夢小説についての私の見解

 最近、とある方の夢小説の定義について読ませて頂きました。共感出来るところもあれば、反感を抱く部分もあり、ちょっと自分の中でもやもやしたので、考えをまとめるのを兼ねて自分の見解を勝手に語っていきたいと思います。

【夢小説とは何か?】

 まず、最初に自論を申しますと私は夢小説とは「あるキャラクターと原作には存在しないキャラクターが深い関係(恋愛、友情、家族等)を持つ時点で夢創作(小説・絵)」と思っています。
 そもそも夢小説って、かなり広くて深い沼なジャンルなのですよ。キャラと恋愛関係になる恋愛夢が主なのですが、それ以外にもキャラと家族になる家族夢、キャラと友情を築く友情夢、沢山のキャラに好かれる逆ハー夢、特定のキャラに嫌われる嫌われ夢(※別のキャラが味方になることあり)等々上げるとキリがない位沢山の夢小説が存在します。
 そうなりますと、どこまでが夢小説であるのか線引きがかなり難しい。恋愛がないのならば二次オリでは?という方もいらっしゃいますが、家族夢や友情夢もある以上、そうとは言い切れないのが現状です。では、なにをもって夢と判断するかと言うと創作者自身の認識に委ねるしかないのです。創作者が夢と仰っているのならば、それは夢創作であるのではないでしょうか。

 そんな沼な夢小説ですが、この界隈の方は大きく分けてこの3タイプが存在していると思っています。

[①完全自己投影型(夢主=自分)]
 夢主を自身に投影するタイプです。このタイプは夢主の設定が殆ど無い夢小説を好みます。夢主にしっかりとした設定があると楽しめない方が多いです。「○○プラス」という創作物はこのタイプが多いかな。

[②半自己投影型(夢主≠自分)]
 夢主に理想の自分を投影するタイプです。「キャラの隣に立つのならばこうならいいな」とか「こうなれたらいいな」を投影するため、夢主に設定があることが多いです。分かりやすい例で例えますと「「自分が考えた最強の自分」で「最強夢主」の夢小説を書く」などがこのタイプになるかと思います。ようは現実の自分とは違う自分に変身するタイプです。

[③非自己投影型(夢主=オリキャラ)]
 夢主をオリキャラと考え、自己を投影しないタイプです。「この漫画にこんなキャラがいたらいいな」とか「このキャラの隣にはこんなキャラがいてほしい」という妄想を夢主に反映します。そのため、容姿や性格にしっかりとした設定がある創作が多いです。このタイプはキャラ×夢主(自分)で妄想するのではなく、キャラ×夢主(オリキャラ)を別視点で見て妄想して楽しむタイプです。

①、②のタイプはキャラに対して恋愛感情を抱いている方が多く、③のタイプは恋愛感情を抱いている方と抱いていない方、両方同じ位いらっしゃる印象を受けます。勿論、この3タイプのどれにも当て嵌まらない方もいると思いますので、あくまで参考と思って頂けたらと思います。

【個性がある夢主は夢小説ではない?】

 これ、実は判断が凄く難しいと思っています。と言いますのも以下の3点の問題があるからです。

①夢界隈のファンは大きく分けて上記の3タイプが存在する

②どこまでを個性のある設定と判断するのか意外と難しい 

③夢界隈以外の方から見た時の「夢小説」か否かの判断基準

 まずは➀の問題からですが、上記で書いた通り、夢界隈のファンと言ってもそれぞれ楽しむ方法が千差万別です。夢主の設定が無いものが好きな方がいれば、夢主の設定があるほうが好きという方もいます。どちらも好きという方もいらっしゃいます。これだけ大きなジャンルですと、人それぞれ好きなものが違ってくるのは当たり前です。これは夢小説ではないと定義するのは難しいのではないでしょうか。

 次に②の問題。仮に個性が無い夢主設定だけを夢小説と定義します。では、以下の小説は夢小説でしょうか?そうでないでしょうか?

