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ハマった沼地(好きなモノ)の覚え書き。④糸に関わる物編。



非常に、個人的で、主観的な、今まで生きてきたなかで、好きなモノ、好きになった物の羅列、いわゆる、私的な覚え書き。 
その物を好きになり、寄り添うように、生きられた自分がいる。 
好きになった物が在ること、それという存在に自分の感性が触れられたこと、そのことを覚えておこう。 
覚えておきたい。




「名は体を表す」と言うが、私の名前にも「糸」という字が入っている。
知らん人からしたら、それが、どうしたという感じだが、なんらかの関係性を見い出してもいいのでは?と、ふと思う。
それくらい、糸に関わるモノが好きという以下、ものすごい、個人的な覚え書き。




小さな頃、それこそ物心がつく前から、私はとかく、自然という界が、あまり好きではなかった。
ようやく歩き始めた頃に、母が芝生のある公園に連れて行ってくれたらしいが、芝生の上におろそうとすると、泣き叫んだとのこと。

泣き叫ぶ、その気持ち、今でもよくわかる。

ありえへんやろ、芝生に、裸足て。
足の裏に、直接、草とか土とか、最悪の場合には、なんらかの虫とかが接触してしまう恐れがあるのに…
そんなとこに下ろすなや、という魂レベルでの、抗議のギャン泣きですわ。

なので、公園も、山も、海も、アウトドアな環境は、今もなお、ずーっと苦手。

ホテルとか、安全な室内に居ての、緑あふれる自然、山やら海やら、木々やら川やらを窓から眺める分には、絵画っぽいから、好きだったりする。

自分と自然の間に、確固たる無機物が在ることに、非常に安心するのだ。
自分に直接、触れてこようとする自然が、苦手なのかもしれない。

けれども、素材としては、金属やコンクリ的な無機物よりかは、木製のモノや、それこそ素材まるだしな(言い方…)自然っぽい製品のほうが、好きだったりする。

無駄を省いたシンプルな無機物も、決して嫌いではないけれど、やはり自然が持つ素材の「あたたかみ」みたいなモノを感じたい場合は、機械的な工業製品ではなく、人の手が作ったモノになるのは、当然であるとは思うし。

自然が苦手なくせに、無機物な四角い箱のなかで、人工的な自然に囲まれたいのである…
難儀なオタクやわ。(-_-)


そんなこんなで、身につけるにしても、アクセサリー類の金属は、なんか無理だった。

もう死んだけど、アホな父親が、バブル期に銀行の口車にのり、億単位な借金をして、有限会社という自営業を起ち上げたころ、借りたお金で、母や私に宝石がついたアクセサリーを買ってくれようとしたが、私は全く欲しくなかったのは、鉱石も無理だから。

ものすごい妥協して、ブレスレット、または石のないデザインの指輪くらいか…

それでも、大学生以降は、完全に手首も指もつけるのが無理で、唯一、身につけていたアクセサリーは、ウォレットチェーン。

ウォレットチェーンをアクセサリーといっていいのかもよくわからんが、漫画喫茶バイト時にナンバーナインの総スカルのやつが、紐が切れてバラバラになって、なんか不吉だなーと、ブランド古着屋で売り飛ばして、その後は、JAM HOME MADEの真っ黒なネジネジした細い組紐みたいなやつで、最後はバイト同期が作ってくれたグレーの糸で編んだミサンガを長くしてくれたタイプを財布にくくりつけてた。

その頃、母から誕生日プレゼントに、シルバーと革製のバングルをもらったけど、そこで気付いたのは、革もダメだってこと。
拒否感、結構あって、自分ごとながら、びっくりしたわ…
革もダメなんかい…


自分の、そういう非常に偏った、身につけるモノへの好き嫌いというか、アレルギーレベルでの忌避感みたいなのって、年代とともに変化する場合もあるんでしょうが、私は一切、変わる気がしなくて、頑固親父みたいやなーと、笑ってしまう。
先日も、刺繍糸のアクセサリー展示会のチラシを某セレクトショップで見つけて、手にはとったけど、留め金が金属なことに気付いて、あっちゅう間に興味が失せた自分に、ビビった。(そんなに?)


このハマったシリーズでも前述の通り、emi takazawaの刺繍花は、留め金が金属だろうがなんであろうが、自分の中で唯一、許せるアクセサリーだと、思っている。
身にはつけないけど。(つけないんかい…)

棺桶に入れる時に、留め金部分の金属は、糸を切れば外れるので、非常に安心安全。

自然が苦手な私は、死んだあとも、自分の顔のまわりに、生花とかを置いてほしくはないのである。
マジで、やめていただきたい。

女がみんな、花が好きだと思うなよ、という気持ちは、ずっとあって、退職時とかの花束とか、ほんま、勘弁してほしかった…
花なんか、いらんねん…
気持ちがあるなら、食べ物をおくれ。
まぁ、花に罪はないけども。


中島みゆきさんの♪糸を聴いたとき、あぁ、そういうことなのかも、と思ったことがある。
歌詞のなかに「逢うべき糸に、出逢えたことを、人は仕合わせと呼びます」とあって、すとんと、腑に落ちた。

