V20 為になる本『リーダー5つの黄金律』
by ポール・デュプイ(Paul Dupuis)
翻訳 呉 亜矢
要約 kentakunte&HIDETO
はじめに
おいたち
1968年 カナダ・オンタリオ州に生まれる
1980年 日本の文化に憧れ、来日
1998年 私立女子校の教壇に立つ
2005年 大阪を拠点に人事ビジネスへの参入
2011年 シンガポールに移り、東南アジア担当のリーダーへ
日本を外側から見ることで日本流のリーダーシップに気づく
2013年 日本に戻り、グローバル企業の日本支社取締役に就任
組織改革と国内事業の立て直しでよりグローバル化へ
2017年 インドでの新しい仕事のオファー。CEOに就任
社内で最低業績に甘んじていたインド支社を業績No,1に成長させる
2021年 ヨーロッパかアメリカの重役ポジションに就くか日本に戻るかの
選択で日本に戻ることを決断。世界最大の人材サービス企業の
日本法人CEOに就任。
E5の推奨
=様々な組織で実践してきた経験に基づくもの
Envision(ビジョンを描く)
Express(表現する)
Excite(鼓舞する)
Enable(可能にする)
Execute(実行する)
“ピータードラッカー”
「我々の人生における使命は、前向きな変化を作り出すことだ。
自分がどれだけ賢く、正しいかを証明することではない」
第一章 リーダーシップとは何か
◯「優秀な管理職」=「素晴らしいリーダー」ではない
【単に優秀な管理職】
”現状維持”に長け防御と予防に余念がない
【真の優秀なリーダー】
上記に加えて更に、
安全地帯のボーダーライン上で新たな機会を探し求める
安全地帯の外側で成功を勝ち取ろうと努める
★新しい知識、経験を求める好奇心=探求脳
+チームメンバーの好奇心を刺激することに力を注ぐコトが重要な要素
第二章 誰もがリーダーになれる
◯生まれつきのリーダーなど存在しない
リーダーシップ=学んで身につけることができる資質
優秀なリーダーの共通点:『謙虚さ』
個人的な栄達を求めることなく会社が組織的に反映する為に働いている
特に社会全体の利益を考え「Visionを実現する」という確固たる信念を持つ
成功の栄華は社員と分かち合い、失敗は責任を引き受ける
第三章 Envision(ビジョンを描く)
◯目的なくしてビジョンは生まれない
=Why?(なぜ?)が明確なVisionを描くこと
【Why?の効果】
ビジョンに意義を与え、鮮度を保ち、メンバーの意識を集中させる
また軽視されたり忘れられたりすることを防ぐ
ex)フォード・モーター創業者
ヘンリー・フォード氏=工場労働者の最低賃金を最初に保証した人物
ビジョン:「自動車の大衆化」
真の狙い:工場労働者たち自身が毎日組み立てているT型フォードを、
彼ら自身が買って乗れる車だと示すこと
★最低賃金の保証は、単に働き続けてもらう為の手段ではない
◯部下からの信頼を計測する「エンゲージメント調査」
部下無くしてリーダーシップは機能しない
【注目すべき項目】
1、私は会社のリーダー達及び彼らが立てた戦略を信頼している
2、会社の方向性は明確で有意義である
◯ストレスフルな環境に置かれた時は「STOP反応」
Sーstop(立ち止まる)・・・何もせず、心身を落ち着かせる
Tーthink(考える)・・・・・今の状況について考える
Oーobserve(観察する)・・ 周囲を見渡して、環境、人、
雰囲気を観察する
Pーplan(計画する)・・・・観察結果を元に今後の計画を立てる
ありえる結末や因果関係を検討する
◯利益より大事なものが見えているか
【陥りやすい目的転移】
ex)営業職=目標を達成し、組織に認められ、報酬を勝ち取ることが目的
管理職=高い給与の維持、自社を守ることが目的
★どちらも重要な役割を果たすが、あくまで組織のビジョン実現を
目的として実践した結果得られるものである
◯インド就任後はじめに実施したこと
コンパス調査 × ワードクラウド分析 × コンパス研修
第四章 Express(表現する)
◯メッセージや物語、行動を通じてVisionに命を吹き込む
ビジョンが浸透しないよくある原因
論理的すぎる説明をしている(目標・成果中心)
曖昧な表現をしている
はじめに伝えたきりになっている
【正しい打開策】
表現する前に気持ちを通じ合わせ相手を尊重する(聴く)
社内でよく使われている言葉で表現する
記憶に残るインパクトのある言葉を使う
何度も繰り返し伝える
※エレベータースピーチ
Visionは60秒で相手に分かりやすく表現できるようにしておこう!
第五章 Excite(鼓舞する)
◯鼓舞するために気持ちを通じ合わせる
人のやる気を引き出す秘訣
・働く意欲の先にある壮大な目的を示し、夢を共有しよう!
主語「私」から「みんなで」に変換
・好奇心を刺激する質問型を身につける
ex)「もし◯◯なら、どうだろう?」
・重要なメッセージに言及しつつ、続きが気になるところで終わる
※理解度検証
自分だけが一人歩きしないよう伝えたメッセージが理解されているかの検証は怠らない!
第六章 Enable(可能にする)
◯リーダーとは適切な道具を用意するメンター
準備段階におけるリーダーの役割
ビジョンを実現するために必要な有形無形の様々な支援を検討し導入
チームメンバーの価値観、性格を理解し、強みを最大限に活かす
正しい方向に進むようにする仕組みを取り入れる
★多様性がチームを強くすることは、科学的に証明されている!
