水樹和佳先生の作品紹介(1970年代編)

かつて水樹先生のホームページにて、CD-ROM画集についてこんなお知らせがありました。

画集をイティとイティ以前のものにわけ、イティ以外のもの……は、カラー・モノクロとも、全作品の表紙が入ります (中略)それからそれから容量的になんとか入ったら (^^;)、コミックス未収録作品が一本はいるかもしれません

水樹和佳子ホームページ1998年2月14日「1月の近況」より引用

しかしその後…

予算の関係や容量の関係で(^^;)男性陣の声の出演はありません。(女性のみなさん、ごめんなさい)もはや何を削るか……というところまで容量はぎりぎりいっぱいの状態のようです(^_^;)。イティの他にもこれまでの作品の表紙が全部入る予定なんだけど……入るのかな?(^_^;)

水樹和佳子ホームページ1998年8月4日「6月と7月の近況」より引用

結局、容量の都合でカラー原稿だけが収録され、全作品の表紙収録は叶わなかったようです。残念。
そんなわけで、公式も、過去のファンサイトでも(多分)やっていない「水樹先生がデビューしてからの全作品表紙画像&掲載情報紹介」をやってみよう!と思い立ち、資料収集を始めて早1年半。ようやく70年代の作品の情報が集まりましたのでご覧ください。表紙はすべて雑誌掲載時のものです。


かもめたちへ…

掲載誌:りぼん1975年7月号
収録書籍:りぼんマスコットコミックス『褐色の童話』
概要:水樹先生のデビュー作。船乗りの父さんと、血の繋がらないきょうだいたち11人のハートフルストーリー。


葦の中のフランツ

掲載誌:りぼんデラックス1975年秋の号(創刊号)※
収録書籍:なし
概要:義理の叔母に連れ去られ、外の世界を知らずに育った少年と、それを取り戻そうとする家族のお話。
(単行本未収録のためあらすじ紹介記事あり)

※各種公式情報だと夏の号、となっていますが、りぼんデラックスは75年9月に創刊されて「AUTUMN」と表記があるので正しくは秋の号(=創刊号)掲載です。

ユーフェミア

掲載誌:月刊セブンティーン1975年11月号
収録書籍:りぼんマスコットコミックス『褐色の童話』
概要:幻想の世界に生きる青年・ユリアンと、そんな彼を見守る少女・フェリシィの交流を描いた抒情的作品。

冬ふうりん

掲載誌:りぼん1975年12月号
収録書籍:ぶ~けコミックス『天女恋詩』
あらすじ:主人公・春野(はるの)は15歳の受験生。12年前に母を亡くして以来、父と兄は色々と努力しているのに、自分だけは惰性で生きていると思い悩むが…。


雪のひとひらに

掲載誌:りぼん1976年2月号
収録書籍:ぶ~けコミックス『灰色の御花』
あらすじ:主人公の少年・エーネは、かねてより入院中だった母を亡くす。常に愛を求め、かつての恋人・エルンストを想って泣き暮らしていた母が死に際に微笑んでいた理由を確かめるため、エーネは正体を隠してエルンストの元を訪れることにした。


雨あがり

掲載誌:りぼん1976年4月号
収録書籍:ぶ~けコミックス『典型的な悪友』
あらすじ:母の入院を機に、口下手で堅物な父と二人きりで生活することになった高校生の麻子。父と事あるごとに衝突するが、家にやってきた遠縁の青年・正史や、親友・ゆみを交えた日々の中で父の愛情を理解していく。

褐色の童話

掲載誌:りぼんデラックス1976年春の号
収録書籍:りぼんコミックス『褐色の童話』
あらすじ:ジュリアは自動車事故で同乗していた母を亡くし、自身もケガによってバレリーナの道を閉ざされ絶望の淵に沈んでいたが、教会に住む青年・トビアスの愛に触れて立ち直る。しかしトビアスは余命いくばくもなく…。


オー・ボヘミアン!

