資料紹介 合意寸前までいった和平合意崩壊へのジョンソン元英首相の介入を示した参照原文
毎回のことで恐縮ですが、「今こそ停戦を」へのご賛同署名どうぞよろしくお願いいたします。なおもうご署名なされた方は、もし可能ならまわりの方々に賛同の程よびかけていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
キャンペーン · #今こそ停戦を 賛同署名をお願いします · Change.org
なおイギリスからウクライナに劣化ウラン弾が供与されようとしています。劣化ウラン弾については人体や土地にさまざまな悪影響の恐れが指摘されています。その反対署名もなされています。ただ署名の集め方がサイトによるものではないので、「劣化ウラン弾供与反対署名」で検索していただきそちらもぜひご協力の程よろしくお願いいたします。お手数ですがよろしく願いいたします(この件の紹介が遅れたのはサイトによるものではない少し複雑でかつ個人情報も出ていたもののため、というきわめて技術的な理由からです)。
すでに多数の方々の賛同をいただいている「今こそ停戦を」ですがそれに対する批判もあることも事実です。例えば下記のようなブログ記事です。
自称「国際紛争処理の専門家」伊勢崎賢治東京外国語大学名誉教授とウクライナ戦争即時停戦派・西側からの軍事支援反対派のトンデモ「反知性主義」がひどすぎる(呆)。 - Everyone says I love you ! (goo.ne.jp)
率直に申し上げて、ここでの言葉使いはいかがなものか、人格攻撃が過ぎるのではないか、いかに批判するにしても少し失礼ではないか、と思います。またここでの「即時停戦・軍事支援反対派」といっても当日の登壇者か、呼びかけ人か、署名を広げようとしている人か、署名者まで含めるか、不明ですし、それぞれの範囲のなかでもみなが同じ意見でもないので、とりあげられている議論がだれのものかもわからないものもありますが、この中でひっかった点があります。
「それどころか、即時停戦派・軍事支援反対派の脳内妄想では実はこの停戦協議がダメになったのは、当時のイギリスのボリス・ジョンソン首相がゼレンスキー大統領と会談した時に、産軍複合体に牛耳られ争を継続したいバイデン米大統領の意向を受けて、ウクライナにロシアと妥協して停戦するなと強く求めたからだというのです。
出たよ、DS(ディープステート)陰謀論!
中略
しかもこのジョンソン英首相がアメリカの意を受けてウクライナとロシアの停戦協議を妨げたという話は、このトンデモ声明文の賛同者に入っている早稲田の水島朝穂先生のブログしかなく、そのブログはドイツのヴァーグナーという研究者の文章を抄訳で引用したもので、その研究者が何を根拠にそう言っているのか全く不明です
中略
ここは水島先生がが悪いという話ではなく、先生のブログだけを根拠に孫引きで2022年3月の停戦協議はNATOのインボーでダメになったと断定してしまう陰謀論者を批判しているのですから」(上記ブログから直接引用)
「今こそ停戦を」の呼びかけ人、その他賛同者が(もっといえば即時停戦論者、武器支援反対、ないし慎重論者が)みな「ジョンソン元首相介入説(ないし米英介入説)」かといえばそんなことはないのですが、少なくとも私はその意見の存在を比較的早くから知っていたし(私の記憶では22年9月時点)、それを初めて知ったのは水島先生の論考ではありません。
まず「ジョンソン氏介入説」の存在を私が初めて知ったのは水島先生の論考より半年前の22年9月の野口先生の下記の論考からです。
ロシア・ウクライナ戦争の出口戦略 - 野口和彦(県女)のブログへようこそ (goo.ne.jp)(22年9月6日)
該当箇所は以下のとおりです。
「重要と思われる出来事は、イギリスのボリス・ジョンソン首相が4月9日にキーウを訪問して、ゼレンスキー氏と会談したことです。そこで話し合われた内容は、イギリス政府の公式発表によれば、イギリスがウクライナ側に立って武器提供をするということです。それにくわえて、あるジャーナリストによれば、ジョンソン氏はゼレンスキー氏に対して、プーチンは戦争犯罪人であり交渉できる相手ではないので押し潰すべきと説いたそうです。ジョンソン氏がキーウを離れた3日後、プーチン氏はウクライナが後退したために交渉が行き詰まったと発言して、ロシア・ウクライナの暫定合意は潰えました。」(野口先生同論考より直接引用)
なおこうした指摘が含まれる野口先生論考については私は「『自称国際政・・・・」が掲載されたブログに投稿した下記の記事で示しています。
白井邦彦青山学院大学教授特別寄稿「なによりもまず即時停戦、そして和平交渉へ ーウクライナ政権に軍事支援を行っている国の一市民としてー」 - Everyone says I love you ! (goo.ne.jp)(22年10月3日)
「この点は野口和彦先生がブログ記事で説明されています。」(上記ブログ記事より直接引用)
そして先に紹介した「自称『国際・・・・」のブログ記事では、
「しかもこのジョンソン英首相がアメリカの意を受けてウクライナとロシアの停戦協議を妨げたという話は、このトンデモ声明文の賛同者に入っている早稲田の水島朝穂先生のブログしかなく、そのブログはドイツのヴァーグナーという研究者の文章を抄訳で引用したもので、その研究者が何を根拠にそう言っているのか全く不明です」
と書かれていますが、このうちの「水島朝穂先生のブログしかなく」はすでに私が昨年10月の段階で上記ブログそのものに執筆した記事の中で上記野口先生の論考を紹介しており明白に事実に反します。
同時に
「(水島)先生のブログだけを根拠に孫引きで」
という箇所は、少なくとも私は以下の文献を参照しました。ただし私の英語・ドイツ語力からきわめて不正確不十分な読み取りであった可能性は否定しません。しかし「(水島)先生のブログだけを根拠に孫引きで」は明確に事実に反します。
前置きが長くなりましたが、「ジョンソン元首相介入説」に関する原文のうち参照したものを資料として掲げておきます。
参照原文
野口先生論考関連
Possibility of talks between Zelenskyy and Putin came to a halt after Johnson’s visit - UP sources | Ukrayinska Pravda(22年5月5日)
Всі проти Росії. Що відбувається за лаштунками мирних переговорів | Українська правда (pravda.com.ua)(22年5月5日、これのみウクライナ語、これのみ自動翻訳のみで参照)
水島先生論考関連
Informationsstelle Militarisierung (IMI) » Der Ukraine-Krieg (imi-online.de)(23年2月23日)
Nr. 1 vom 18. Januar 2023 - Zeitgeschehen im Fokus (zeitgeschehen-im-fokus.ch)(23年1月18日、クヤット議長関連)
Naftali Bennett wollte den Frieden zwischen Ukraine und Russland: Wer hat blockiert? (berliner-zeitung.de)(23年2月6日、当時のイスラエル首相ベネット氏関連)
以上です。これらをどう読みそこで述べられていることの信頼性などをどう認識判断するか、その点については近日中に改めて論じたいと思います。
なお「自称『国際・・・・」のブログ記事の記述のうち、
「水島朝穂先生のブログしかなく」
「(水島)先生のブログだけを根拠に孫引きで」
の箇所は明らかに事実に反します。「自称『国際・・・・」のブログは「社会派リベラル」のブログとのことであるそうですが、そうであれば、少なくとも明白に事実に反する記述については、それなりの誠意ある対応がなされることと信じています。少なくとも私ならそうしますが。
この点についても皆様はどう考えるでしょうか?
白井邦彦
青山学院大学教授