人と人を繋ぐ、運命の糸というのは、そういった結びつきをいうのだろう。
そういう目には見えない、儚いモノを紡いで、編み合わせ、織り繋いでいくような「糸」という存在が、私は好きなのである。


モノとしては、糸単体というよりかは、刺繍であったり、織り物であったり、なにかを「糸」というモノで形づくっているモノが好きで、布製のエコバッグとかトートバッグとか、意味もなく欲しい。
ランチョンマットとか、ストールとか、マフラーとか、膝掛けとかな。

逆に、ハンカチとかスカーフとか、着物とかには、あまり心が動かない不思議。

着物は、着物そのものよりも、着物がリメイクされたモノのほうが、好みだったりするので、オタク心は、よくわからない。(自分のことやろ…)

ハンカチとかスカーフに関しては、既製品としての完成度が高くなるというか、機械的、工業的な匂いが強くなってくるアイテムとして考えると、そういうモノには、あまりそそられないのかもしれない。


色や柄についても、そこそこ偏ってはいるが、それが、グラデーションになっていたり、ベースのアイテムに刺繍が入っていたりするならば、さらに大好物。

社会人になってからだと思うが、多分、プロフェッショナルかなんかのドキュメンタリー番組で、まだ人間国宝になる前の志村ふくみさんの染めの作業を見たことがある。

桜染めや藍染めの、繰り返し繰り返し、息づく染料の気泡で、一瞬で染め色を見極めて、真っ白な絹糸の束をひたす作業は、ひどく神々しく、神秘的だった。

彼女の染めた、藍のグラデーションが美しい着物を、美術館で見たことがある。

藍が息づき、色を変えた瞬間にしか、切り取れない、刹那の色が何十と重ね合わせられ、それが一枚の布となり、同じモノは二度とは作れない。
だからこそ、美術品としての価値がつくのだろう。

◆志村 ふくみ
日本の染織家、紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)、随筆家。




刺繍と言えば、個人的には「スカジャン」が一番好きなアイテムだったりする。
身につけるのに、個人的に一番違和感がない。(ヤンキーか)

刺繍アイテムって、刺繍の技法にもよるかと思うが、女性的なモチーフが多いし、やはり華美な雰囲気を醸し出すための装飾技術でもあるとは思う。

あとは、シンプルに布の強度を上げたり、御守りや魔除け的な意味の刺繍もあって、そういう手づくり感あふれるモノ、全てをひっくるめて、刺繍は好きな部類。


学生の頃から、好きなブランドに大きく変化はないけれど、その時その時で、家庭の金銭事情は変わっていくため、好きだからといって、そのブランドを身につけられるかと言うと、そういうものでもない。

前出のナンバーナインのウォレットチェーンもヤフオクかなんかで譲ってもらった中古だし、当時好きだったアンダーカバーのスニーカーも原宿のラグタグという古着屋で買ったやつだった。

布製品が好きだからかは不明だが、昔から古着を身につけるのに、あまり違和感はない。

あまりにも状態が酷いのは遠慮したいが、ジーパンなんかは、新品よりも程よく色が落ちて、柔らかくなっているほうが好みだったりする。
さすがに、肌に直接的に触れるモノは新品を買いますがね。(そら、そうやろ)


そうそう、スカジャンというか、刺繍の話で、個人的に出会ったら、即買いマストなやつは、黒生地に黒糸刺繍。

大学の頃から、15年くらい、買い続けたブランドがあって、ある時のコレクションで、黒に黒刺繍のスカジャンが出たので、即買いしたら、学生時代から担当してくれていたスタッフさんが「生地と同色の刺繍って、すごく技術がいるし、一番難しいのが黒らしいです」って教えてくれて「…でしょうね、見えないっすもんね」ってなった。(-_-)

そのスタッフさんが池袋西武にいた頃に出会い、新宿伊勢丹、青山本店へと異動し、私も社会人になって、彼女を追いかけるように買い続けていたけれども、デザイナーが変わるという噂が流れはじめる、ちょっと前に、そのスタッフさんが寿退職していき、結局、その後、デザイナーも本当に変わったので、そのブランドを買うのは止めてしまった。

そこのブランドのデザインは、そこそこ好きだったけれど、私が飽きずに好きだったのは、担当してくれていた彼女の接客だったのかもしれないと思う。

人と、人との繋がりは、ある意味、ひょんなことから結ばれて、あっという間に切れてしまうから、本当に不思議なものである。


私のワードローブには、その黒サテン生地に黒糸で刺繍されたスカジャンがあり、今季の衣替えの時に久しぶりに、じっくり見てみたら、刺繍の絵柄が「鶴」だったのに、ビビった…
全く記憶になくて、勝手に「龍」だと思ってたわ。

背中に「鶴」て…
大丈夫、あの893の人よりも、先に手に入れてるから、真似してないはず…と、何故か、自分自身に言い訳してたしな…
動揺しすぎやろ(白い目)

そんなわけで、きっと、これからも「糸」にまつわる色々なモノたちを偏愛していくオタクです。