見出し画像

採用試験をナメてる…

大学生の頃、教育系のボランティアをしていました。

ボランティア仲間で、少し年上で面白い男性がいました。ゆるくて、かつシブい、そんな感じで、いつもニコニコと楽しそうでした。

テキトーに生きてるけど、多分、押さえるとこは押さえてて、ゆるいけど安定感があるという感じです。

彼は、色んなことを面白がって生きていました。特に、私のことを面白がっていました。

ボランティア仲間で、私と同じ市に住んでいる女子が、私を含めて3人いました。住んでいる場所で浜子、里子、山子とします。

私は里子です。ノーマルな感じ。
浜子はイケイケ活発な感じ。
山子はオットリ純情な感じ。

年末に、私がこの3人を引き合いに出し、大真面目に「住んでる所の海抜(かいばつ)によって遊び方の派手さが違う」という持論を展開すると、それが彼のツボだったみたいです。

年が明けてボランティア先に行くと、彼はその日は来てなかったのですが、彼から私にと、


と筆ペンで書き初めした紙を渡されました(^o^;
新年だったので、子どもたちとの活動として書き初めをしていたのでした。


さて、本題です。

私たちの多くは、私も含めて教員採用試験を受けました。彼も受けました。私は養護教諭(保健室の先生)、彼は小学校教諭です。

採用試験に向けて、スーツを買いに行った彼。
店で開口一番、

「一番ダサいやつください」


ですって。で、「え、それ!?」みたいな変な青色のスーツを店員さんが出してきて、それを着て採用試験の面接に臨んだ彼。

結果は、、、


合格でした!!!


きっと、面接官から面白いヤツだと思われたんでしょうね。

いい先生になりましたよ。家庭訪問めっちゃ楽しい!とか本気で言ってイキイキしてました。家庭訪問の時期は、病むほど大変なんですけどね。

何年か経って、またボランティア仲間で集まりました。仲間も彼も私も、それぞれパパ・ママになっていました。

彼は9ヶ月の娘さんの育休中でした。奥さんは職場復帰というツワモノ夫婦。彼は相変わらずゆるくて、まったりと幸せそうでした。

職場からは「6年生が荒れてるので戻ってきてください」と言われるけど、彼は

「いえ、戻りませんよ」

と。さらに、私たちに力説します。

「僕が休んでも、誰も損しない。みんなが得する。雇用も生まれるし」

とのこと。そして

「(今の仕事である小学校教諭を)いつ辞めよう」

とか言う始末です。なんだかんだで続けるのでしょうが、彼はどの業界にも適応できるけどたまたま教員をしてるという感じなのです。

職場からは頼られてるけど、彼自身にそれほど熱意があるわけでもなく、でもきっと仕事がそこそこ面白いからソツなくこなしてきたのでしょう。

何でもソツなくできてしまうし、退屈さや徒労感なんかもあったかもしれず、そんなこんなで「いつ辞めよう」なんてセリフが出てきたのかもしれません。

彼は昔から、「教員なんて、普通の人がやったらいい」と言います。彼自身も自分を「普通」と思っているフシがあります。

教員に熱意・使命感・責任感・真面目さは必要だけど、あまりそんな感じがしない彼でも立派に教員をしているのです。

むしろ、そんな感情的なしがらみがない分、ニューオラルで、病むことからも程遠いと思います。
普通の人…確かにそうかもしれない。

でも私はこうも思います。

「あなたみたいな超人も必要」


だと。


いいなと思ったら応援しよう!