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不動産物件あれこれ
トレーニングジムを開業できる物件を探していた中での出来事を書き留めておきたいと思います。
◆アスベストについて
昔の住宅や商業建物はアスベストが使われていました。
耐火性、断熱性、防音性、絶縁性などに優れていて建材としてとても優秀だったんですね。発がん性があるというのが発見される前までは。
1975年から段階的に規制され、2006年9月1日より製造、輸入、譲渡、提供、使用が全面的に禁止されました。
◆重要事項説明について
不動産物件を借りたり買ったりした人は経験あると思うのですが、重要事項説明というのを宅建士から受けたことがあると思います。
その中で、アスベストに関しては「アスベストの検査についてはしていません。」のみで流されることが多いと思います。
アスベストに関する説明責任は「建物にアスベストが使用されているか否か」ではないですし、売り主、貸主に調査義務はありません。
なので、検査をしている場合は、その結果を説明しなければなりませんが、
検査をしていない場合、検査をしていないことを説明すればOKというなんともモヤモヤすることがまかり通ってます。
なぜかというと、アスベストはあくまで飛散したものを吸い込むと危ないということで、封じ込められている場合は健康被害はおこらないという前提があるのですね。
◆アスベスト含有検査が必要な場合
では、アスベストの検査はしなくていいのかというとそんなことはありません。
例えば、建物を解体する場合やリフォーム等をする場合なんかは検査しなければいけないんですね。
つまり、建物をそのままイジらずに通常使用する場合は問題ないけど、飛散するような状態になるときは含有検査をして解体やリフォームする前に報告して、飛散や労働災害に注意してねってことなんですね。
まずは建物の築年数あたりを参考にして、竣工された年代的に危ないなぁと思ったら建築確認申請時の図書で断熱材や内装仕様等を確認します。
それで確認できなければ、実際に建物を目視検査します。その際に例えば吹付け材がある場合はサンプルを採取して検査します。検査の結果、含有が確認された場合は行政に報告し計画的にアスベストを封じ込めるか除去するかしないといけません。
もしこれを怠ると刑事罰をうけることになります。発注者と施行業者の責任は重大です。
◆アスベスト検査をしたがらない
もしアスベストが検出された場合、レベルにもよりますが解体費用やリフォーム費用が跳ね上がります。なのでその分値下げ交渉に応じないといけなくなりますし、土地自体が一等地ならまだしも、ぶっちゃけ資産価値としては0円に近くなります。なので、建物オーナーはアスベスト検査をしたがりません。検査をしなくても通常使用する場合には問題がないのですから。ただし、中にはアスベストが含まれているのを知っていて、無知な人につけこみ売りつける人も居るかと思います。そのあたりはもはや不動産のババ抜きと言えるかもしれません。重要事項説明で「検査はしていません。」と説明を受けて押印してしまった以上は、その後にアスベストが発見されてしまった場合は、リフォームを検討していたら買い主が責任持って除去しなければならないでしょう。
アスベストが使用されていることを知ってた上で黙っていたとか、アスベストは使用されていないと虚偽の説明をした等でしたら立証できれば損害賠償も請求できるのでしょうが、本当に検査をしておらず「検査はしていません。」で説明責任は果たされているので、どこまで瑕疵が認められるかは私にはわかりません。弁護士に相談するしかないですね。
ちなみに、つい先日トレーニングジム4店舗目の候補物件で鉄骨造100坪の賃貸借物件の下見に行った際、築古物件で建築確認申請時の図書ではアスベストの有無が確認できなかったため、物件オーナーに検査をお願いしたら「検査は行いませんので、今回の賃貸借申し込みは辞退させていただきます。」と返事がきました。検査しない以上、もう改修工事を伴わない、用途変更をしなくてもよい事務所利用でしか貸すことができないですね。
ちなみに開業予定3店舗目の物件オーナーは、事情を説明したら「ハッキリさせておきたい。」と快くアスベスト調査に応じてくれました。結果、吹付けや石膏ボードからはアスベストは検出されませんでした。
◆アスベスト検査は必ずした方が良い
SRC造やRC造以外で2006年より前に竣工された築古物件の購入を検討する場合、「アスベストの検査はしていません。」と説明を受けたら、買い主負担となりますが必ず専門業者に見てもらい、場合によってはサンプル調査をしてアスベストが使用されているかいないかをハッキリさせた方が良いと思います。
また、賃貸で入る場合でもテナントだと改修工事が必要になるでしょう。アスベストが使用されているとわかった場合、封じ込めるか除去しなければいけませんし、そのままでは用途変更は通りません。
事業を行うにも、投資をするにも建物は必要になることが多いです。
ババを掴まないためにも知識は必要だなと本当に思います。