見出し画像

壊れていく記憶…

病院での診断が遅かったのもあると思うが母の症状は確実に進行している。最早会話が成り立たないというか、30秒前の会話も忘れてしまうことが度々ある。きっと頭の中で話の内容がまとまらないのだろう。頭がボウっとするとよく言っているので脳の中の記憶の引き出しが段々空っぽになりつつあるのかもしれない。前までは昔の記憶は覚えていたのに、今はそれさえも忘れつつある。私の事も娘だと認識していても、知ってる他人へと移行していってる気がする。私は初めて泣いたかもしれない。母が認知症だと診断されても絶望はしなかった。色々調べてまだ母は大丈夫だと思っていたからだ。頑固だが本当に娘の私が言うのもなんだが可愛らしい人なのだ。だから認知症になっても可愛らしい笑顔は健在だったので乗り切れると思っていた。だが認知症は母から笑顔も奪ってしまう。楽しく会話をしていて急に黙り込む事があるのだが、ふと顔を見ると無表情で前をボーッと見ている。その表情が今まで見たことのないなんの感情も見えない感じで恐ろしさを感じた。その時にもう限界がきているのかもしれないと初めて涙が出ました。いつまでも一緒に暮らしたいし、心配をかけた分親孝行したいし、最後はできるなら家で看取りたい。でも今の母にとっての最善は何か今だに答えが出せないでいる私は親不孝者である。

いいなと思ったら応援しよう!