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【現場から報告】加害者に甘い日本社会?

日夜ニュースで流れてくる凶悪犯罪。

目を覆い、耳を塞ぎたくなるような犯罪も
多い中、その犯罪加害者への刑罰が軽すぎるという論争は、凶悪事件の判決が出るたびに起こります。

日本は加害者に甘過ぎる。
という話はよく聞きますが、それは恐らく
懲役○年 執行猶予○年といった、刑期に
関する事でしょう。

では刑期ではなく、実際の刑の内容や
獄中生活についてはどうでしょうか。

ほとんどの方は、あまり考えたり調べたり
した事は無いと思います。

そこで今回は、刑務所で働いている私が、
彼ら受刑者の「刑」は甘いのか?という視点について私見を述べてみます。


あくまで私見ですが、端的に結論を述べると
「超甘い」の一言に尽きるでしょう。

刑務所で刑罰を受けている、というよりも、
合宿所で練習をしている、といった感じ。

なぜそんな雰囲気なのか?

それは刑務所内で起こった様々な事件の度に
法改正が行われ、結果、受刑者は法的にも、
人道的にも手厚く守られるようになった、
という経緯があるようです。

受刑者は刑務作業という労働がありますが、
8時間を超えることはありません。
休暇や水分補給も適宜あります。

受刑者に栄養バランスのとれた食事を
毎日配給する事は当然の義務であり、
「今日は罰として食事抜き!」なんて事は
絶対にまかり通りません。

もしも体調不良になれば、医師が無料で診察してくれますし、病院にも入院できます。

週数回の入浴と、毎日の運動時間の確保も
権利としてしっかり組み込まれています。

土日祝日は休暇の日になっていて、
本や漫画、音楽、テレビ、レクリエーション活動等を楽しむ事ができます。

社会復帰・更生プログラムの一環として
PC、介護、理容、調理、クレーン操作、
溶接等の様々なスキルも無料で学べます。

一般の人は何十万円、何百万円とお金を
使って学びに行っているのに、です。

まさに至れり尽くせり。

その他にもまだまだ沢山の「権利」が存在
していて、彼ら受刑者たちの権利を僅かでも侵害すると大問題になり、職員側が「懲罰」の対象になる可能性も往々にしてあります。

ですから職員たちの間でも、
「どっちが受刑者だか分からん…」
と、ため息まじりに愚痴が出るほどです。

他人の権利を侵害しておきながら、
自身の権利を主張する受刑者に対して、
否定的な感情を持っている職員は、
私の見る限り、決して少なくはありません。


犯罪者に対して、厳しい懲罰を下すか、
穏やかな対応で更生を促すか、どちらが正解なのかは私には分かりません。

ですが、実際に受刑者を観察してみて言えることは、どのような処遇であろうとも、

更生する意志のある者は更生するし、
反省の色の無い者は何も変わらない。
ということです。

1人ひとりに限界や制限はあるでしょう。
けれども、

自分次第で人生を変えることができる。

お決まりのセリフですが、刑務所という特殊な環境下でも、それは変わりません。

それが人生の普遍的な真実なのでしょうね。

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