槌指(Mallet finger)
概要
槌指はスポーツ(バスケットボール、バレーボールなど)でボールが指先に当たることで指に対して長軸方向に外力が加わることで生じます。いわゆる、突き指です。
また、槌指(つちゆび)という名称は槌指の形がDIP関節が屈曲位でMP、PIP関節が伸展位になることで側面から見た際に木槌のように見えることから付けられたようです。
病態
外力を受けた際にその外力の強弱、エネルギー方向により大きく2分されます。
骨性槌指
・末節骨基部が裂離骨折した状態
・末節骨基部が裂離骨折しつつ、末節骨の掌側脱臼を伴う(高エネルギー)腱性槌指
・終止伸筋腱が断裂する
治療
保存療法
腱断裂、転移が少ない骨性槌指は一般的には保存療法を選択されます。腱断裂部の状態に
よっては腱縫合を行う場合もあります。
また、保存療法の際は作業療法士(OT)が作成するsplintもしくは技師装具士が作成する装具
にてDIP関節を安静固定されます。固定期間は状態によりますが一般的には6週間程度となり
ます。
固定するsplint、装具の種類も多種あります。(コイルsplint、セーフティーsplint、
マレットフィンガーsplint、スタックsplintなど)手術療法
一般的に石黒方による鋼線刺入での固定となります。
固定期間としては、状態によりますが早ければ3-4週間、遅ければ4-6週となります。
リハビリ
保存療法
保存療法の場合はsplint作成より介入します。
DIP関節が安静固定とし、他指とMP関節のリハビリ訓練を行います。(PIP関節は隣接関節の
ため主治医の許可があれば拘縮を生じさせない程度にとどめます)手術療法
鋼線固定関節を可動しないように留意しつつPIP、MP関節、他指のリハビリ訓練を施行する。
鋼線抜去後にDIP関節が屈曲位となる可能性がある場合には早期よりsplint装着を行う。
術後成績では、骨性槌指よりも腱性槌指の方が成績不良例が多いのが現状です。また、腱性槌指
に対する術後リハビリ方法は困難を用し、未だ確立した方法がないのが現状です。
手指変形
術後経過と共に槌指ではスワンネック変形(白鳥の首変形)となる場合があります。
スワンネック変形となる原因としては様々な理由がありますが、PIP関節を伸展する中央索に対する伸展出力とDIP関節を伸展する終止伸筋腱のアンバランスが生じることで変形します。
例:DIP関節が屈曲位となった状態を放置することで側索線維が延長してしまい指を自動伸展しようとしても側索線維から終止伸筋腱への伝達が不足する。その際に指を過剰伸展することで中央索への緊張が亢進し変形が進行する。
スワンネック変形用のスプリントもあり、PIP関節過伸展位を抑制します。
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