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ある侠の世界に残された「真実」

黒豹コメント:

最初に、
本記事は、特定の団体や社会を包括するものではなく、あくまでも筆者が体験した範囲内での事実と真実をお届けします。

ヤクザとエリートの世界を描いた拙作小説の一コマ。
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琥珀色の瓶が並ぶバックバーを背景に、暗い光を映す重厚なカウンターを挟み、五年ぶりに会った二人の漢が交わす会話。

「龍一、すまない。おまえとは随分世界が変わってしまったな……」
「兄貴、いや杉本さん、何も変わりませんよ。世間では、ヤクザの夢は、いい車いい女などと小馬鹿にしますが、それは堅気の世界も同じ。俺たちだって自分の家も持ちたいし、安泰した生活を夢見ますから、人間皆同じです」

舞台となる当時の建設現場は刺青も多く、力対力の世界がまだ残っていた。
主人公(杉本)が弟のように可愛がっていた薄幸な少年(龍一)がヤクザの世界に入り、杉本から学んだ格闘技を武器に幹部へと上り詰める。
杉本は、原因は、思いやりに欠ける自分にあると深く反省し、組の事務所があるバーに、土左衛門(水死体)覚悟でお詫びに訪れる。
そこには、異界の相貌を漂わせ、すでに触れることができない弟がいた。
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以上は小説の解説となりますが、出鱈目が許されないシーンなので、会話も含めこのシーンだけは筆者の実体験を載せております。

その後、龍一(仮名)は、シノギのクラブで抗争事件が発生し、関西に流れボクシングジムに通いながら、ある武闘派への入門を果たします。

それから10年の月日が流れ、共に鉄骨の世界で汗を流した会社の親父(社長)が亡くなったということを、風の便りに聞きました。
当時、私が相場の5千円を包んだ時、神戸ナンバーのベンツを何台も連ねて駆けつけて来た龍一は、桁が二つ多かったと、後に喪主から聞きました。

堅気の世界にきっぱりと背を向けた人間、極道の義理事はあり得ない。
最後まで人情の世界では超えられなかった弟のことは、棲む社会で人間を測ることはできないという教訓を残してくれました。

事実、お茶の間の人気者だった若者が、浴びた返り血でVIPルームへの札を数えるという、鬼畜にも劣る所業が報道されております。一方では、桁違いの黒い札を、汗をかくこともなく、ダーバンの内ポケットに忍び込ませ、口角を上げる成功者がいるという現実もあります。

さて、本当に罪深いのはどちらなのか。。

正義を掲げる社会が不正を孕みながら栄えれば栄えるほど、悪もまた地下深く繁栄するでしょう。顔が違うだけで、根は同じだからです。

自分の反省も含め、社会の陰の部分にも光を導く努力が必要なのではないかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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