【短編】 暗殺者
「君にはいつも感謝している」
「もったいないお言葉です。王よ。」
「あの孤児が今やメイド長とはな」
「……本当に、感謝に尽きません」
「ここまで尽くしてくれた礼がしたい」
「当然の事をさせて頂いただけですので」
「謙遜するな」
「それでしたら、ひとつ、お願いが」
「……申してみよ」
「死ね」
「!?」
「私は、お前に父を殺された敵国の者だ」
「…………そうか」
「お前を殺し、私は故郷に帰るんだ!」
「……それが、願いか。シエスタ・ヨゼフィーネ・アイゼンラウアー」
「……なぜ、私の本当の名を知っている!?」
「……騎士団長ヴォルフ! 宰相ダリア!」
「「……ここに」」
「……は?」
「この者の罪を許し、どうか願いを、叶えてやってくれ」
「「…………仰せのままに」」
「ちょっと待て。なにを言っている? これは、どういうことだ? 私は王を、父様を刺したのだぞ!……お前達なぜ、耐えて、かしづいて……へ? 王とは、父さ……ま……え? なに、…こ゛れ゛ぇ゙!?!?」
「……眠らせます」
「あぁ、頼む。宰相殿」
「コルト、よく務めを果たした。感謝する」
「……はは。刺されるまで、本当に自分が王様だと、思ってた。すげぇな『洗脳魔法』って」
「シエスタ様は眠らせました。コルトくん、傷を見せて。すぐ回復魔法を」
「……胸を一突きにされている。手遅れだ」
「……コルトくん、そんな」
「いいって、覚悟の上だ。俺はシエスタが無事ならそれでいい」
「……すまない。王を殺させる以外の方法がなかったとはいえ、君を身代わりにするなど」
「……そうしなければ、シエスタにかけられた呪いが発動していたんだろ。昔馴染だっていうのに、シエスタのやつ、俺が王様に化けてるの、気付きもしないんだぜ……はは……」
「コルトくん、あまり喋らないで。急いで神殿に搬送すれば、きっと!」
「いいって、別に。それより、シエスタはどうなる? 教えてくれ」
「…………シエスタは妾の子だ。王の慈悲深き御心につけ込むため、利用されたに過ぎない。呪いを解くには時間がかかるだろうが、なんとかしよう。君の犠牲を、無駄にはしない」
「そうか……。本来のシエスタは名前の通り、鈍臭い奴なんだ。メイド長なんて、天地がひっくり返ったってなれはしない。だから、――」
「…………コルトくん?」
「分かっている。あとは、任せて安らかに眠れ、コルト」
「……ここ、は。そうだ、私は父様を――ッ」
「お目覚めですか。シエスタ様」
「……あなたは、ヴォルフ騎士団長。それに、ダリア様まで」
「覚えておいでですか、昨夜のことを」
「…………えぇ」
「シエスタ様は、幼き日に敵国の呪術師から呪いを受けました。『王を殺せ、さもなくば自害せよ』という強い暗示です」
「……はい。そのような事があったと、記憶しております」
「王は、シエスタ様の置かれた状況を知り、自らの命と引き換えにすることで、御身を救われました」
「……父様は、やはり、死んだのですね。私がこの手で殺してしまった」
「シエスタ様のせいではありません!」
「しかし!」
「シエスタ様、お気持ちお察し致します」
「……ダリア様」
「私達も皆、シエスタ様と同じ気持ちです。心優しき王を失い、悲嘆にくれております。ですが、今は立ち止まり、涙する時ではありません」
「…………」
「私達は切望しております。新たな王の誕生と心優しき王の無念を晴らす、その時を」
「ダリア様、それは……」
「……シエスタ様に呪いをかけたのは、ヴィルトゥエル王国の者です」
「!? 嘘よ! コーデリア義姉様の嫁ぎ先じゃない!」
「ことは急を要します! コーデリア様のお命も、危ないかもしれないのです!」
「そんな……本当なの?」
「シエスタ様が王家の血を引いておられることは極一部の者しか知りません。王がシエスタ様と、そのお母様の身を案じていたからです」
「それを、ヴィルトゥエル王国の者が知っていた。つまり、城内に内通者がいると我々、騎士団は考えております」
「……」
「今、この国で、王に最も近い人物。それは、シエスタ様をおいて他におりません!」
「……妾の子である私に国を背負い、父様の仇を撃てと。ヴォルフ騎士団長、あなたはそう言ってるのですか?」
「仰っしゃる通りです」
「そんなこと――素晴らしい考えです!」
「おぉ! 分かって頂けますか!」
「えぇ、共に父様の仇を撃ちましょう!」
「シエスタ様。既に私目の方で手筈を整えております」
「ありがとうダリア」
「流石は宰相殿。いつの間に準備を?」
「常に先を読み、手を打つのが役目ですので」
「なるほど。宰相殿がいれば安泰だな」
「ダリア。後のこと任せましたよ」
「ふふ……仰せのままに。シエスタ様」
「……」
「……これで、すべての手筈が整った」
「……」「……」
「さぁ、殺しあえ馬鹿ども! これでふたつの国はお終いだ。これで、ようやく……故郷に帰れる。自由になれるんだ」
「……」
「仇は取ったよ、お父さん」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
息抜きのつもりだったんです。
朝起きて、思いついたのをそのまま書きなぐってしまって…………書ききる気はなかったんだー!
昔、セリフだけ書いて地の文を後で書くやり方していた人いたなぁ〜っと思い出して、マネしてたら一日が終わった。
というか、地の文まで行けなかった。
ルビでも遊びまくった。
大体、階級制度知らない。雰囲気で書いた。
こうして、俺の一日が空想に忙殺され、、、
(・_・。)後悔はない。面白かったし。