越境
土地売買の買い側の仲介に入った。
市街化調整区域の線引き前宅地。
古い工場が建っていて解体更地渡しの条件。
あとは確定測量も売主側で完了してからの引き渡し。
いわゆる「旗竿地」と呼ばれる形状で、最初から路地状部分が2.5mないかもしれないと言われていた。
確定測量してもし2.5mに達しない場合は白紙解除という条件をつけてもらう。
測量を入れたところ2.43mで7センチの不足。
そこは隣地の所有者にお願いし、7センチ分けてもらい、それ以外のところを譲るなどして、何とか2.5m確保できた。
ただし、境界を隣地に寄せた事で、隣地の軒の出が越境してしまった。(実は最初から若干の越境していることは売主側は把握していたらしい)
確定測量のための隣地との立会の日、売主側大手不動産業者の担当者から
「実は隣地から軒が越境してることがわかったんですが、覚書を交わすという事でいいですよね」と電話があった。
そこで未熟な私は(越境=覚書)という浅い認識で「はい、お願いします」と返答してしまったのだ。
それから数ヶ月後、既存建物の解体も終わり、建築確認申請の前の開発許可申請中に事件は起こった。
設計部門から、軒の出を解消するよう通告があった。
様々な方法を考え、開発審議会に交渉した。覚書では駄目との事。解消するには越境部分の土地を分筆して申請から外す→ギリ2.5m確保のため不可
残った方法は、
「隣地の屋根を切る」
なんということ…
ではその越境是正工事の費用はだれが持つのか。
買:そもそも最初から越境していたのであれば、隣地が持つべき。
売:いやいや、2.5m確保するため土地を分けてもらったからそれは無理。それに覚書でいいと言ったじゃないですか
買:それは家が建てられる前提で、越境している事実は覚書で次回建て直す時に引っ込めることを承諾したのであって、それによって家が建てられなくなるならそもそも白紙解除ではないでしょうか?
売:解体してしまっているので、白紙解除は無理です。違約金払ってください。
買:はぁ〜?
と、平行線の会話が続くだけで、全く解決に向かう気がしない。
ただ、今更白紙だろうが違約だろうが、契約を解除する事で誰も得はしない。
幸い隣地の方は屋根を切る事自体は了承してくれたので、結局費用は売買両業者が折半することになった。約60万円の半分。土地が1000万円ぐらいだったので、中手はほぼ飛んでいく。
2ヶ月延長して1月末ようやく決済。
教訓:売主側の業者(売主)から聞かれたことは、全て買主(建築側営業)に確認すること。