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修学旅行を休むという決断

ダウン症候群の娘をもち、生まれてからの気持ちを綴っていたが、だいぶご無沙汰になってしまった💦
新年度でバタバタして、現在その娘が小学6年生となり、すぐに修学旅行の予定。支援学級の先生と綿密なやり取りをしながら対策を考え、準備をし…そんな毎日ですっかりアウトプットがご無沙汰になっていた😅

 修学旅行を控えた子どもたちは、日々修学旅行の事前学習をたくさん行う。(時間割に、毎日2時間ほど事前学習の時間が設けられている)だから、知的障害がある娘も、『みんなと一緒にお泊まりが出来る♪』的な感じでとても楽しみにしていた。準備は、当然母の私が100%しなければならず…なので、夜な夜な持ち物を細かくジップロックに小分けして、本人にも先生にも分かるように、どんな時に使う物で何が入っているのかを、詳細に記していった。
 娘は、慢性的に便秘症だ。牛乳以外の水分摂取を極力嫌い、なので便が固いのだ。状況によって、便を柔らかくする薬を内服してコントロールしている。なかなか、便のコントロールは難しく💦「おなか痛い」と言っては、トイレに行き、すっきり出たり、出なかったり・・・そんな状態なので、ある程度の集団でスケジュールをこなさなければならない修学旅行に、影響が出てしまう。ということで、1カ月前からビオスリーを内服し、体力や免疫力アップを願いプロテインを飲ませたり・・・。
準備万全に・・・と母は意気込んでいた。


 しかし、修学旅行2日前、娘は風邪をひいてしまったのだ((´;ω;`)ウゥゥ)鼻水が出る、と鼻をかんでいた。心臓の手術もしている娘は、決して抵抗力は強くない。しかし、めったに風邪もひかず熱も出さず、何の病気も持ち合わせていない妹より、よっぽど強かった。
こんな時に限って・・・。
まぁ鼻水と鼻づまりくらいなら、大丈夫だね、と思って早く寝かせ、修学旅行前日を迎えた。
今日は放課後デイに早く迎えに行くね
と翌日に備え早く夕飯にして早く寝かせようと考えていた。
そして、迎えに行き帰宅すると・・・
良くない咳してる・・・
痰が絡んだ苦しそうな咳をしているではないか(*_*;

うぁ、風邪が悪化してるー

でも、熱もなく食欲もバッチリ。
今日は早く寝るぞ!と19時に寝かせた。翌日の弁当作りと持ち物の確認に備え、母も早く横になった。
しかし、全然眠れない。
娘は痰が切れないような苦しそうな咳を繰り返している。それを耳にして、「こんな状態で行けるの?いや、行けないよね、ダメだよね・・・でも、熱もないし元気だし。」そんなことを考えながら時折せき込んで起き上がる娘をトントンしながら、ほとんど寝たという実感がないまま朝を迎えた。
いつもより少し早めに起こすと
「今日は修学旅行だ~!」
と元気にベッドから起き上がった。
お、元気じゃん
と思ったのもつかの間、やはり痰がきれずに咳込んでいる。それでも、朝食は完食しトイレでの排便もあり、そこは準備万全完。
行けるかな、行けるよね、
と思いながら、娘と持ち物の最終確認をして、二つのバックに入れ、お昼に食べるお弁当も詰め込んだ。先生に、何がどこに入っているのかの詳細を手紙にした。それでも、痰が出せずに咳き込んで、
「苦しいよ、声が出ない、行けない・・・(泣)」
と発した娘。

んーーーーーーーー。

どうしよう。
人生に一度しかない6年生の修学旅行。この経験させてあげたい。
娘も楽しみしてる。万全の準備のハズ、だった。
でも、この咳だと、グループでの行動にもついて行けないかもしれない。ただでさえ、歩くのがとても遅く体力のない娘のことを考慮し、支援学級のお友だちが、行けそうな場所だけ行く、という特別コースに付き合ってくれることになっていた。そんなお友だちの貴重な経験も奪ってしまうかもしれない。風邪のひき始めで、明日はもっと悪くなっている可能性が高いし、飛沫感染の予防だって本人は十分にできない中での、長時間バス移動。
心配がつきない・・・
体調が悪いことは確かな事実。

「修学旅行はお休みしよう。しかたがないね。」「うん・・・」

この決断は、出発10分前のことだった。
学校に電話し、他のクラスの担任の先生が出た。
「え、あ、そうですか、そうなんですね・・・」
急な欠席の連絡などないと踏んでいたかもしれない。子どもたちには数日前からの体調チェックを課し、寝る時間と起きた時間も記入するようになっていたから。

行かない、という決断をした以上、それで良かったんだ、と思うしかない。
誰か決めてほしかったが、親が決めるしかできないこと。

娘の咳が落ち着き、元気に過ごしている姿を見ると、これで良かったのか・・・もしかしたら、行っちゃえばそれなりになったのか。あんなに、体調管理や準備を共に頑張ったのに、貴重な経験を奪ってしまった、という気持ちに押しつぶされそうになった。
私は涙が止まらずに、娘を抱きしめて号泣してしまった。
娘は、「みんなと一緒に行きたかった」と泣きべそをかいたが、幸いにしてそんな気持ちを引きずるようなことはなく過ごした。
それが救いだ。

これで良かったんだ、そう思おう。
こんな時に風邪を引かせてしまった申し訳なさと、タイミングの悪さを恨みながら、仕方がないことがあるな、、、と思った。

この仕方のない事実をまだ受け入れられていない私。
まるで、ダウン症候群の娘を産んだ時の感情に似ているな、と思った。
全然、事態の大きさは違うけれど、あと数カ月たてば笑い話になると分かっているけれど、今の私は、何が悪かった?行っちゃえば良かった?どうして風邪ひいちゃった?あんなに準備したのにどうして?
とまだグルグルして、泣けてくる。

あの時も、現実を否認しながら、自分を責めて怒って、その感情を繰り返し、ようやく受け入れて、なんであんなに悩んでいたんだろう?と大笑いできる日々になっている。

また、そのうち、そうなるな。


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