掲載誌:りぼん1976年8月号
収録書籍:ぶ~けコミックス『典型的な悪友』
あらすじ:ミュージカルの主役に抜擢された青年・バーソロミューは、役作りのための旅の途中、ボーイソプラノが印象的な少年・ルースと出会う。旅の途中のハプニングがきっかけでルースはバーソロミューと共にミュージカルに出演することになる。


手風琴

掲載誌:りぼんデラックス1976年夏の号
収録書籍:なし
あらすじ:金髪に青い目の外国人を見ると暴力行為に勤しむ少年・柔三郎。それには、最愛の従姉・飛鳥を巻き込んだ、過去の事件が関わっていた。
(単行本未収録のためあらすじ紹介記事あり)


花咲かぬ村の奇跡

掲載誌:りぼんデラックス1976年秋の号
収録書籍:りぼんマスコットコミックス『褐色の童話』
あらすじ:とある山奥。「花喰い」という化け物によって麦以外の花が全て食いつくされてしまう貧しい村があった。人間の牧師に化けて村の教会にやってきた天使・ヨシュアは花喰いを退治しようとするが、そこに花喰いに見初められたという魔女のアニタが現れる。
 


夢追い人と桜の木

掲載誌:りぼんデラックス1977年春の号
収録書籍:ぶ~けコミックス『灰色の御花』
あらすじ:桜賀神社の桜の木には、一人に3つ願いを叶えてくれるという言い伝えがある。桜の木にまつわる思い出が元で漫画家を目指す妃子(ひめこ)は、同じく桜の木に何か特別な思いを抱く、堅物生徒会長の左近(さこん)と、ひょんなことから繋がりが出来ていく。


ローマ・終着駅発

掲載誌:りぼん1977年4月号
収録書籍:りぼんマスコットコミックス『褐色の童話』
あらすじ:イタリア・ローマの片隅で、両親を亡くした15歳の少年ニーノは観光ガイドをしながら幼い弟二人を養っていた。フランスの女性刑事・ギャビーは捜査のため、部下であるピエールとローマにやってくるが、ひょんなことから潜伏先のアパートでニーノ達と共同生活することになる。


天女恋詩

掲載誌:りぼんデラックス1977年夏の号
収録書籍:ぶ~けコミックス『天女恋詩』
あらすじ:夏休み中、友人の別荘に遊びに来た嗣人(つぐと)は、不思議な雰囲気をまとった美女・楸(ひさぎ)と出会う。楸の弟・武によると、嗣人は楸・武の兄で現在は行方不明になった七星(なせ)に生き写しだという。武に依頼され、嗣人は夏の間だけ、楸のために七星のふりをすることになった。
 

クイニーと博士とetc…

掲載誌:りぼんデラックス1977年秋の号
収録書籍:ぶ~けコミックス『天女恋詩』
あらすじ:雑誌記者のクイニーは、ここ最近世間の話題を独占している著名人5人について、とある共通点を見つけていた。そんな時、上司の指示で謎めいた天才科学者・ミューラ博士の取材を命じられるが、博士が悪の組織に拉致される際に自身も巻き込まれてしまう。博士の秘密とは?そして博士とクイニーは悪の組織から無事逃げられるのだろうか?

浪漫ティック・雪

掲載誌:りぼん1978年2月号
収録書籍:創美社コミックス『樹魔・伝説』、ビームコミックス『浪漫ティック・雪 水樹和佳子ベスト自選傑作集』
あらすじ:敬愛する詩人・宮島明が教鞭をとるK大への入学を志していた主人公・遥香(はるか)は、父が亡くなったことで進学を断念し就職することになった。父が好きだった雪の風景を見るため、雪国に小旅行に出かけた先で、不思議な外国人の青年・ジェレミーと出会う。



苦麗児プロポーズ

掲載誌:りぼんデラックス1978年春の号
収録書籍:ぶ~けコミックス『月虹 後編』
あらすじ:成績優秀眉目秀麗のプレイボーイ・ソルは、拾った赤ん坊を育てるべく、自身の伴侶であり赤ん坊の母親役をしてくれる女性を探すことにした。しかし生真面目な同級生のリリアンは事実を知るや、子供は実の母に返すべきだと主張する。ソルは伴侶を見つけられるのだろうか?


