日本経済の凋落はアニマルスピリットの有無ではない
華々しい大手企業の経歴を持つ手合いの無責任さは今に限ったことではないが、当記事における元経団連副会長の川村氏もその一人だ。彼はこう意見する。
歴史や資本主義を学んでいない故か、会社の評価基準にいきなりPBRを持ち出す始末である。大企業経営者の悪い特徴の一つである。そもそもPBR(株価純資産倍率)とは、株価を一株あたりの純資産で割っただけの値にすぎない。
たかだか、この程度の指標で会社の価値が決まるというのだから噴飯ものである。
彼の古巣である日立製作所は、かつては「日の丸半導体」と称される程の先端を走っていたが、今や国際的に見る影もない。もちろん日立の事業はそれだけではないが、国際的な影響力を加味すると、落ち目であることは確かであろう。その証拠に、2021年6月1日の衆議院における特別委員会の参考招致人として意見陳述した、湯之上隆氏は以下のように述べている。
日本政府は今更になって半導体産業にテコ入れしているが、もはや時すでに遅しであるし、財務省主導の緊縮路線では土台無理である。結局は、先端技術の育成は市場原理ではなく、国家主導によってでしか成しえないのである。
株主に迎合するだけの自社株買いやROE経営、コーポレートガバナンス改革を奨励し、日本経済の凋落を後押ししたのが、川村氏らが率いた経団連の連中ではなかったか。厚顔無恥とは彼らのためにあるのだろう。