星よ知るなら、こちらまで (メルヘンと現実の間で)
どこまでも続く草原、たくさんの動物のおともだち、みんなニコニコしてて仲良しで…
小さい頃の私の頭のなか。
ムツゴロウさんは神。
(牛のおしっこで顔を洗っていたところはちょっと怯んだけれど…神だからやれる)
ムーミンとか、クレヨン王国とか、ちびまるこちゃんの絵とか(もちろんお話も)、メルヘンが大好き。
実際メルヘンな国へは行けないけれど、小さい頃は動物たちと密な時間を過ごした。
ペットを飼うことはできなかった。
ところが、向かいの家で飼われていた柴犬が毎夜7時頃、我が家にやって来る。
なぜか離されていて、ルンルンの足取りで道路をふらふら自由に歩いている。
うちの玄関の前に座り、たまに前足でガリガリする。
「出てきなよ」って誘う。
玄関を開けるとイエーイって立っちして飛び回る。小学生の私も一緒に道路を走り回る、午後9時近く。
母は仕事でいないので、とにかく自由。
「もう遅いから帰りな」というとちょっとためらうけど、ちゃんとおうちへ戻っていく、ほんとにお利口さん。
謎が多すぎる。今思うと、だいぶメルヘン。
みかんとかパンとかあげたのがバレたのかな。それとも結構な年齢だったからかもしれなくて、離されなくなって、やがて外の犬小屋にも居なくなってしまった。
飼い主とは会話をしたこともなく、夜のことを話すこともなかった。
柴犬の「ロン」。やさしい子。
人でなくても、動物ってこんなに気持ちが通うんだって教えてくれた。
小6の時には誕生日プレゼントにセキセイインコを家に迎えた。
その誕生日まで、しばらく欲しいものはないよ、って続いてて、とうとう本気で欲しいと思ったのがインコ。
黄色の羽をした、赤い目のアルビノ。
元気な雛の「まるこ」。アワ玉をガツガツ食いつく姿に一目惚れ。
紙の箱に入れてもらって、籠と一緒に4、50分歩いて持ち帰った(母は免許なく、ちなみに自転車も乗れない)
まるこはすごい。(ありがちかもだけれど)
私が学校から帰って、ランドセルの鈴の音を聞くと、籠から出てくる。
自分で籠のドアをくちばしで跳ね上げて、落ちてくるドアを一旦からだで受け止める。
それから部屋を一周して糞を落としてから私の肩に着地する。
この子とのスキンシップは異種とは思えない。
絶対的に、小さいおじさん(でなくてもいいけど)が入ってるパターンだった。
イヤホンを聞きあったこともある。
ジブリのアルバム。耳に充てたのよかったかわからないけど…
黙って聞いていたよ。
この出会い、一生忘れない。
たった半年でお別れだったけど。
(部屋から台所へ飛んでいくとき、姉が襖をパンと閉めて挟めてしまい死なせたの(;つД`))
最後の最後、私のほうへがんばって歩いてきて、手の上で息を引き取った。
こんなに私のことを好いてくれた存在は今でもいないな、と思う。
毎日「お母さんが好きすぎて好きすぎる~」とキスをたくさんしてくれる次男がその座に並ぶ可能性があるけれど。
そんなことがあって、動物を助けるお仕事がしたい!と、動物に恩返ししたい!と将来の夢になった。
しかしながら、私が動物看護士だったのは3日間。
そんなことはまた書いてみようかなあ…