まぶしくてみえない

掲載誌:りぼん1978年7月号
収録書籍:なし
あらすじ:主人公・ライナーは、実の兄のように慕っていた青年・ヨゼフが事故で亡くなってしまい、それがきっかけでヨゼフの婚約者であったフローリアンと数日間の交流をすることになるが…。
(単行本未収録のためあらすじ紹介記事あり)


灰色の御花 前編・後編

掲載誌:ぶ~け1978年10~11月号
収録書籍:ぶ~けコミックス『灰色の御花』
あらすじ:第二次世界大戦終了後まもないフランス。青年ギーは、自分は人間でなく花だと主張する少女・エリアヌに出会う。

補足説明:水樹先生初の前・後編連載。雑誌掲載時から単行本化の際に少々加筆されています。


人魚姫

掲載誌:りぼん1978年12月号
収録書籍:ぶ~けコミックス『海のほとりの王国で…』
概要:アンデルセン童話の名作「人魚姫」を、水樹先生が漫画化。きっかけは読者さんより「先生の描いた人魚姫が読みたい」と言われた(※)からだそうです。
(※)CD-ROM画集『水色ノ言霊』解説


その名も耶蘇君!!

掲載誌:りぼん1979年3月大増刊号※
収録書籍:なし
あらすじ:親の都合で入学させられた高校に馴染めないぼっち少女の秋緒。ある日、秋緒のクラスに不思議な美少年・耶蘇が転入してくるが、彼はちょっと頭のネジが飛んでおり、様々な騒動が巻き起こる。
(単行本未収録のためあらすじ紹介記事あり)
※各種公式情報では大体「3月号」となっていますが実際は増刊号です。


センチメンタル・ブロンド

掲載誌:ぶ~け1979年6月号
収録書籍:なし
あらすじ:15歳の少女・ヴァイは、母の再婚がショックで家出してしまうが、それを追いかける謎の青年が居た。家出中に出会った女性・サラに別荘に招待され、3人はちょっと不思議な数日間を過ごすことになる。
(単行本未収録のためあらすじ紹介記事あり)


幻想銀河へ

掲載誌:ぶ~け1979年9月号
収録書籍:ぶ~けコミックス『天女恋詩』、幻冬舎バーズコミックス『星のファンタジー2』
あらすじ:厳格な母親とうまくいかず、高校のクラス内でも浮いている甦夜子(そよこ)は明日で17歳になる。しかし17歳は姉・美鳥(みどり)が自死した年齢であり、孤独や恐怖感に悩まされていた。そんな時に後輩から誕生祝いで貰ったオルゴールを開けると妖精が出現し、「自分を守りたいなら石を投げればいい」と助言をしてきたのだった…。


樹魔

掲載誌:ぶ~け1979年12月号
収録書籍:ぶ~けコミックス『樹魔・伝説』ほか多数
あらすじ:西暦2500年、地球は膨大な数の巨大流星群に襲われ大打撃を受け、地球連邦政府が設立された。それから5年後、研究都市に所属するイオ・フレミング博士は、連邦政府が南極を探査して発見した謎の超生命体を調査すべく現地に赴き、そこで少女・ディエンヌに出会う。

補足説明:言わずと知れた水樹先生の代表作。
発表当時は各種SF雑誌で絶賛されたのですが、先生本人と編集さんはSFでなく感動モノという認識だった(※)…という裏話があります。
(※)CD-ROM画集『水色ノ言霊』解説


1980年代の作品紹介については、いつか資料が集まり次第アップ予定です…


一つ余談を。

当時は毎月一人、漫画家の先生を占っていました


こちらの画像はぶ~け1979年7月号掲載の「ラブ★スターしあわせ占い」です。
水樹先生の占い結果は「秋から来年にヒット作誕生」。

そして水樹先生は占いの通り、1979年の12月号で『樹魔』を発表し、
続編の『伝説ー未来形ー』で1981年星雲賞を受賞することになります。
『樹魔・伝説』のヒットは思わぬ場所で予言されていたのですね。

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