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V12 為になる本『LIFE SHIFT』中編〜100年時代の人生戦略~
by Lynda Gratton
(London BIZ School教授 人材論)
& Andrew Scott
(London BIZ School教授 経済学)
新しいステージ~選択肢の多様化~
〇20世紀のステージ
➡️子供とおとなそして引退者のステージ
人々は決まった順序に従って経験した
子供⇒おとな⇒高齢者
〇新しい三つのステージ
➡️特徴:エイジ(年齢)と
ステージが同一ではなくなる
共通項:若さと柔軟性、遊びと即興、
未知の活動に前向きな姿勢だ
平均寿命が長くなると老いて生きる期間が長くなる
という側面に注目が集まるが、実際は若々しく生きる
期間が長くなる可能性が高い!その要因のひとつは
思春期の長期化、寿命が長くなれば思春期のうちに
さまざまな選択肢を探索・創造する期間を
長く持てるからだ。
さらに、100年ライフで多くのステージと
いくつもの移行を経験するようになれば、
柔軟性が不可欠な資質になる。
つまり、おとなになっても思春期の特徴を
保持し続けることの価値が増すのだ!
さらにもう一つの要因がある。
それは、エイジとステージが切り離されれば
さまざまな年齢層が混ざりあう機会が
飛躍的に増える。年齢による隔離が無くなり
年齢による固定観念が消えていく。
そうなれば、若者の持つ柔軟性と好奇心、
高齢者の知識と洞察力の両方を
得られるようになるだろう!
〜遊びと即興〜
最短距離ではなく景色の良い行路を選び、
目的より手段を重んじること
それは、放蕩、過剰、誇張、非効率の世界だ!
ひとの精神の自由がそこにはある!
■エクスプローラー(探検者)
■インディペンデント・プロデューサー
■ポートフォリオ・ワーカー
エクスプローラー(探検者)
・興奮、好奇心、冒険、探査、不安といった要素
➡️人生のステージ
・人間性を形づくる経験、
他人の立場に立ってモノを考える経験
➡️るつぼ
・何歳でもエクスプローラーになれる
インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)
職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人
企業体を築き、金銭的資産を蓄えることより、
組織に雇われずに独立した立場で生産的な活動に
携わるためにまとまった時間を費やすことが大きな
意味を持つ。
専門的知識を身につけ、学習し、
しかも生産活動に携わる。
お金を稼ぐことは大切だが、
金銭的資産を増やすより生産活動を通じて
学習することに重きが置かれる。
大きいのはこのステージでは安心して
失敗できる点である。
実践を通じて多くを学べる。
・どうやって事業資金を調達すべきか
・どうやって必要な資源を入手すればよいのか
・アイデアをビジネスに変えるための資金を借りたり
・支援を得たり
・助言を受けたりするのに必要な人的ネットワークを
どうやって築けば良いのか
将来は70代や80代の人が起業する
割合も増えるだろう。
注目されているのはCaliforniaのシリコンバレー、
Londonのシリコン・ラウンドアバウト、
インドのバンガロール、四川省の成都。
今後はさらに集積地の数が増え、重要性も
高まるだろう。
仕事は永続的なものではなく、
意図的に短期間で終結し、不定期に発生する。
エクスプローラーと
インディペンデント・プロデューサーの
ステージでは無形の資産、とくに変身資産への
投資が中心になる。シェアリングエコノミーを
活用する。
ビジネス向け交流サイト『LinkedIn』が
スキルを宣伝する手段として使われている
ポートフォリオ・ワーカー
(異種類の活動を同時に行い年齢層に限定されない)
三つの側面のバランスが取れた
ポートフォリオを築きながらの活動となる
・支出をまかない、貯蓄を増やすこと
・過去の経歴とつながりがあり、
評判とスキルと知的刺激を維持できる
・パートタイムの役割を担うこと
・新しいことを学び、やりがいを感じられるような
役割を新たに担うこと
注)ポートフォリオ・ワーカーの課題は
切り替えコストという非効率性
● 打開策はさまざまな活動の間に
相乗効果を生み出すための、
互いに関連のあるスキルと能力が要求される
活動を選ぶことだ。
【移行期間】
●3ステージの人生における移行は2回だけだった。
(子供⇒おとな、おとな⇒引退)
●移行のプロセスはありうる自己像が現状の自分より
魅力的に見え始めることが出発点になる。
そのGAPを認識することで行動の背中が押される。
●移行期間には無形の資産におおきな投資をおこなう。
・エネルギーを再充填
・自己の再創造(re-creation)
新しいお金の考え方
~必要な資金をどう得るか~
〇引退者を対象にした最近の調査によると
➡70%のひとはもっとお金を貯めておけばよかった
と後悔している
➡寿命が長くなれば長い年月働き、
多くの金を蓄えることは避けて通れない
〇適切な資金計画のためには
➡︎自己効力感(自分ならできるという認識)
そのための問
・長寿社会を生活していくために
どのくらいお金が必要か?
