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V31 為になる本『ルールはそもそもなんのためあるか』
by 住吉 雅美 青山学院大学法学部教授(法哲学)
〜真面目な国民は「要請」を守る〜
〜権力者や金持ちは法を守らない〜
第1章 ルールは何のためにうまれたのか?
● 平和時のルール:世界や社会を円滑に回すためにある
(お前を守るためじゃない!)
ex. 交通ルール
● 弱者を優先して救済するためのルール:道徳的ルール
ex. 強者によるサービス・差別の裏返し
● 資源に限界がある場合のルール:救える者を優先して救う
ex. 大災害時
● 国家や社会の崩壊時には、「自分が生き延びる」ルール
ex. 無法状態
● 生き延びるために他人を蹴落としても良い状況
ex.大津波 ともかく自分が助かることを考えて各自同じ高台へ逃げる
第2章 ルールが成り立つ必須条件
● 法律を学ばずとも、大抵の人々は平和に暮らす
ex. 「慣習」「道徳」「倫理」「きまり」「規則」
「校則」「掟」「エチケット」
● 法律の特徴
1、紛争予防と解決
2、国家権力によって強制されているルールである
● ルールの拘束力は嫉妬心だ
ex. ルールを破った人に対する社会的制裁の存在
ex. 告訴されなかった税金の申告漏れ、
セクハラ、パワハラ、など不公正感覚
● ルールの原点は人間独特のルールすなわち法の創作
ex. 「社会あるところに法あり」
共同生活が営まれていれば自ずとルール発生
● 法は「所有権」から始まった・・・所有をめぐって争いが激化
● 不文の慣習に従って平和的に解決する方法がルール
● 第1次的ルールと2次的ルール
・1次的ルール
責務のルールすなわち暴力の使用・窃盗・詐欺の禁止
・2次的ルール
違反の裁決や皆が従うべき責務のルールの確認のルール
● 誰から見ても許されないこと➡️卑怯な奴の行為
ex. 部下には守ることを命じておきながら、
自分だけ美味しいところを持って逃げる上司、
兵士達に玉砕を命じ自分は逃げる上官、公正でなければならない
と言いながら、自分の息子を裏口入学させる文科省の役人
● なぜ国民は政府や知事の言うことをきかなかったのか?
〜コロナ緊急事態宣言下、国民にpm8時以降5人以上での
会食を控えるように政府は要請〜
〜自分たち(国会議員)は銀座のクラブをハシゴしていたり
ラウンジに通っていたり、8人以上でレストランで
ステーキを食べていた政治家達〜
★自らも国民(しかも税金から給料をもらっている)である
首相や国会議員だけ正当な理由もなく破っていたら、その
不正さだけでルールの拘束力は、決定的に弱まる!
● 人はたとえ自分が損をしても公正を求める
ex. 東京都は飲食店に改正特別措置法に基づき
午後8時までの時短営業を「要請」したが、
異議を唱える大手飲食チェーン店が「要請」に
従わず通常営業。「営業の自由」「表現の自由」
「法の下の平等」を侵害されたと東京都に対して
訴訟を起こした。損害賠償金は104円。損をしても
公正さを求めた!
● 公平なルールを一旦受け入れたならとことん守るのがルール
ex. ドナルド・トランプ米前大統領は選挙中
「郵便投票は不正だ」と主張していたが、
もし彼が郵便投票で大勝していたら、そのような
主張をしただろうか?
● ルールには公共性と普遍性が必要!
第3章 フェアプレーの精神
● 反則しなければなにをやってもいいのか
ex)2012年London Olympic サッカー女子日本代表チームの日本監督「準々決勝の相手はどこでもいい、ただ1位ならスコットランドのグラスゴーへの移動、2位なら、ここに残ったままで試合ができる。コンディションを考え、後半の途中に引き分けを選ん結果、準々決勝の相手国南アフリカチームと 引き分けて思い通り2位となった」対戦相手国を全力で戦うべき相手と見ておらず、自分たちの作戦の単なる駒とし て扱った。この言葉は全世界へのインタビューで放送された。
★反則をしない限り、勝つためには何をしてもいいのか?
良くない!勝ち方負け方をこそ気にすべきだ!
ルールに反していなくても、スポーツに限らず
「フェアプレイの精神」こそ大切にすべきなのだ!
● スポーツ仲裁裁判所CASの判定はこれでいいのか?
ex)2022年北京冬季オリンピック フィギュアスケート女子ロシアのカミラ・ワリエラ選手(当時15歳)のドーピング陽性反応が出た。世界ドーピング機構WADA,IOC,国際スケート連合ISUは、資格停止処分を求めCASに提訴した。しかし、CASは同選手の参加継続を認める裁定を下した。理由は、16歳未満であったこと。
★問題なのは、この裁定に付け加えられた見解『この状況下でワリエラ選手の五輪出場機会を奪うことは、取り返しのつかない損害をもたらす』
Q1, 16歳以上あったら出場停止処分、ドーピングが不公平でかつ選手の健康にも悪影響を及ぼすことを懸念するのであれば、年齢制限は関係ないだろう!
Q2、五輪や大会の「成功」のために、すでに決まっているルールを変更することは受け入れられない。
Q3、今後に悪しき影響を残しただけ
ex. 16歳未満のスケーターを育て、本人が知らないうちに薬物を摂取させ証拠が出ないように工夫すれば巧くいく?!
