文庫版の加筆について

イティハーサは文庫版発売に際し、一部ページが加筆されています。
水樹先生のHPの日記によると、豪華本・コミックスだと全15巻のところを7冊にしたため、一部ページのつなぎ目が不自然になる部分を穴埋めするのが主な理由だそうですが、後半になると連載当時のページ不足を補うためのものになる可能性が高い…と書いてあったので、豪華本と文庫版を実際に突合して確認してみました。
結論を先に書きますと、話の流れが変わる加筆はありませんでしたが、7巻については豪華本・コミックスしか読んだことのない方なら一見の価値ありと感じました。

※ページ数はいずれも文庫版のものです。

<一巻>
p215…鷹野が神剣を持って「威神を倒す!!」と言った場面の続き。鷹野の台詞を聞いて複雑な表情になる青比古。やる気に溢れた感じの鷹野。
(豪華本1巻と2巻の繋ぎ)

p430…トオコが瀕死の鷹野に生命力を移して冷たくなる場面(コミックス・豪華本2巻の最終ページ)の続き。魂が抜けてどこかの空間に浮遊するトオコ。(豪華本2巻と3巻の繋ぎ)

<二巻>
p368…夜彲王が目覚めるシーン。暗闇の中から光を受けて目覚めるような描写。(豪華本4巻と5巻の繋ぎ)

<三巻>
p6…月夜の絵。キャラクターの描写無し。
(文庫版三巻=豪華本5巻の途中部分から始まるので、頁を埋めるためと思われる)

p120…青比古が陰石の真言告で迎撃する場面。
トオコ「こんな強い陰石ははじめて…」
苦しむ威神の戒士たち。
トオコ「ああ…やめて!!」
(この場面は豪華本だと5巻と6巻の繋ぎ目で、1頁空いてしまうので穴埋め)

p443…那智に抱えられた青比古が、天幕の中で眠り続けるトオコに対して思いを馳せる場面。「そうして…幾度も生まれかわることがおまえの運命なのか…」というモノローグ。
豪華本だと、このモノローグの直後は髪を下ろした桂のコマになるのだが、p443は文庫版三巻の最終ページになる都合か、眠り続けるトオコの絵を足してある。

<四巻>
p6…三日月のコマ加筆。
p7…桂の横顔、それを見つめる鷹野のコマ加筆。
p92、93…見開きページで山間部に雪が降る描写。

<五巻>
p232、233…幻霧の森で鷹野がトオコの幻を追いかける場面。トオコの姿が追加されている。
p354,355…不二に向かう途中、威神の戒士達に焼かれた村を見て火夷が逃げ出す場面に加筆。過去に殺めた人々の姿が脳裏に蘇り苦悩する火夷。

<六巻>
p264…幻霧の森で魔物と対峙するトオコ(豪華本だと12巻と13巻の繋ぎ目で、1頁空いてしまうので穴埋め?)

<七巻>
p6…海に落ちた鷹野のコマと、空子都のコマ追加(豪華本だと13巻と14巻の繋ぎ目で、1頁空いてしまうので穴埋め)
p216…「第五部 最終章」と書かれた宇宙空間のような頁の追加
p217…豪華本15巻だと最初の頁(「それ故、我等はここに神々のかけらを記す・・・・・」)がここに移動している
p258、259…空子都が想いを吐露する場面追加。
p260…前の頁でコマが追加されたので穴埋めのために鷹野と香夜のコマ追加。
p346、347…天音を斬った鷹野が苦しみだすシーン。苦しむ鷹野と、絶望した表情の空子都のコマ追加。
p348、349…空子都が鷹野に呪いをかけていたと告白するシーンのコマを入れ替え&加筆(豪華本p148、149の部分)。
p374…上空からトオコを見つめていると思しき夜彲王のシーン追加。
p379…トオコが永久蛇への神路を開くシーンの次の頁。真っ白なページに「トオコ…」と夜彲王の台詞のみ。
p438~441…桂が夜彲王を見つけて呼び止めるシーン。コマ追加。

全て確認して感じたのは「やっぱりイティハーサって最初から完成度高かったのだな」ということでした。


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