マリオネットホテルを観劇した話について
マリオネットホテルを観劇しました。最高でした。一番好きな作品かもしれない……。グランギニョルとマリーゴールドと拮抗している……。
それくらい大好きな作品になりました。
TRUMPシリーズ生観劇の感動もあったからだとは思うが、ハチャメチャに好きな作品でした。
ありがとう末満さん、どうか健康に気を付けてクラウスばりに長生きして。
以下マリオネットホテル含む全TRUMPシリーズ、年表のネタバレアリです。
さて、マリオネットホテルはグランギニョルの前日談のようなもの。
完全階級社会である吸血種の世界。特級貴族であるダリ・デリコ(染谷俊之)のもとに、差出人不明の一通の手紙が届く。手紙に誘われたダリが或る古びたホテルに赴くと、支配人ムンク・ミーラン(神農直隆)や従業員たちに歓迎される。
そのホテルは従業員や宿泊客の全員が、何者かによってイニシアチブを掌握されている《マリオネットホテル》であった。
そこにはダリと婚約破棄となったフリーダの妹であるジョー・ヴェラキッカ(愛加あゆ)と弟のエゴ・ヴェラキッカ(梅津瑞樹)、ダリの亡き父クロードの部下であったモネ・スタンフィールド(瀬戸かずや)、ダリの旧友であるゲルハルトの妹フランチェスカ・フラ(川崎愛香里)、他にも名門デリコ家に縁のある者たちが集められていた。
秘密を解き明かそうとするダリたち。
この状況を招いた黒幕である《人形使い》とは一体誰なのか? ダリはなぜ《マリオネットホテル》へと導かれたのか?
その秘密を解き明かそうとする時、過去の因縁が姿を現すこととなる。
(https://marionette-hotel.westage.jp/pages/7941863/page_202406031747)
あらすじを読んだ時は「婚約破棄された姉の代わりにジョーがダリちゃんをボコボコにするのかな」とか思っていました。ヴェラキッカは履修済みだったのであのお城で起きた事件の前後でこんなことになるとは……!と予想してましたたけど、すべてが違いましたね。
感想を見ていると割と序盤からジョー=フリーダと気付いている方が多かったみたいですが、私はアホアホ丸なので一切気付きませんでした。
さてさて今回はダリちゃんとフリーダが協力して密室ミステリーを解決していく話でしたね。若かりし頃のダリちゃんもポニテが良くお似合いで麗しい。
とっても素敵だったんですが、終盤みんなが業火で焼かれている時、いわゆるライネスタイムを迎えた時は「今回の地獄は以外と薄めなのね」と思いました。だって燃やされてただけだし、それもダリパーンチで解放されたわけだし。
正確には全然「だけ」ではないんですが、リリウム、グランギニョル、スペクターの地獄を見ていたら「死人0」は全然ライト地獄です。
でもラスト、エゴの独白で全部ひっくり返りました。
あまりにも地獄すぎん?エゴが何をしたっていうんだ。
これは全員が苦しみ悲しみ傷付く地獄ではなく、エゴだけが一人地獄に突き落とされる話だったんですね。
余談ですが、今回はエゴの「我は守護者なり」をフランチェスカが邪魔したんですよ。なので「これは守護できるパターンでは!?」と期待しましたが、その後ちゃんと「我守護」宣言するという。結局守護できないんですよね……。
グランギニョル見てなければ一見守護できたようにも見えたんですけど未来はすでに決まっている。エゴの最愛の人、フリーダの死のスイッチを押したのは確実にエゴだったわけです。エゴがあまりにも可哀そうすぎる。
この話は終始、エゴが何をしたというんだ??って話でしたね。コミカルな場面もシリアスな場面もヤレヤレ系巻き込まれ不憫君すぎて涙が出ちゃう。
マジでエゴが何をしたというんだ……。
エゴだけやん。エゴだけが地獄に突き落とされとるやん。
今までの地獄遍歴を考えると多かれ少なかれ残された人も地獄を共有できる相棒のような存在がいたんですよね。
ダリにはゲルハルトがいたしノームには石舟がいた。リリーは正確にはいないけど一応チェリーという幻想がいる。悲しみ傷付いた後もその傷付きをともに話せる仲間がいたはずなんだけどエゴにはいない。
