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資本主義と相性がわるい思想を持っていると、ぶっちゃけ生きづらい
まず初めにお伝えしたいことは、私は仏教思想・老荘思想に強いあこがれを持っています。
でも、「人はそのままで良い」「自然のまま生きる」といった思想を実践すれば、この社会においては「成長意欲のない怠惰なやつ」という烙印を押されることは目に見えているから、取り入れづらいと感じています。
現代の資本主義社会では、個人の自由や競争、効率性、成果主義が強調されています。この社会的なベースに対して、さまざまな思想がどのようにフィットするのかを考えると、「生きやすい思想」と「生きづらい思想」に分けることができそうです。
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相性が悪い思想
今回は、具体的な思想を挙げながら、それぞれの生き方について考えてみます。
生きづらい思想:資本主義を土台にしない生き方
1. 老荘思想(道家思想)
老子や荘子に代表される道家思想は、自然との調和や無為自然(何もしない、力を入れない自然な状態)を理想とします。競争や成果を追い求める資本主義社会とは正反対の価値観です。
生きづらさの理由
資本主義社会では、目に見える成果や行動が評価されます。しかし、老荘思想は「流れに逆らわず、あるがままに生きる」ことを推奨します。この姿勢は、効率や競争が重視される現代社会では、怠惰や無関心と誤解されることもあるでしょう。例
自然豊かな田舎で、静かに暮らすことに価値を見出す生き方は素敵ですが、経済的な成功や社会的な評価を得るのは難しいかもしれません。
2. 仏教思想
仏教は欲望を減らし、苦しみから解脱することを目指します。物質的な成功よりも精神的な安らぎを重視します。
生きづらさの理由
資本主義社会は、欲望をエンジンとして成り立っています。新しい商品を欲しがり、さらなる成功を目指すことが経済を回します。しかし、仏教的な生活を送る人はこれに同調せず、むしろその流れから離れることで孤立する可能性があります。例
質素な生活を選び、自己の内面と向き合う仏教的な生き方は崇高ですが、周囲の価値観とぶつかりやすいでしょう。
3. ギリシャ哲学(ストア派、エピクロス派など)
ギリシャ哲学の多くは、物質的な豊かさよりも精神的な充足や内面の平安を重視します。
生きづらさの理由
ストア派は理性と自然との調和を追求しますが、資本主義的な「より多くを得る」という競争的な価値観に対しては距離を置きます。エピクロス派も、必要最低限の快楽を求めるだけで満足する思想であり、消費社会とは相容れません。例
自分の幸福を小さな範囲で追求する生き方は、資本主義社会で「野心がない」と見なされることがあります。
生きやすい思想:資本主義と調和する価値観
1. 儒家思想
儒家思想は、人間関係や役割、社会秩序を重視します。資本主義における分業や責任分担と親和性が高い思想です。
生きやすさの理由
資本主義は組織の力によって成り立つため、儒家の「上下関係」や「役割を全うする」思想は、社会の仕組みに馴染みやすいです。例
職場での役割をしっかり果たし、同僚や上司と良好な関係を築く人は、儒家の価値観に基づいて成功を収めることが多いでしょう。
2. アリストテレスの「目的論」
アリストテレスは、すべての存在には固有の目的(テロス)があり、人間の目的は自己実現(エウダイモニア)であるとしました。
生きやすさの理由
資本主義社会では、自己実現を追求することが奨励されます。スキルを磨き、成果を上げることは、アリストテレスが説く「目的を果たす」行為に通じます。例
自分のキャリアを通じて成長し、社会に貢献する生き方は、資本主義とアリストテレスの目的論が重なる部分です。
3. 功利主義(Utilitarianism)
功利主義は、最大多数の最大幸福を追求する思想です。効率的な資源配分や成果を重視する資本主義と非常に親和性があります。
生きやすさの理由
資本主義は、効率よく利益を上げ、社会全体の富を増やす仕組みを持っています。功利主義の「結果が重要」という考え方は、資本主義的な価値観と一致します。例
企業活動を通じて利益を追求しつつ、社会的な影響も考慮するCSR(企業の社会的責任)は、功利主義的なアプローチの一例です。
まとめ:思想と生きづらさのジレンマ
資本主義社会では、競争や効率を重視する価値観に合致する思想が生きやすい傾向にあります。一方で、老荘思想や仏教思想、ギリシャ哲学のように、内面的な平和や欲望の抑制を重視する思想は、資本主義の流れに乗りにくく、結果として生きづらい道を選ぶことになりほうです。
とはいえ、こうした生きづらい思想には深い魅力があります。それは、資本主義が見落としがちな精神的な豊かさや、物質的成功を超えた人間の本質的な幸福を探求するものだからです。どの思想を選ぶかは個人次第ですが、現代社会においては、これらの思想を部分的に取り入れながら、自分の生き方を模索していくことが大切なように思います。