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神楽物語集・二『魚鱗之舞』演出ノート


こんにちは。劇団ヨアガキ主宰の興梠陽乃(こうろぎひの)です。
このnoteでは〖劇団ヨアガキ 神楽物語集・二『魚鱗之舞』〗の作品上演にあたり、スタッフワークの裏側をご紹介します。

初回は私、脚本・演出を務めます興梠が書かせていただきます。
演劇したいけど始め方、続け方がわからない!
演劇作品ってどうやって作るのかしら?
そんなお悩みをお持ちのアナタ!
そこのアナタに、劇作・演出をはじめて3年目の興梠から、3年という短い時間の中でできあがってきた作品作りのレシピを紹介!!
みたいな文章になればいいな~と思います。
みんな!!!!!!!!演劇しようぜ!!!!!!!!


神楽物語集・二『魚鱗之舞』

 作・演出 興梠陽乃
■日程 :10月25日(金)・26日(土)・27日(日)
■会場 :THETRE E9 KYOTO
■ご予約 :THEATRE E9 KYOTO (askyoto.or.jp)
■チケット:
[自由席/日時指定/税込]
一般:前売3000円 当日3500円
U25:前売2000円 当日2500円
応援チケット:5000円(前売当日一律)

【あらすじ】
ある役人が村を訪れる。厄介な村だ。
理解し難い信仰があり人魚の肉を奉る。 村に攻め込む先陣として送られた役人は村の中、一心不乱に踊りつづける人々を目にする。
中心には一人の女が舞っていた。


『魚鱗之舞』とはこんなお話です。
ではこの作品をどうして作っているのか、どうやって作っているのか、お話していきたいと思います。


1.『神楽物語集』というおとぎ話

『水魚之仰』について少しご紹介

『神楽物語集』とはちょうど2年前の2022年10月、劇団ヨアガキ神無月公演『水魚之仰』から始まった、いわば「人魚信仰にまつわるおとぎ話シリーズ」です。もう少し堅い言い方をすると「伝承・神話」を作っています。
各物語で生まれたり、育ったり、壊れたりした信仰が数百年後どのような姿で受け継がれているのか、その様子を次の物語で描く、という連作になっています。

その第一章『水魚之仰』は「人々の心の中に『信仰心』が生まれた瞬間」を描いた作品です。つまり神話の始まりの物語です。

【実はYouTubeで全編公開しています🐟】
【演劇】劇団ヨアガキ神無月公演『水魚之仰』 (youtube.com)

苦しみのない人に、信じるという行為は向いていないように思います。
そして人がそれを信じるとき、人の目には必ず「信じたい姿」しか映らないのではないか、とも思います。信じたい姿、それを投影し、投影され、そうやって人々はそれでも寄り合い生きている。
『水魚之仰』は「人魚の姿」を投影された男の子、「人魚の姿」を投影することを覚えてしまった人々の物語です。

では『魚鱗之舞』とは?

神楽物語集・二『魚鱗之舞』は、『水魚之仰』で生まれた人魚信仰を知る男が旅をし、遠い土地でその記憶を伝えた約800年後のお話です。
村が町になり、町が国になろうとしている時代の流れの中で、変わらずある苦しみと救いとしての信仰。
それらはどんな姿をしているのでしょうか?
気になる方はぜひ劇場へ🐟

2.人間、人間、人間!!!

結局すべては人間だ!!

伝承や神話を題材にした作品はジャンル関わらず多いと思います。例えばギリシャ神話や遠野物語など、私も大好きです。
『水魚之仰』を書き始めたとき、私は結構、今この瞬間日々を生きている人々の織り成す生活の物語がそのまま神話じゃないか!と思ったのです。

そして「それは本当に、本当に伝えられたままあった出来事なのか?」「伝えられた出来事の裏で、人々は何を感じ、考え、生きていたのか?」という疑問も、同じくそのまま神話であり、生活の中で感じるものではないかと。歴史と生活は、物語と現実は、地続きではないかと。

例えば、戦争、紛争、差別、この世界の中で、皆は何を感じ、抗い、それぞれの戦いを続けているのか。生き残ることはそれ自体戦いだとして、その戦いの様子を舞台に見つけたとして、あなたは、あなたの生活はどうですか?