 「○○は夢主の髪を掬い上げ、その毛先に口付けをした」

 この小説の夢主には容姿や性格の設定はありません。身長も髪色も瞳の色も何も書いてません。しかし、この一文により、夢主の容姿がある程度決定されてしまいます。○○は髪を掬いあげて毛先に口付けをしていますが、○○が掬い上げて毛先を口元に持っていける位の長さがないと、この文章は成り立ちません。つまりこの夢主だと髪型がショートである読者は自己投影が難しくなってしまうのです。そうしますと、髪型が決まっている=個性があるから夢小説ではないと判断出来ます。そんな横暴なと思うかもしれませんですが、突き詰めてしまうとそういうことになってしまうのです(酷い難癖をつけてくる人も少なからずいますし……)。さらに酷い場合ですと「私」といった一人称すら個性となるから名前変換で変えろという人も出てきてしまうかもしれません。

 次に③の問題です。まずこれについて話すにはタグ付けについて話さなければなりません。pixivとかですと、検索する時に「夢小説」で検索する方が多いと思います。このタグは主に下記2つの用途があります。

(1)「夢小説」を読みたい人が見つけるため

(2)「夢小説」を読みたくない人が避けるため

 問題となるのは(2)のほうです。(2)の用途の場合、夢界隈のファンで無い方、夢小説が嫌いな方がこの用途で使用していると思います。では、この方々のおっしゃる「夢小説」とはどのようなものなのでしょうか。「原作キャラとオリキャラが恋愛していれば夢小説」という方がいれば「恋愛でなくても、家族であったり、友人であれば夢小説」という方もいるでしょう。「原作キャラとオリキャラが交流している時点で夢小説」なんて方もいらっしゃるかもしれません。②で言ったように仮に個性が無い夢主設定だけを夢小説と定義した場合、今まで夢小説としていたものが(2)の用途で検索避けをしていた方々の検索に引っ掛かってしまう場合があるのです。この方々からしてみれば「検索避けしていたのに夢小説が出てきた」という状況に成りかねません。

 以上の点から私は無個性夢主のみ夢小説とするのは難しいと判断しています。また仮に、無個性夢主のみ夢小説と分けられたとしても、②と③の問題でごたごたする可能性があるのではと思っています。


【でも個性がある夢主設定は出来るだけ避けたい!】

 こういう方も当然いらっしゃると思います。また、夢主=オリキャラと考えている創作者の方には他と区別を付けたいという方もいると思います……実はpixivではこんなタグがあるのです。

 「オリ主」

 オリ主とはその名の通りオリジナルの主人公のことを指します。夢小説タグとこのタグ両方を付けている方がいらっしゃいますので、このタグを1つの判断基準にするというのはどうでしょうか?
 ですが、このタグ付けは強制ではないことを忘れてはいけません。創作者の方がこれはオリ主であると判断したから付けたものであって、強制的に付けさせるものではないのです。あくまで判断基準です。
 また、創作者が「最初にこれ読んで」と書いてあったら必ず読みましょう。キャプション読んでと書いてあったらキャプションを、最初のページを読んでと書いてあったら最初のページを必ず読みましょう。重要な情報が書いてあります。それを無視して地雷を踏んでも誰も同情してくれませんよ。
 話をまとめますと、以下の2点を実行すると大分絞り込めると思われます。

①タグで判断する(オリ主など)

②作者が提示した注意書きを必ず見る

 ②が特に重要です。この創作はこういうものですよ、これをしたらダメですよ、ということが書いてあります。貴重な情報です。必ず読みましょう。
 しかし①、②を実行しても自分の地雷の創作に辿り着いてしまうことも多々あるでしょう。だからといって創作者に暴言となるコメントを書いたり「こうしろ」と強要するのは絶対にダメです。どうしても気になるのならば提案程度に留めましょう(注意書きに書いていただけませんか?など。何度もしつこく要求してはダメです)。どうしても無理なら創作者をブロックなりミュートなり、そっ閉じしてブラウザバックするなりして対応しましょう。

 どうしてそこまでしなければいけないのかと思う方もいるでしょう。ですが、二次創作は様々なものが存在し、明確に住み分けするのが難しいものだと思うのです。例えば腐関係のものにしても女体化、年齢逆転、立場逆転、リバなどなど細かく分けるとキリがありません。そんな闇鍋カオスな二次創作の中で自身が好むものを見つけるには上記2点を注意して自力で見つけるしかないのではないかと思っています。
 
 最後に蛇足的な話ですが……私は夢小説も腐もNLも好きな雑食オタクです。夢小説も無個性、オリジナル夢主どちらも好きです。二次創作というのはあくまで自身が好きなものを作り、それを好きと言ってくれる方がいたら共有できるものだと思っています(※公式や一般の方に迷惑をかけないのが鉄則ですが)。なので他人の好きを出来るだけ否定したくないなというのが私の考えです。