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ドケルバン病(de Quervain病)


概要

ドケルバン病(de Quervain)は手関節、母指の使用頻度が多くなることで第一背側区画(コンパートメント)の腱鞘、もしくは腱に炎症が生じた状態となります。

炎症が生じることで腱鞘もしくは腱が腫れ、腱鞘内を腱が通過する際に接触することで疼痛・弾発現象が確認されます。

ドケルバンになりやすい方の傾向

  • 妊娠出産期の女性

  • 更年期の女性

  • PCのタイピングなどの作業などで手指の使用頻度の多い方

解剖

前腕背側の伸筋腱は伸筋支帯によりつくられる区画(コンパートメント)を通って手背に至ります。
それぞれの区画を通過する腱は腱鞘により包まれています。
手背の区画は全部で6区画となります。
それぞれの区画内を通過する腱を下に列挙します。

  1. 長母指外転筋腱、短母指伸筋腱

  2. 長橈側手根伸筋腱、短橈側手根伸筋腱

  3. 長母指伸筋腱

  4. 指伸筋腱、示指伸筋腱

  5. 小指伸筋腱

  6. 尺側手根伸筋腱


図1:背側区画

上の解剖図のピンク色の部分が腱、紫色で示されているのが腱鞘となります。


図2:背側第一区画

赤色で示した所が第一背側区画となります。
また、左側に位置する腱が長母指外転筋腱、右側に位置するのが短母指伸筋腱となります。
長母指外転筋腱の作用としては母指の橈側外転、手関節の橈屈です。
短母指伸筋腱の作用としては母指の伸展、外転です。
また、第一背側区画内には長母指外転筋腱と短母指伸筋腱を隔てる隔壁というものが存在することでより腱鞘内が窮屈な状態となり狭窄を生じてしまいます。

診断方法


図3:疼痛誘発部位

まず、上で述べた用に上図の箇所に腫脹や圧痛・熱感があり、母指・手関節の運動を行うことで疼痛が生じる場合は怪しいと思ってください。特に母指の屈曲・伸展、手関節の尺屈時に疼痛誘発する場合は疑ってください。

一様、ドケルバン腱鞘炎のテストとして2種類があります。
それが、アイヒホッフテスト(Eichhoff test)フィンケルシュタインテスト(Finkelstein test)です。
各々のテスト方法を解説します。

Eichhoff test

  1. 対象者に母指を入れた状態で拳を握ってもらう

  2. その状態で手関節を尺屈する

Finkelstein test

  1. 検者が患者の母指を把持し、もう一方の手で手関節を固定する

  2. その状態で母指の屈曲(尺側内転)をする

両者とも同様に下図の部位にて疼痛が誘発します。誘発となれば陽性と判断します。


図4:疼痛誘発部位

両者ともに有用な検査方法ではありますが、Eichhoff test < Finkelstein testの方が検者が行うこともあり正確なドケルバン病の判定がしやすいとも言われています。

治療方法

治療方法としては保存療法、手術療法があります。
第一選択としては保存療法となります。
以下に保存療法の種類を示します。

  1. 局所の安静(サポーターなどを用いて母指・手関節を固定します)

  2. 投薬(疼痛が強い場合には鎮痛剤を用います)

  3. 腱鞘内ステロイド注射

3点が保存療法になります。また、1.2番を併用する場合もあります。

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