風が吹けば桶屋が儲かる(コアラマットレスを購入した話)
当たり前だけれど、睡眠って本当に大事だと、年齢を重ねるたびに心から感じている。振り返れば10代、20代の頃は、どんな場所でも何時間でも寝れることを特技・趣味として誇っていた。中学生くらいの頃、お金も場所もないけど時間が有り余って、とにかくおしゃべりがしたくて、とりあえず友人と山手線に座って話していたら、揺れが気持ちよくて気付いたら寝ていたことがあった。大学生の頃、海外旅行にハマっていた。機内食が引っくり返るほど激しく揺れていたアジアのLCCの飛行機でもぐっすり寝れたし(私は揺れるのが好きなので、むしろ揺れが心地良かった)、東南アジアの一泊$5くらいの窓の無い激安宿の硬いマットレスでも安らかに眠っていた。また、当時はあまりに眠りが深すぎて飲み会に寝坊していたこともあった。社会人の初期の頃は、慣れない仕事に加えて度重なる飲み会に心身が困憊し、土曜日は暗くなるまで寝て、夜に出掛けて、また帰ってきて寝る、という週末も多かった。今でこそ絶対にありえないが、寝坊して仕事に遅刻するということも多々あった(ごめんなさい)。
そんな私だが、ここ数年で睡眠に関する悩みが増えてきた。具体的には、寝つきが悪く、眠りも浅い夜が非常に増えたのである。そして、なんとか寝付けても早朝に目覚めてしまうのである。新入社員の頃、50代、60代の諸先輩方が、「寝るのも結構体力使うから、年取るとあんまり寝れなくなる。朝5時くらいに自然に目が覚めるから渋々活動している。」と飲み会でよく言っていて、「そんなバカな・・・私はないな・・・」と思っていたが、まさかその現象ではないか、少しばかり早すぎないか、という一抹の不安が過ぎる。
が、周りの同世代の女性の友人に聞くと、結構同じ悩みを抱えている人が多いことに気付いた。ネットを見ていると、女性のホルモンバランスの変化とか、社会進出に伴う自律神経の乱れとか、そういう記事もいくつか見つけた。30代女性というのは、人生やそれに伴う体調の変化が多かったり、社会的にも活躍する時期で、そういうのが睡眠に影響するのでは、という仮説であった。言われてみればまぁそうなのかもしれないけれど、じゃあ自分が上手く眠れない原因は何か、と問われると、自分でも明確な答えが見つけれられない。不安なことはいっぱいあるけど、悩みすぎてどうってほどでもないし、嫌なこともあったりなかったりするけど、睡眠が妨害されるほど嫌なのかは自分よく分からない。
でも、10代、20代の頃、あんなにどこでも何時間でも寝ることができたのに、最近はちょっと睡眠環境が変わったり、気候や気圧の変化があったりすると、上手く寝れない夜がちらほら出てきた。あとは、お酒を飲んだり、お酒を飲まなくても飲み会の場に行ったり、外食でお腹いっぱいご飯を食べると、眠れなくなる夜が出てきた。遅い時間まで仕事をしていると脳が覚醒してしまうのか、疲れているはずなのに一向に睡魔が来ない夜も多々あった。日中はなるべく太陽に浴びるとか、お風呂に入るとか、ストレッチをするとか、寝るX時間前はご飯を食べない、携帯を見ない、部屋を暗くする、とか、そういうtips的なものももちろん一通り試した。サプリメントを摂取したりした。それでも、環境とかその日の体調とか気持ちとか色んな要素がうまく噛み合えば寝れるし、そうじゃないと寝れないという、なんだかそういう感じでなのある。気づけば睡眠というのは、私の中で「お取扱注意」な非常に繊細なものにカテゴライズされつつある。
そして上手く眠れない夜が何日か続くと、だんだん夜が近づいてくるのが怖くなって「今日は寝れるかな」というのがプレッシャーになって無意識に緊張してしまう悪循環も起こしてしまうのである。
話は少し変わるが、ある日、後輩とご飯を食べていた。やけに痩せたなと思っていたら、同棲を始めた彼女と別れた、とのこと。「せっかくコアラマットレス買ったのに・・・」と呟いていた。諸々の破局のくだりは割愛するが、その会話から「そういえばマットレスは盲点だったな」という良い気付きを得た。振り返れば、私が使用しているマットレスを購入したのは、どこでも寝れることを自負していた5年ほど前であり、楽天かAmazonで購入した名もなきブランドの安いものであった。そういえば、最近やけにスプリングが緩んでいて寝る姿勢や腰が安定しないな。長く寝ているのが不快なので「まぁ起きて活動するか」という感じで起きていたな。と言うことに、マットレスに焦点を当ててから初めて気付いたのである。長年の習慣ってこうやって身に付いて、思考も凝り固まっていくんだなと少し反省した。
