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おすすめの本『まんがでわかる 伝え方が9割』(佐々木圭一、ダイヤモンド社、2017年)

秋のバーチャルビブリオバトルの時におすすめしたまんがになります。人生が一変すると話題の『伝え方が9割』という本がありまして、それの漫画版です。

これまで仕事やプライベートでなかなか自分の意見が伝わらないと悩んだことがある方にお勧めの本です。

今回ご紹介する『伝え方が9割』では、そのような人に向けてどうすれば伝わるのかそのコツを紹介しています。伝え方は「誰でも磨くことができます。この本の内容を日々実践することで、自分の意見が伝わる経験を増やしていきましょうという内容になっています。

「うまい伝え方ができる人には才能がある。」

自分の意見がうまく伝わらないと悩んでいる人の中には、このように思っている人も多いのではないのでしょうか?

著者の佐々木圭一氏も、かつてはそう思っていたそうです。

しかし佐々木氏がコピーライターとして膨大な量の名作のコトバを見て、考え、試行錯誤した末に、伝え方にはコツがあり、感動的なコトバは作ることができると気づいたのです。

例えばちょっとしたデートの誘い方一つでも、どのような伝え方をするかで結果が変わってきます。

あなたは「デートしてください」と言われた場合と、「驚くほど旨いパスタの店と、石窯フォカッチャの店どちらがいい?」と言われた場合、どちらが行きたくなりますか?

きっと後者の方が行きたいと思う人は多いかと思います。

この伝え方の違いも本書で紹介されているノーをイエスに変える切り口の一つであり、この本にはこのようなコツが紹介されています。

コピーライターという職業につきながら、伝え方に悩みを持っていた著者はいいコトバが集まっている詩集や名作コピー集、書籍などを読み漁ったそうです。

その中で心を打つコトバや感動するコトバをノートに書き写していると、「このコトバと、このコトバは似ているな」と感じることがあり、もしかしたら何か法則があるのではないか、と感じたと言います。

そしてドラマやことわざなどの名コピーをさらに読み込むことで「心を動かすコトバには法則がある」という思いは確信にいたります。

そこから様々な法則を見つけ出し、まとめた内容が本書で紹介されているのです。

著者自信がコトバに悩みを持っていたからこそ、この本の内容は誰でもわかりやすく理解することができ、実践できるものなっています。

では、具体的に「ノー」を「イエス」に変えていくにはどのような手順が必要なのでしょうか。ここでは「イエス」に変える3つのステップをご紹介します。

ステップ1:自分の頭の中をそのままコトバにしない

一番最初に意識することは、お願いをする際に自分の頭の中に浮かんだことをそのまま口にしないということです。

もちろんストレートに自分の思いを伝えることでうまくいくこともありますが、うまくいかないことも同様にあります。

これでは相手の気まぐれによってどちらに転ぶかわかりません。可能性が50%の状態なら、少しでもその確率を上げていきたいですよね。

そのためには、まずはこれまでのやり方を変える意識、つまり思いついたことをそのままコトバにしないようにすることが大切です。

ステップ2:相手の頭の中を想像する
次は、そのまま思いを口にすることをグッとこらえて、お願いした時に相手がどう考えるのか、普段相手は何を考えているのか頭の中で想像してみましょう。

例えばデートに誘う場面で、そのままストレートに「デートしましょう」と誘ってイエスと答えてくれる確信があるのであればそのままのコトバで問題ないでしょう。

しかし、少しでも不安があるのであれば「イエス」をもらう確率を上げるために、相手がどう思うのか想像するのです。

ストレートにお願いして「ノー」となりそうだと思うのであれば、いったん自分のお願いから離れて相手の頭の中を想像しましょう。

相手の好きなことは何か、何が嫌いか、どんな性格なのか。知っている相手の情報を思い出してみるのです。

その中で「コーヒーが大好き」「新しいお店が好き」といった情報を探してくるのです。

ステップ3:相手のメリットと一致するお願いを作る

最後は、相手の頭の中をもとにコトバをつくっていく作業です。
ここで最も大切なことは、相手の文脈でコトバをつくる、ということです。どういうことかというと、自分の求めることをそのまま伝えるのではなく、相手が「イエス」と言いたくなる文脈にコトバを置き換えて結果的に自分の求めていることを達成すれば良いのです。

例えば、先ほどのコーヒーが大好き」「新しいお店が好き」といった情報がある場合は、「驚くほど美味しいコーヒーとスイーツのお店が新しく◯◯にできたんだけど、いかない?」となります。相手からしたらまさに自分の好きなものでメリットを感じられるので、「イエス」となる可能性が高いですよね。
この中には(私とのデートで)という自分の目的は表に現れていないですが、求めていた結果は得られているのです。

