(筆者はWOWOWで視聴)。その際に「飛んでイスタンブール」「モンテカルロで乾杯」の2曲を歌唱されましたが、MCにおいて「『4部作』のうち、2曲を歌いました」という旨のことを仰ってました。その残り2曲は「マスカレード(スペインが舞台)」「ジャングル・コング(ブラジル)」という、筒美京平さん作曲のものと思われますが、この2曲の歌詞は「…イスタンブール」「モンテカルロ…」の続編などではなさそうです。しかしスケールの大きい歌の魅力に溢れております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?