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トイレを素手で清掃してはいけません

私の勤めている会社の主力事業はビルメンテナンスです。
ですので、日常的なお掃除も重要な業務の一つです。
その中で、本当にこれはやめてくださいと思うことが
「トイレを素手で清掃する」です。そのことについて書こうと思います。


◆そもそも誰がやりだした

あまり深く調べてはいませんが、イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんという方が自主的に行い、その後社員教育として広まり、NPO法人が設立され、さらに広まったようです。

◆トイレは感染症が一番広がりやすい場所

建物の中には様々な清掃箇所がありますが、その中でも圧倒的に菌やウイルスが多く、感染症が広がる原因となる場所です。当たり前ですよね。排泄をする場所なんですから。

◆プロが一番手順を考える場所

私は清掃に関する資格で1級ビルクリーニング技能士、清掃作業監督者、建築物清掃管理評価資格者(インスペクター)等、一通り取得していますが、その中でも感染症が拡大しやすい病院の清掃に関する病院清掃受託責任者や、感染をコントロールするICCC(感染制御衛生管理士)も持っています。
そんな私が清掃マニュアルを作成する際に、感染を広げないようにするにはどうしたらいいかと、手順を一番考える場所がトイレです。
例えば、トイレ内の清潔エリアと不潔エリアの区画分け、使用道具の選定及び使い分け、清掃する順番、果ては手袋の脱着タイミングすら事細かに決めます。病院側担当者と協議を重ねた上で作成することもあります。そしてさらにそれを現場作業員に落とし込みます。それくらいのことをしなければ感染症の制御は難しいからです。
トイレの衛生的環境を確保し、利用した人及び自社従業員に感染者を出来る限りださないようにすることが、建物をメンテナンス(維持管理)するということだからです。

◆心を鍛えるのなら他の方法を探せば

トイレを素手で清掃することを、社員の心を鍛える的な目的で行う経営者をしばしば見かけますが、上記の通り感染制御の観点からとても危険ですし、頑固な尿石等を落とすには強力な酸性洗剤を使用することもあります。素手で使用したら、ちょっと肌が荒れたね程度では済みません。自ら労災を起こしにいっているようなものです。大事な従業員をそのような危険に晒す行為はおかしくないでしょうか。心を鍛えるという目的でしたら、他にもっと安全な方法がいくらでもあると思います。

◆そんな会社や学校は辞めた方がいい

少なくとも、管理者側の安直な思いつきで、作業者や施設利用者を危険に晒すような行為をさせる会社は辞めたほうがいいですし、学校には強く抗議をするなりして改善させた方が良いです。当社はそんな危険な行為は絶対に作業員にはさせませんし、もし今後娘の通うことになる学校がそんなことを行っていたら、私は清掃のプロとしてしっかりとした手順を教えにいくので、素手で清掃するのは止めてもらうよう働きかけたいと思います。

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