パルスチェック(脈診) 週1回実施(3〜4週間)
【目的】
・チームが正しい方向に向かっているかどうかの確認
・リーダーはチームの行動を一貫して導いているかどうかの確認
【質問】
・先週の進捗具合はどうだったか?
・先週あまりうまくいかなかった原因は何か?
・今週の目標は何か?
・その実現のためにどんな支援が必要か?
・チームの様子はどうか?
コンパスミーティング
【目的】チームが正しい方向に向かっているかどうかの確認
チームが適切なペースで進んでいるかの確認
壮大な目的へ導く「北極星(ビジョン)」及び全体的指針の振り返りから始まる
◯テクノロジーの奴隷になってはいけない
★あくまで、たくさん存在する有効なツールの内の一つに過ぎない!
テクノロジーの有用性は使う人によって左右される!
使える人材の確保又は、育てることがまず初めに必要!
第七章 Execute(実行する)
◯日本のカイゼンとインドのジュガール
【カイゼン】
一連のプロセスを注意深く分析することにより、結果につながるプロセスを細かいステップに分解し、全てのステップにおいてより良いやり方を見つけること
【ジュガール】
インドで生まれた、近年グローバルリーダーたちの間で認識され始めている語彙。手に入る限られたもので何とかやっていく方法を見つけること
★ビジョン実行段階=カイゼン × ジュガール
◯手順書ではなく良識に準じよう
・SOP(標準作業手順書)は人間的要素を取り除き、
好奇心や探究心を萎ませる
・テクノロジーと作業プロセスだけで世の中を変えることはできない!
★基本的方針
「どうやって」ビジョンを実現するか迷った時は良識に従え!
◯枠内の自由を与えよう
=メンバーの裁量で何かをやってみる自由
【よくある退職理由】
・仕事に裁量が与えられない、もしくは裁量の範囲が狭すぎる
【実行段階でリーダーが取るべきメンバーへの質問】
・Xを達成する道のりにおいて障害になっているのは何か?
・あなたを支援するために、そしてチームにもっと勢いをつけるために
私はリーダーとして何ができるか?
★実行段階に勢いがついたらリーダーは加速を促す人になろう
◯実行段階でのリーダーの必要要素
・心にマントラを持とう!
=成句やことわざ、決まり文句のこと。座右の銘となるもの。
ストレスフルな厳しい状況に追い込まれた時に効果を発揮する
・前向きな姿勢を貫きチームを鼓舞し続けよう
※指摘する必要がある際は、「怒る」のではなく
ビジョンの不徹底さを指摘する
ex)「あなたは間違っている」×
「あなたのビジョン実現に対する行動に納得できない」⚪︎
第八章 未来の仕事におけるリーダーシップ
◯変化と不変の両方を感じてれているか?
・労働力の多様性は新次元に突入
リーダーシップのスタイルも変える必要がある!
・自由の概念の変化
ex)”仕事とプライベートのバランス”
➡️”仕事とプライベートの統合”に変化
・テクノロジーによるコミュニケーションの変化
一方で変わらないものもある!
実践的なリーダーシップ
= E5がその助けとなる!
★各ステップを使いやすくアレンジして自分流のリーダーシップを
アレンジしよう
◯世代の壁を超えるために
=今後複数の世代が職場で働くことになる
【現状】
ベビーブーム世代は職場でだんだん居場所がなくなっていると感じている
中間にいるX世代は世代間に挟まれ所在なさを感じている
★リーダーに求められるのは、世代間の繋ぎ役。
何が世代間の摩擦を生み出しているかを知り、それぞれの
モチベーションを高める方法を見つけ実践すること。
★リーダーはトレンドを知り、トレンドの影響力の大きさを評価すべき
◯未来のヒントは常に過去にある
過去の傾向を考察し未来を予測
時代のサイクルと不変的真理を見つけ出す
※時に「常識のなかで」考える必要もある
ex)マズロー 人間の基本的欲求
「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」
「承認欲求」「自己表現の欲求」
リーダーシップの観点からみると
+「フォロー欲求」の存在
第九章 次はあなたの番だ
◯自分流にアレンジしよう
=過去のモデルを尊重し、アレンジを加え、自分流の公式を持つこと
kentakunteの私見
久しぶりにストレスfreeのリーダーシップ論である。ストレスfreeの理由は、
最大の経営資源は人であることを明確に認識し、その人財投資に注力されている。経営者であれば、著者が提唱されているリーダーシップ育成論ともいうべき推進の仕方が理にかなっていると同時に、管理職および前向き思考の次期リーダー育成に対して実に実践的であるゆえだ。
まずはVISION(5Eの Envision)を明確に表現する(Express) そしてみんなを
鼓舞する(Excite)ことで事業成功の一体性を生み、VISION実現を可能(Enable)するだろう!そのチームワーク力をもって、権限を与え、枠内の自由度を高めることでやる気を引き出し(Execute),VISION実現に向かうだろう。未来の仕事におけるリーダーシップについても言及されており、そのイメージは多くの次期リーダー達のロールモデルとなるだろう!
「未来のヒントは常に過去にある」の言葉は、日本流カイゼンの長所を生かす道とインド流ジュガールの特徴から、VISION実現を諦めない心の涵養に繋がる教えだと確信する。
余談だが過去を振り返らない人生はつまらない!疲弊した現在の管理職への
大いなるエールでもある!
そして、明確な経営VISION明示ができる経営者と明確な事業VISION明示ができる事業管理者の存在、そして5E実践を期待したい!
2023年11月25日 kentakunte & HIDETO