補習校と日本人女性の生きづらさ
こんにちは、Sunです。
長い夏休みが明けた
長い夏休みが明け、英国では新学期のシーズンがやってきました。英国では9月が新年度。下の子はReceptionからYear 1に上がり、同じ小学校ではあるものの正式に"Year X"という称号が付いたことがとても誇らしげ。
現地校が始まったということは、同時に補習校も再開したということ。補習校は日本の学年・学期に完全に準拠しているので、9月から2学期が始まるということになります。ご多分に漏れず鬼のように大量の夏休みの宿題をもらった上の子は、両親の叱咤激励のもと(殆ど「叱」るのみでした)、毎日のように涙を流しながら宿題に取り組み、観察日記・絵日記・読書感想文・音読・漢字ドリルをこなしましたとさ、めでたしめでたし・・・
改めて補習校というのは、海外にいる日本にルーツのある子女に対して日本語教育を施すことをマンデートとしており、「日本語を忘れる可能性のある」子供たちが通うことになるため、そのご両親は長期駐在・永住者であることが多いです。
そんなロンドンの補習校に子供を送り迎えしているとハーフの子供たちがそれなりに多いのですが、その両親の人種構成の偏りがすごい気がします。体感ですが、ハーフの子供たちの95%が「日本人母、外国人父」であり、逆に「日本人父、外国人母」のパターンは殆ど見かけません。
そういえば日本のテレビの取材でも、日本人女性と外国人男性がパートナーシップ・結婚している映像はよく見かけませんが、その逆は少ない気がする。補習校の母親が日本人女性であることとは肌感覚としては合うのですが、これは本当にそうなのでしょうか?特に日本人女性は昔から、「繊細で細やかな気遣いができるからモテる」と言われていますが、そんな蝶々夫人みたいな世界観が理由で日本人女性は海外で結婚しているのでしょうか?
在外邦人に関する統計データ
残念ながら、在外邦人の婚姻に関する統計や、英国における国籍別の国際結婚に関するデータはこの世に存在しません。このため、男女別の在外邦人数の推移をみることで、上記の論点に対して一定の示唆を考えてみたいと思います。
上記は、外務省の統計を私がグラフとして構成したものとなります。前提として、長期滞在は「在留期間が3カ月を超える法人(=留学・駐在など)」、永住者は「在留国において永住権を認められており、生活の拠点を日本から海外へ移した邦人」というものになります。
うーん、このグラフを見ているだけでも、いろいろな示唆が見えてきて大変面白いです。代表的なインプリケーションは以下でしょうか。
在外邦人は全体としては増加基調だが、2019年度をピークに近年は減少。これはコロナの影響でしょうね。
コロナの影響は長期滞在者で特に大きく、男性・女性ともに2019年度から2023年度にかけて-5%程度台の減少。
コロナピークの20-22年度に減少しているのは納得ですが、コロナ明けの23年度になっても長期滞在者の人数が下げ止まっていないのが興味深い。
この間為替円安やインフレ等もあり、コストに見合わず日本企業の海外駐在員が減らされていたり、海外留学する方々が減ってきているということなのだと考えられます。
女性の永住者はどのグループよりも増え続けている。特に、2002年度以降コロナ直前まで年率4.0%の高い成長率を記録し、コロナ禍ですら2.7%も増加。足もとでは全体に占める割合が28%と、男性の長期滞在者をあと少しで上回るレベル。
補習校の日本人お母さんの母数となっているであろう「永住者×女性」というグループは、他のどの在留邦人グループよりも高い伸び率を誇っているということが確認できました。論点に対して完全な答えは出てきませんでしたが、一定の回答は見えてきた気がします。
それでは、なぜ「永住者×女性」グループが高い伸び率を誇っているのでしょうか?
日本人女性の「生きづらさ」とは
ここから先は、知り合いや飲み会などで知り合った方々からのミクロな声からしか推測し得ませんが、私なりの回答としては「日本という国は女性にとって住みづらすぎる」ことにあるのではなないかと考えています。
海外で永住している女性が口をそろえて言うのが、日本は常に誰かに監視されている気がする、ということです。日本には「女性は結婚して家に入って子供を作らなければならない」という価値観が未だに根強いですし、その道から逸脱した生き方をしている方々に対して冷たい目線を送るところがあります。特に、30-50代の独身女性に対しての目線の厳しさは常軌を逸したものがあります。
対して、海外に永住した日本人女性は、こうしたしがらみからある程度解放されます。そもそも欧米は日本よりも個人主義が進んでいて「幸せな生き方」に対する考え方の幅が広いです。さらには、これは私自身が感じていることですが、「外国人であることの自由さ」もしみじみと感じます。欧米では日本人は「外人」でありマイノリティです。少数派だからこそ、多様な生き方をしていてもそんなに目立ちませんし、誰も気にしないし、「ふーんそんな生き方をしてるんだ」程度にしか思われません。
私も以前妙齢の独身女性との飲み会で、友人と生き生きとヨーロッパ旅行を飛び回っている話をお聞きしましたが、こうしたことは日本国内ではやりにくいのではないかと推察します。こうした「生きづらい日本から脱出したい」というモチベーションが高いのが日本人女性であり、永住者の増加を牽引しているように感じます。
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