……という対話を、私は作品を見てくれた人々と、作品を媒体にして行いたいのです。

3.生活は演劇。演劇は生活。

演劇の話に戻りましょう。

さて、演劇の話をしましょう。
まず、作品を作り始めるときにすることは、実際に演じる役者さん達の話を聞くことです。
具体的に言うと、ひたすら雑談をしてもらいます。
テーマ『お祭り』『座右の銘』『兄弟姉妹について』
など、テーマをいくつか決めて、役者さん同士ペアだったりグループだったり、ひたすら雑談してもらいます。

そのお話の中で、この人はこういう時にこういう考え方をするんだな~この人の感情が動くのはこういうときなんだな~など興梠が勝手に見たものをもとに、各キャラクターが作られていきます。
演じる人の人格のエッセンスが入ったキャラクターが、架空の世界で動いていく、という感覚です。

これは結構危険なやり方で、興梠が感じたことが全く間違っていて「俺はこんな人間じゃないよ!」となる可能性もあります。
そして申し訳ないと思っているのですが、私個人、そういったある種暴力的な創り方と、間違ってしまう危険性と、そもそも人格に正しさってないよね?という感覚と、そういった有象無象がるつぼの中で影響し合うこの創り方が結構気に入っています。

演じる人間、世界に生きる人間、その全ての人間の生活が詰まった作品が演劇になる。気づいたら演劇が生活になっている。どちらが架空で現実か。
これは生身の人間でしか作れない演劇というコンテンツだから成り立つ現象だと思います。

4.脚本は演出。演出は脚本。役者によるスクリップ&ビルド。

破壊者であり創造者である役者さん

こういった感じで話を書き、演劇作品にしてきましたが演劇は生身の体と音響照明その他もろもろ、実際人目に触れるときには文字から完全に離れた様子をしています。

興梠は脚本を書くとき、ほとんどの場面は映像で頭に浮かんできます。結構こういう作家さんいるかもしれません。
これは完璧に、興梠が映画っ子として育ち和歌山県和歌山市某所のTSUTAYAに入り浸りながら過ごしていたことに起因します。
ワンダーランドとして知られる田舎のTSUTAYA。無数の映画やロックンロールのCDの街、18禁ののれんの奥に潜む深淵の森。そのすべては今、ドラッグストアになってしまった。

浮かんだ映像を舞台上で再現するにはどうしたら…?そんなことをかんがえつつ脚本を書くので、完本した時点で結構演出が固まっていることが多いです。
そんでそれを一応役者さんたちに伝えるのですが、そういうのは大体みんなの力で最終的に全然違うものにできあがって舞台上に君臨することになります。
それ本当にできる?できたとして面白い?こっちの方が面白くない?ていうかこの役ってむしろこういう行動するくない?みたいなことを役者さんたちがどんどこ言ってくれたり、聞いてくれたりする稽古場。
これこれ、この時間が一番大事なんや!と思いながら毎回稽古しています。ありがとう、みんな。

5.さいごに

レシピになんか全然なりませんでしたね。
こういう風に演劇を作っている人もいるんだ~とざっくり思っていただけたら嬉しいです。
そして、この神話、『魚鱗之舞』を会場に見に来てくださったらもっともっと嬉しいです。ぜひ演劇を通してたくさん対話しましょう🐟

神楽物語集・二『魚鱗之舞』
 作・演出 興梠陽乃
■日程 :10月25日(金)・26日(土)・27日(日)
■会場 :THETRE E9 KYOTO
■ご予約 :THEATRE E9 KYOTO (askyoto.or.jp)
■チケット:
[自由席/日時指定/税込]
一般:前売3000円 当日3500円
U25:前売2000円 当日2500円
応援チケット:5000円(前売当日一律)

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