この3つのステップでコトバをつくることで、今まで「ノー」と言われていたお願いが、「イエス」と言ってもらえるように変わります。つまり、今まで実現できなかったことを実現することができるようになるのです。

「イエス」に変える7つの切り口
先ほどご紹介した3つのステップはどんな「お願い」にも万能なものです。さらにここからは、ステップ2の「相手の頭の中を想像する」ときに役立つ、とっておきの7つの切り口を紹介していきましょう。

切り口1:相手の好きなこと
こちらは「ノー」を「イエス」に変える最も王道な方法です。先ほど紹介した新しいコーヒーのお店のように、相手好きなこと、つまり相手にとってメリットがあることでコトバをつくるやり方となります。
本書の中では他にもいくつかの事例を交えて紹介してくれています。

切り口2:嫌いなこと回避
切り口1と違って、逆に相手の嫌いなことからコトバをつくることもできるのです。「こちら嫌いだと思います。だからやらない選択をしましょう」という切り口ですね。
例えば整備したばかりの芝生に入って欲しくない時の看板に書く文言の内容を考えているとします。ストレートに「芝生に入らないでください」と書くこともできますが、「芝生に入ると、農薬の臭いがつきます」と書くことで、相手の嫌なことを回避できる内容となり、相手のメリットに変わります。
特に何かをやめて欲しいお願いをするときに有効な切り口です。

切り口3:選択の自由
3つ目の切り口は、1つ目の「相手の好きなこと」の応用となる技術です。使い方はとても簡単。2つ以上の相手の好きなことを並べて、相手が前向きに選べるようにするのです。
人は「決断」をすることが得意ではなく、好きなことを伝えても「行くか」「行かないか」の決断は慎重になります。しかし人は「比較」は得意なのです。こっちよりあっちの方が良いということは簡単です。その心理を利用して「選択の自由」を与えることであたかも比較をしているように決断をしてもらうというのがこのやり方なのです。
例えば、ストレートに「デートしてください」と伝えるのではなく、「めちゃくちゃ美味しいパスタのお店か、和食のお店どちらがいい?」という風に相手の好きなものを並べてあげると、よりあなたのお願いが受け入れられる可能性が上がります。

切り口4:認められたい欲
この切り口4は相手の頭の中に「他人に認められたい」という思いがあるときに特に効果を発揮する技術です。相手にとって少し面倒くさい頼みごとがあるときにそのまま伝えるのではなく、この切り口を使うと相手の気の乗り方も変わってくるのです。
例えば部下に残業をお願いしないといけないとき。ストレートに「残業お願いできる?」とお願いするのではなく、「きみの企画が刺さるんだよ。お願いできない?」というように認めているコトバから始めることで、面倒くさいこともやってみようという気持ちにすることができます。

切り口5:あなた限定
次はたくさんの人数にお願いする必要がある場面で有効な切り口です。特に相手が「寂しがり屋」な人や、「自分が好き」という人にはおすすめのやり方で、「あなた限定」ということを伝える技術です。
例えば、誰もいきたくないような地域の集まりに来てもらう必要があるとき、ストレートに「あなたも参加してください」と伝えるのではなく、「他の人が来なくても、◯◯さんだけには来てほしいんです」と伝えます。相手の名前を使い、自分が必要なのだと相手に思わせ心を満たすことで相手のメリットに変えてしまうのです。

切り口6:チームワーク化
切り口6の「チームワーク化」は、相手がやる必要性を感じないお願いをするときに特に有効な方法です。お願いを相手任せにするのではなく、一緒にやろうと自分と相手をチームワーク化してしまうのです。人はもともとコミュニティを大切にし、誰かがやっていれば自分もやってみようと思うものです。
そこで、例えば子どもに勉強をしてもらいたいとき、「勉強しなさい」と直接的に伝えるのではなく、「一緒に勉強しよう!」と面倒なことも一緒にやる姿勢を見せると相手の行動は変わってきます。
この方法は有効ですが、もちろん自分も一緒に何かをすることは前提になりますよ。

切り口7:感謝
佐々木氏が最終手段にして最大の方法というのが、「感謝」です。「ありがとう」と感謝を伝えられると、人は「ノー」と言いにくくなるものです。
仕事で人に何かを頼む時も「これやっといて」と依頼するよりも、「いつもありがとう。これもお願いできるかな?」と最初に感謝の言葉を伝えられると「ノー」とはなかなか言えませんよね?人にお願いするときに、ぜひ感謝の言葉もセットで添えるようにしてみてください。
ここまで「ノー」を「イエス」に変える3つのステップとその7つの切り口を紹介してきました。どれもすぐにでも実践可能なものばかりですので、今日からぜひ使ってみてくださいね。本書ではここでは紹介しきれなかった事例もたくさん解説されていますので、ぜひ手にとって読んでみてくださいね。

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