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SOLAR EHEMERIS #5 「アメリカの権力構造を大きく変えるプルートリターン」-2022年山羊座の時期の星の配置-

「山羊座は1年のゴール」
今年も冬至を迎え、山羊座の時期となりました。
山羊座は春分からはじまった1年のゴールの時期です。
1年をどのように過ごしたとしても、
暦は必ずこの時期に、ある種の到着点へと向かいます。

到着点は、これまでの道程があって成立します。
そのため冬至に象徴される山羊座は、
歩んできた道や積み重ねた時間が大事な視点となるのです。

前回のコラムにも書いたように、山羊座は長い時間軸を持ちます。
それは山羊座の守護星である土星が、30年という公転周期を
持っているからです。しかし今回のコラムは、土星よりも遥かに長い
時間軸を持つ冥王星がテーマです。

「12/29はアメリカのプルートリターン」
今年の山羊座の時期の星の配置の中で、
最大のトピックスとなる日は12/29でしょう。
この日は、水星逆行が始まる日でもありますが、
それよりもダイナミックな星の配置があります。

12/29、冥王星が山羊座27度34分を迎えます。
これはアメリア建国図の冥王星の配置です。
アメリカは1776年7/4に建国しましたが、
その時の冥王星が山羊座27度34分だったのです。

冥王星は約248年の周期を持ちますが、
アメリカは建国から246年が経過して、
冥王星が再び、建国時の山羊座度数に戻ってきました。
冥王星が12サインを1周して、再び同じサイン度数に来ることを
プルートリターン(冥王星回帰)といいます。

誕生時の土星が12サインを一周して
同じサイン度数に戻るサタンリターン(土星回帰)は有名です。
そのサタンリターンが「試練の時期」を表すように
外惑星はリターンすると、天体の影響力が顕在化してくるのです。

個人のチャートでは、人の一生の周期に近い、
天王星がリターンする84年が最長です。
冥王星がリターンするためには、
少なくとも3回は、転生しなければなりません。
しかし、国家の誕生チャートでは、冥王星リターンも珍しくはありません。

「アメリカ建国図」
国家を建国した時や国家の体制が新たになった時点の星の配置図を
「始原図」や「建国図」といいます。
出生図同様、国家の体制が新たになった瞬間の星の配置が、
その国のDNAに宿すことになります。それが「始原図」や「建国図」です。
この誕生チャートが、トランジットの星の動きに対応しながら、
刺激を受けて、国家の運命が動いていくのです。

18世紀、アメリカはイギリスの植民地でした。
イギリスはフランスとの長きに渡る戦争の結果、財政が逼迫していきます。
そのため、植民地に対し様々な課税を強化するのです。
イギリス本国議会が決定した増税策に、アメリカの13植民地は反発します。
そして、新たに共和制の新国家を設立しイギリスからの独立を果たします。

1776年7/4、フィラデルフィアでの大陸会議で、
ジェファソンが起草したアメリカ独立宣言が全会一致で採決しました。
そのタイミングのチャートが「アメリカ建国図」です。

アメリカ建国図

建国時の時間に関しては諸説ありますが、
ここでは、現地時間2時15分を採用しています。
これは、50名の大陸会議議員が、独立宣言の草案に署名をした時間です。

「マンデーンで読み解くアメリカの建国」
建国図を読み解き方は、心理占星術とは異なり
惑星やハウスの象意をより社会的な象徴とます。
これをマンデーンと呼びます。
マンデーンでは、太陽は国家であり、月は民衆です。
また水星はビジネスやメディア、火星は軍事や紛争を象徴します。
ハウスに関しては、1ハウスは国家のアイデンティティです。
4ハウスが国土、7ハウスは外交、10ハウスは政府、内閣を表します。

アメリカ建国図を見ると、月は10ハウスにあります。
これは、市民が内閣を構成する国民国家であることを表します。
太陽は木星とともに2ハウスにあり、アメリカという国が、
資本主義社会として経済発展していくことがわかります。
また1ハウスに天王星と火星があるため、
革命と軍事が国家のアイデンティティの中核をなしている
といえるでしょう。

また、太陽は蟹座であるの対し、月は水瓶座です。
そのため、国家の基本的なイデオロギーは保守的で、
アメリカファーストなのですが、
世論は常に、リベラルで開かれたものがあります。
蟹座と水瓶座はクインカンカス(150度)関係にあるため
民意が国家の運営に反映されるまでに、かなり長い時間の
試行錯誤があったと考えられるでしょう。

