初心者でもわかる!税効果会計の入門
この度は当記事を読んでくださってありがとうございます。
税効果会計について、経理を始めたばかりという方にはかなり分かりにくいものではないかと思います。
そこで今回は、税効果会計の一般的な処理を一通り説明し、理解のとっかかりになるように説明をしていきます。
ざっくりと税効果会計の処理を列挙すると、下記になります
一時差異を把握する
↓
法定実効税率を算定する
↓
回収可能性考慮前の繰延税金資産及び繰延税金負債の算定
↓
一時差異解消のスケジューリング
↓
回収可能性考慮後の繰延税金資産及び繰延税金負債の算定
↓
税金費用の妥当性を検証する
おおむねこの流れにそって税効果会計の処理を行っています。
この順にそって、解説を行いますね。
そもそも税効果会計とは
この章は、少々込み入った理屈の説明になるため、実務的なことのみ知りたいという方は飛ばしてしまっても構いません。
端的に言うと、”会計上の費用・収益と税務上の費用(損金)・収益(益金)の額に相違がある場合に、法人税やその他の所得にかかる税金を期間配分することにより、税引前当期純利益と法人税等の税金費用を合理的に対応させることを目的とする会計手法”、となります。
何がなんだかわからない、という感じだと思います。
もう少しかみ砕いて説明しますね。
会計上の費用収益と、税務上の損金益金は一致していません。
益金にならない収益や、損金にならない費用というものがあります。
そういったズレについて、解消する期に適切に配分しよう、というのが税効果会計となります。
この会計と税務のズレには”永久差異”と”一時差異”があります。
永久差異とは、収益費用であっても益金損金にはならないものであり、したがって、ズレが永久に解消されないものを言います。
例えば受取配当金や交際費、寄付金といったものが該当します。
一時差異とは、費用計上と、税務上の損金との発生時期が異なる費用のことをいいます。
例えば売掛金を計上している取引先があったとして、この会社が倒産しそうなので会計上で貸倒損失を計上したとします。
税法では、取引先が実際に倒産したタイミングでしか貸倒損失は損金とは認められません。
そのため、費用計上した期は損金にならないため、その期は費用>損金になるし、その後税法上で損金と認められる期間では、費用<損金になります。
つまり、貸倒損失計上の期において、会計上、本来後で支払うべき税金を前倒しで支払っているということになるため、将来の税額が減額されるということで繰延税金資産を計上することになります。
一時差異の把握
一時差異には以下のものが該当します
・収益または費用の帰属年度が相違することから生ずる差額
例)未払事業税、貸倒引当金、賞与引当金、減価償却超過額、退職給付引当金、及び税務上の繰越欠損金と課税所得との相殺もここに含まれます
・資産の評価替えにより生じた評価差額が直接資本の部に計上され、かつ課税所得の計算に含まれていない場合の当該差額
例)有価証券評価差額金否認
一時差異には、当該差異が解消するときにその期の課税所得を減額する将来減算一時差異と、差異が解消するときにその期の課税所特を増額させる将来加算一時差異があります。
法定実効税率の算定
法定実効税率の算定式は、下記になります
法定実効税率=法人税率+法人税率×住民税率+事業税率/(1+事業税率)
住民税率=地方法人税率、県/都住民税率+市民税率
事業税率=事業税率(超過税率)+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率
なお、税率は決算日において国会で成立している税法に規定されている税率になります。
税率はネットで調べればすぐにでてくるので、上記算定式を元に計算しましょう。
なお、この法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異(税率差異)があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳、は注記事項となります。(プルーフテスト)
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