・何歳まで仕事を続けたいか?
・自分の金銭面の状況をどの程度把握しているか?
・自分は、どのくらい金融知識をもっているか?
⇒自己主体感(自ら取り組むという認識)
・70~80歳になった時のわたしは、いま私が
くだしている決断を評価するだろうか?
という問いに対して満足できるかだ!
➡引退後に備えてお金を貯めるのは、
『ゴルフリゾートで楽しく過ごすためというより、
自宅に車いす用の階段昇降機を設置したり、
付き添い看護婦を雇ったり、質の高い
老人ホームに入居したりする費用を賄うため』
なのだ。
〇本書では、目安として最終所得の50%相当の
生活資金を確保するものとした。
この50%という目安は住む家を所有していること
を前提としている。もし所有していなければ
最終所得の70~80%の資金が必要だろう。
➡100年ライフのお金の問題を解決するためには、
自己効力感と自己主体感をもって貯蓄を
増やすことが必要だ!
★お金に対する自己効力感の診断ビッグ5
Q1.あなたが銀行に100ドル預けていて、
利息は年に2%だとする。5年後には
いくらになっているか?
Q2. 預金の利息が1%で、
インフレ率が年に2%だとする。
1年後、あなたがその口座で変えるものは
増えるか、変わらないか、経るか?
Q3.1つの企業の株式を購入することは、
投資信託を買うより一般に安全性が高い。
この主張は正しいか、間違っているか?
Q4.15年物の住宅ローンはたいてい、
30年物の住宅ローンに比べて月々の返済額は
多いが、返済する利息の総額は少なくて済む。
この主張は正しいか、間違っているか?
Q5.金利が上昇したとき、
債権の価格はどう変動するか?
➡長寿化時代には、お金に関する
自己コントロール(自己抑制)の能力こそが
重要な核となる。引退者の過半数の人が
もっと貯蓄をしておけばよかったと後悔している。
➡双曲割引の概念
遠い将来のことには比較的辛抱強いが、
近い将来のことには人はせっかちである。
(前頭葉は長い目で見て自分の利益になる行動を
とるよう私たちに命令する。辺縁系は目先のことを
優先させた判断を、言い換えればいますぐ満足を
味わえるような行動を促す)
人間は目先の欲求に屈しがちである。
しかし、長寿時代においては、合理的な前頭葉に
もっとおおきな力を持たせ、優れた長期計画を
立てるほうが賢明である!
問題は、遠い将来と位置付けていた日が近づき、
長期計画をいよいよ実行に移す段階になると、
それが近い将来の問題になり、せっかちに
振舞ってしまうことだ!
➡貯蓄とは、消費を延期することにより、
現在から未来へお金を移すことである!
➡減量に関しても同様のパターンがよく見られる。
瘦せるためには忍耐が必要だがそれが恩恵を
もたらすまでには時間がかかる。その結果、
食事の最後にデザートメニューを目の前にすると、
ガトーショコラの魅力に屈してしまう。
そして、明日からはデザートに手を出さず
エクササイズをしようと決意する。
言うまでもなく「明日」にもこれと同じことが
繰り返される。
➡未来の自分に責任を持とう!
現在のあなたは、美味しそうなエクレアを見て
我慢できなくなる。エクレアを口に入れたとき、
未来の自分がそれを埋め合わせる
行動をとるだろうと無意識に期待する。
しかし、再びデザートを選ぶ場面になると、
未来のあなたはその都度同じことを繰り返す。
問題を未来の自分に先送りするのだ!
➡将来に備えるためには、
長期的な計画を貫くことを優先させて、
目先の快感を味わうことを自制しなくては
ならない!
➡そんなあなたの打開策は、
お金に関する決定を自動化して、
計画を覆す機会を減らせばよい!
毎月一定の普通預金を
定期預金に移すようにしてもよい!
以上 kentakunte
補)金融リテラシーに関する5つの問いの正解
Q1 110ドルあまり
Q2 減る
Q3 間違い
Q4 正しい正しい
Q 5 下がる
補)『LIFE SHIFT』後編V13は近々お届けします
最終章のタイトル
〇新しい時間の使い方
〇未来の人間関係
〇変革の課題