検査結果を聞く、急に、一人きりで
がんの疑いと言われて検査をして結果を知る、つまりがんだと診断がつくのにどのくらいかかりましたか? それは想定していたシチュエーションでしたか?
弊家庭の場合、検査結果が出るまで2週間と言われました。
検査の後、胃酸の薬も出ていましたが、既に疼痛としてナルラピドを処方されているのでまぁ間違いないだろうという感じではありましたが、二人で一緒に聞こうと言っていました。
今回はそのすい臓がんほぼ確定だけど、正式な検査結果を待っている間の話。
初めての症状が
痛みや食欲不振の症状を抱えながら検査結果を待つある日、昼食を食べた後に夫が苦しそうにし始めました。いや、いつも痛そう、苦しそうなのだけど、リビングのテーブルに突っ伏したまま動けない。
やっと体を動かして、そのまま横になる。トイレに行ったりできるけれど、かなり苦しそう。翌日も横になっているか、布団の上で上体をかがめてつらそうにしている。つらいオーラが彼の周りに漂っている。
耐えかねて「病院に行こうか?」と聞くと「いい、行かない」と答える。
しかし辛そうオーラは時間を追うごとに強くなる。暗黒星雲が誕生するんじゃないかというくらい、つらそうオーラが彼の周りで渦を巻き始める。
翌日の朝、もう一度病院に行かないか聞いても、大丈夫と言う。
この日は平日で在宅でお仕事の妻。妻としては気になるがお仕事マンとしては夫の辛そうオーラが入ってこないように、部屋の扉を閉めて計2.5時間のリモート会議開始。最初の1時間会議は自分がホストでもあるので、しゃべったりまとめたりしないといけない。
会議も中盤に差し掛かったころ、それまで静かだった背後の部屋から突然、物音が。
嘔吐ラッシュ
音から察するに、どうやら吐いているらしい。何度もトイレに行って吐いているような。
嘔吐は初めての症状。
最初の1時間の会議が終了し、そのまま次の会議が始まるものの耳だけ参加していればいい会議なので急いで夫のところへ。
「吐いた」
吐いたらすっきりしたと言って布団の上に座っている。確かにツライ暗黒星雲の靄はなくなっている。それを聞いてまた会議に戻ったのものの、再び背後から何度も吐くためにトイレに行く様子が伝わる。
10回以上吐いているんじゃないか。当然会議の内容も頭に入らない。さすがにこの時点では病院に行くことに同意してくれたので急いで病院へ向かう。
告知
既に外来の時間が終わっていたので、救急で診ていただく。
救急外来の待合で2時間以上待った。自分のお仕事パソコンのキーボードを叩く音と、夫の吐く音が待合室を埋めている。
時間外のため検査入院の時にお世話になった先生はご不在。救急の先生が2名、いらっしゃって状況を説明してくださる。
「(がんの)検査結果はお聞きになっていますか?」
「まだです」
先生はちょっとためらわれたものの、現状を説明するためには言わないといけない。検査結果が出ていること、想定のとおりだったとお話してくださった。
すい臓がん、ステージⅣ、当確。
がんのせいであって、がんではない
救急の先生のご説明によると、今起きていることの見立ては、がんが大きくなって十二指腸を圧迫している。そのために食べたものが胃から十二指腸に向かって流れなくなっている。それで食べたものが胃に溜まって胃がパンパンに膨らんでいるのだと。
「このまま入院して、明日以降どうするか作戦を練っていきましょう」
さらに待つこと1時間弱、鼻にチューブを通された夫が車いすで出てくる。
すぐに入院病棟にあがり、私は入院グッズを取りに自宅と病院を再往復。
2人で一緒に聞く予定だったけれど、入院の対応をしないといけない慌ただしさと、嘔吐の症状の原因を正確に理解したかったこともあって、診断がついたインパクトはほとんど受けなかったように思う。
だが、夫はどこまで聞いたのだろうか。