【日本の始原図】
ちなみに、日本の現在の始原図は日本国憲法が衆議院で可決した
1946年10月7日14:53を採用する人が多いようです。
日本始原図では、太陽は8ハウスにあり、月は1ハウスです。
8ハウスの太陽は、国家の基本テーマは財政や金融にあることを象徴し、
月の1ハウスは、主権が国民にあることがわかります。
冥王星は獅子座13度01分です。
8年後(2031年)、始原図の冥王星とトランジットの冥王星が
オポジション(180度)の角度となり「冥王星ハーフ」を形成します。
憲法が改正されるとしたら、この時期が有望でしょうか。

「冥王星は権力、権威を表す」
マンデーンでの冥王星は権力、権威を表します。
アメリカ建国図では、冥王星は9ハウスにあり水星とオポジションです。
そのためビジネスはグローバルに発展し、
大きな権威を持つに至ることがわかります。
現在ではアメリカを代表するグローバル企業である
GAFAがこの冥王星に相当すると解釈するのが自然でしょう。

そして、その冥王星がリターンするということは
アメリカの権力構造が変わることを示唆しています。
そもそも国家が一定のイデオロギーや社会体制を維持できる限界が、
冥王星周期といわれています。

【プルートリターンのいろいろ】
例えば、フランスでは、1589年にアンリ4世が国王に即位してから始まったブルボン王朝は、そこから250年が経過したフランス革命で王権が廃止され消滅しました。そして、日本では江戸幕府が始まったのが1603年であり、そこから264年後の大政奉還で王政が復活しました。

こうしたことを検証してみると、
プルートリターンによって、アメリカの権力構造が、
大きく変わる時期にきていると予測できます。
また、世界の覇権国家という権威も近いうちに失うことになるでしょう。

18世紀のイギリスで生まれた資本主義社会は、
イギリスから独立したアメリカによって発展しました。
資本主義は、自由と平等を土台に持つ社会体制において、より効果的に
発展します。そのため王政をはじめ古い権力構造が残るヨーロッパよりも、
歴史のない新しい国家の方が、親和性があるのでしょう。

アメリカの体制が変わるということは、
世界のスタンダードであるアメリカ型資本主義社会が、
終わりを迎えるということになります。
どのような形で終わり迎えるのか、注目していきたいところです。
18世紀のフランス革命のように、下剋上のようなことが起こるのか。
または、19世紀の日本の幕末のように、旧勢力が自ら権力を放棄するのか。
あるいは、第三国が介入していくのか。。。

ちなみに、山羊座27度34分に冥王星が入るのは今回で3回目です。
1回目が2/21、2回目が7/11です。
とはいえ、冥王星は非常にゆっくりと移動するので、
2022年は年間を通してオーブは1度以内にありました。
また、2023年になっても逆行して、8月~11月に再びオーブ1度以内に
入ることになります。
また、オーブを3度までとるとさらに前後1年程度の幅ができます。
そのため、プルートリターンの影響は、2021年~2024年位の幅で
みていくと良いでしょう。

「山羊座28度が表すもの」
ちなみに、サビアンシンボル山羊座28度は「大きな養鶏場」です。
(サビアンシンボルは数え度数でみていきます。27度34分は28度とします)
28度という度数は、次のサインに向かうための道筋を表します。
つまり、山羊座的な時間と場所が限定された時空から、
水瓶座的な非限定的な空間世界へ移行していくための分岐点が28度です。

一つ前の27度は「山の巡礼」というサビアンシンボルです。
山羊座はこの27度で「山の頂上」へと到達しました。
頂上(ピーク、ゴール)に到達してみると、そこには、より広い世界が
あることに気づき、新しい景色を見ることになります。

人の人生に置き換えてみると、山羊座27度で全てをやり切ります。
そして、一定の成果と地位を手に入れるのです。
あとはリタイヤしてのんびりとした余生を過ごそうと思っていたら
この先に、まだ見たことのない広大な世界が待っていることを知るのです。

アメリカ建国図の冥王星が山羊座28度に配置されているということは、
国家としてのステージが、いずれ大きく変わり、
そのために、旧勢力が全てを手放なさなければならいことを
潜在的に解かっていたことになります。
そして、その時を今、迎えているのです。

東海 豊


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