第4章 時代に応じて変わるべきルール
〜例えば、結婚の制度〜
● いつまで、異性同士の単婚制にこだわるのか?!
第5章 復讐するは誰にあり?
〜報復のルール〜
● 刑罰の起源は復讐
● 復讐は復讐を生み、永遠に繰り返される!
● 「復讐するは我にあり!」の我とは、神のみ
● 裁判によって一応の決着を付けることはできるが、
復讐心が消えることはないだろう。
ex. 娘を不良達に殺された刑事が、
不良達の弁護を引き受けている弁護士に問う。
『あんた、自分の娘を殺されたら、同じように弁護できるか?』
弁護士は答えた、「弁護士の使命は、社会正義の実現と
人権擁護だ!感情的に冷静に判断ができない依頼は、
プロとして身を引くべきと考えている」そして『自分の娘が
殺されたら、司法になんか委ねたくないね!』
第6章 なぜ人々は立ち止まらないのか?
〜法律で変えられないルール〜
●慣習とルールを分ける3つのポイント
(法律未満だが人々を拘束する慣習!)
1、ルールあるところ、同調への圧力あり
ex. コロナのマスク着用。今は「個人的判断に委ねられている」
2、逸脱は通常、批判すべき十分な理由となる。
しかし、NETの批判は、声高な少数派によるものにすぎない
場合があるので要注意!
ex. 「マスクをしていない人を批判する」や
「自分より目上の人にタメ口をきく人が批判される」
「年上の人を敬うべきだ」には、「十分な理由」が
根強く信じられているから!
3、ルールがあると言い得るためには、
「なすべき」とされる行為を、集団全体が従うべき基準と
みなす人々がいなければならない!
● ルールが変わる条件
〜定着したルールを「変える」〜
ex. 昭和の駄菓子屋、ジュースがまだビンだった頃、空きビンをポイ捨て
しないように、「返してくれたら10円返金する」
➡️法律や条例で違反者に罰を科すやり方より、
「違反しないほうが自分の具体的利益になるという
システムが良い!
第7章 こんなルールは嫌だ!
〜ダメなルールの特徴〜
●「要請」「推奨」=命じた側が一切責任を取らなくて良い言質だ!
● なぜ、コロナマスクは「必須」から「個人の判断」に転じたのか?
冒頭では、「個人の主体的な洗濯を尊重し・・・」読み進めていくと
「基本的な感染対策としての着用の位置付けは変わっていない」と
ある。では、なぜ「個人の判断」に転じたのか???
● あいまいな「個人の判断」「お控えください」
● 中途半端なルールは混乱を生む
● 半端なルールが「一私人のマスク警察」を出現させる
● 「大切な人」を人質にとるルールのイヤらしさ、コロナワクチン摂取
ex.「大切な人を守るために」とか、
「周りの人のためにも打ちましょう」
第8章 民主主義は公正じゃない
● 特定の層におもねる政治や立法はダメだと言おう!
ex. 「子育て支援」がなぜ「少子化対策」になるのか?
バラツキ政策の欠点は、受け取れる層と受け取れない
層との分断を生む事
➡️法や政策は『無差別』・『公平』でなければならない!!!
● 「少子化対策のために子育て支援をする」とは、理論破綻だ!
いつ廃止されるか判らない場当たり的政策が、これから
子供を生むかどうか考えている人々の決断に響く訳がない!
しかも、バラまかれた金で生まれた子供が、
その分を将来社会保険料や税金で支払わされるのだ!
● こんなバラマキ政策に「ありがたい」とつられて投票する
国民にも問題あり
自分たちが誰かの犠牲の上に受益していることを直視していない!
● 多数決は根拠のない偏見までも温存する!
1、個人的選好による反対意見
2、外的選好による反対意見
ex. 「女が国の重要な仕事をするのがなんとなく気に入らない」
「女の官僚が増えるのはイヤ!」
➡️民主主義の多数決、その中には、嫉妬、誰かを貶めよう
とする感情が蔓延している。ゆえに、結果を安易に信じては
いけない!
➡️多数決は、少数派を尊重し、双方の理解を深める対話を
もたらすルールでなければならない!
以上
kentakunte私見
はじめに:ためになる本の要約の理由は、良書・賢書・読んで為になる本を要約 によって少しでも広く知って貰うという目的にある。
しかし、本書の内容は、その具体的内容、作者の指摘に共鳴し、共感するこころ の感動が大きく、要約・cutする部分がほとんどなかった!実は、読後この小さな文庫本に歓喜の声を挙げたのだ!
住吉先生!法哲学者にとどまらず、国民より派閥や所属組織そして自らの利権を 守るために活動しているおぞましい政治家達にひるまず、『真の法の下の平等』 を守る司法機関の「長」としての活躍を切に願う!!!
アメリカ奴隷制度解放の実話映画『AMSTED』by S.スピルバーグ監督の登場人 物・地方判事や選挙に再選される事だけが目的の私欲にまみれた大統領による 反対訴訟を見事に跳ね返し、奴隷制度を葬り去る起点をつくった最高裁判事のように!
きっと、あなたの知見とお考えを多くの国民が待ち望んでいますよ!!!