デフレギャップ解消まで日銀は利上げをしてはいけない。利上げは自殺行為
9月消費者物価3.0%上昇 31年ぶり3%台、円安響く
インフレには大きく分けるとデマンドプル型とコストプッシュ型に分けられる。今回のインフレは確実に後者である。米国の大規模財政出動による旺盛な需要と、ロシア・ウクライナ戦争による供給制約が重なり、22年初頭からCPIは上昇している。
なにせ9月の契約通貨ベースの輸入物価指数は、50%も上昇しているのだ。だが、生鮮食品・エネルギーを除いたコアコアCPIは1.8%の上昇にとどまっている。なお日本は需要不足のデフレ圧力に晒されているのだ。
現在の輸入物価高は、米ドル独歩高と戦争による供給制約が主な原因である。しかし、デマンドプルとコストプッシュの区別ができない人が多いようで、この状況におよんで利上げを主張する声が出始めている。今利上げをすると、財務的に体力のない中小零細企業は間違いなく廃業に追い込まれるだろう。
中央銀行が利上げしてよいタイミングは、デフレギャップが解消されて後、2~3%の緩慢なインフレが確認できてからだ。アベノミクスを評価するつもりはない。しかし、これまでの金融緩和によって500兆円以上蓄積した民間銀行の日銀当座預金残高を、マネーストックに移すには政府による新規国債発行もしくは、民間資金需要のいずれかである。デフレで借入が増えない以上、政府の財出動という方法でしか、デフレギャップを解消する方法はない。
現在の円安は財務省による怠慢の結果にすぎない。一刻も早く、国民の可処分所得の補填、企業への資金援助、エネルギー自給率や食料自給率の向上といった政策に大規模予算を講じるべきだ。今やるべきは利上げではなく、大規模財政政策なのだ。
断言するが、仮に利上げがなされた場合、中小零細企業は倒産ラッシュになるだろう。資金繰りが如何に大変かは以下の表を確認すれば明瞭だろう。
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繰り返すが、現在のコストプッシュ型インフレは国民の賃金を確実に下げる効果がある。輸入価格上昇分は国外へ渡るため、可処分所得はどうしても低下する。今の状況で利上げするのは、栄養失調患者に食事ダイエットを進めるようなもので、自殺行為に等しい。絶対に利上げしてはならない。