ということで。早速表参道のコアラマットレスのショールームに向かった。破局の話を聞いたので微妙に縁起が悪い気もしたが、前々から少し気になってはいたし、コアラマットレスに罪はないだろう、ということでそこは早々に割り切られた。マットレスというのは、そこそこ高い買い物であり、個人の好みも色々あるので、購入を検討されている方は試してみることを強くお勧めする。平日ながらもそこそこ混んでおり、さすが人気企業であった。
ここで一応コアラマットレスについて引用を共有しよう。
元々はオーストラリアの会社で、何年か前に日本に上陸している。店舗を持たず、基本的にはオンライン販売をベースとしているため、高品質の商品を低価格で提供できる、というビジネスモデルらしい。
ショールームで一通りのマットレスと枕を試してみて、その場で購入を決めた。とはいえショールームには購入用の決済端末などはなく、個人の携帯から、普通にコアラマットレスのオンラインストアで購入した。何かと無駄がなく、確かにこれは画期的だな、と思った。やるじゃん、ラグ男。
また、新しいマットレスを購入を検討するにあたって、「古いマットレスどうしよう」というのを密かに悩んでいたのだが、追加料金を支払えば、マットレスお届け時に古いものを回収してくれるとのことで(ただし対応地域は限られている)、大変ありがたかった。居住区の粗大ゴミ回収サービスも一応調べたが、数ヶ月先まで予約が空いておらず、さすがに古いマットレスと数ヶ月間共に暮らす部屋のスペースも心の余裕も、私には残されていないので論外であった。
加えて、なんと言っても到着が早い。購入してから最短2-3営業日後を到着日に指定できたので驚きである。
ショールームを訪れた後、あっという間に我が家に新しいマットレスがやってきた。マットレス回収・設置サービスのオプションをつけたたため、二人がかりで作業をしてくださったので、あれよあれよという間に新しいマットレスが寝室にセットされた。一連の作業を終えた後に、「あ、これどうぞ」とちょっとばかし潰れたコアラのぬいぐるみまでもらった。調べればこの会社はコアラの保護活動にも力を入れているらしい。買い物の罪悪感どころか、社会貢献でちょっと良いことをした気分にまでさせてくれる。極めて現代的なビジネスモデルだなと、購買体験を通じてやけに感心してしまった。
その後、コアラマットレスを使用して1ヶ月ほどが経過した。正直なところ、初日は新しい枕とマットレスに身体が慣れず、なかなか眠れなかったのだが、徐々に慣れてきた。寝つきが良い夜が着実に増えてきたと思う。また、これは良いことなのか悪いことなのか分からないが、朝起きる時間がやや遅くなり、二度寝が増えた。私の場合は、腰の違和感で目覚めることがなくなり、本来の自分自身の睡眠力を取り返し始めているのかもしれない。加齢を疑ったこともあったが、まだまだ己の睡眠力は健在のようで少し安心した。とはいえ、睡眠とは非常に繊細なものなので、引き続き様子を見ていきたいと思う。
なんだか嬉しくなって、影響力皆無の個人インスタグラムにコアラマットレス購入のストーリーを掲載したり、家に遊びに来た友人にマットレスと枕を試してもらったりした。すると、思わぬ反響があった。友人達が次々とショールームに行ったり、マットレスや枕を購入し始めたのである。みんなどこかで何かしら悩んでいたんだな、気持ち分かるよ、と、勝手ながらまた友情が深まった気がした。
ということで。
千葉で同棲していた若い男女が別れたら、東京で頑張っている三十路達が続々とコアラマットレス関連商品を購入し、最終的にはオーストラリアのコアラ達が救われる、という、意図せずとも「風が吹けば桶屋が儲かる」の現代社会版のようになったのであった。
生きとし生けるもの全ての平和と安眠をここに願いたい。
完
※この投稿にKoala Sleep Japan様は一切関わっていません。