強いて言うならシャルロッテだけど彼女はダミアン側なわけだし今回のことを仕組んだ犯人のひとり。ラストの人格が交差するエゴを見ていると主人角であるエゴは籠の中に閉じ込められているようなものなのかも。誰かに助けを求めることもできず、悲しみや不安を共有することもできない。守りたいフリーダのことも結局守れなかった。
エゴはグランギニョルまで生きてたのかな?それとも将来来るであろう未来に絶望して死んでしまったのだろうか。
余談だけどダリがフリーダにプロポーズするシーン、エゴが呆然としてましたね。「アハハ~大好きなお姉さまが取られちゃったね~」くらいに思ってたけど、ラストの人格交差を観たら全然笑えませんでした。
絶望してたんだな。笑ってごめんな……エゴ。
エゴには同情するけど同じくらいダリちゃんにも同情しちゃうんですよね。だってマリオネットホテルの時点で彼は天涯孤独なわけですよ。兄弟いる雰囲気もなく両親ともに没。
頼れる存在がいない中でも特級貴族として役割を果たさなければならない。命は狙われるし部下や従者達を守らないといけない。悲しんでいる暇はないってやつ。
そりゃあゲルハルトも羨望するわな。ダリは誰よりも強い人。その強さを形成したのはダリの両親なわけで。例え目の前で焼死しようが、ダリは母親から受け取った愛を後生大事にしてただろうし父親とのマリオネットホテルでの思い出を抱きしめてたと思う。
タフだよ、ダリちゃん。ほんとにあなたはタフネス。ただ言葉が足りない。プロポーズの時くらいちゃんと言いなさいよ。
フリーダに「それはプロポーズという意味?」と確認させるんじゃないよ。
そういうところやぞ。昔誰かが言ってたけど、フリーダはダリの行間を読んでくれるけど子供達はそんなことできないのよ。むしろダリが行間を読んであげないといけない。
デリコズナーサリー、育児失敗日記で本当に辛い。
終盤にかけてダリとフリーダのイチャイチャラブコメ要素が強くて過去一でハッピーな気持ちになったんだけど、そのたびにグランギニョルで冷え切った二人の関係を思い出す。あんなに明るく快活な雰囲気だったフリーダがたった10年弱であんな冷え切った感じになる????????
スゥが原因とはいえそうなる?????????
本当にダリ、あなたは言葉が足りないのね。
ダリちゃんの人生を考えるとファムファタルという言葉がしっくりくる。男を破滅させる魔性の女。ダリちゃんは女じゃないけど、彼を中心に悲劇が起きてる。ダミアンに見初められた故の呪い。悲しみ。
そもそもダミアンってなんなんだよ。ダミアンとヴラドってクラウスの旧友なはずなのに全然違う方向性にいっちゃったんだよな。っていうか自分がいるのに「アレンアレン」言われるダミアンのことを考えるとちょっと泣けてくる。TRUMPシリーズはいつも片思い。辛い。
ダリちゃんはずっと誰かを見送る人生だったんだよな。母親は目の前で焼死。父親は病死。妻は刺殺、息子二人も焼死。コクーンでウルの亡骸を前にしたダリちゃんよ……。
自分だったらもう耐えられないと思う。愛した人たちが悉く奪われたならこれから先もそんな人生が待ってるって思っちゃう。もうしんどいから終わりにしようと思う。
それでもダリちゃんが生きることにしたのは結局、役割を与えられたからなんだよな。フリーダからはラファエロとウルを託されウルからはソフィを託された(正確には託されてないけど)。自分のためだったら生きていけないけど大事な人の置き土産のためなら力が出てくるのかなぁ。
ソフィに看取られたダリちゃんはどんな思いだったんだろうか。ホッとしたのかだろうか。それとも悲しみに溢れた人生で辛かったんだろうか。
そんなダリちゃんを見送ったソフィ。永遠を生きる彼は泣いたんだろうか。この頃はまだ人の心を持っていたんだろうか。
マリオネットホテルの話をしているのにグランギニョルや年表の話をしてしていた!それくらいTRUMPシリーズって色々考えちゃいますね。
以下各キャラクターの感想
ダリ・デリコ:染谷 俊之
みんなだいすきダリちゃん。登場した時にお顔が小さくて麗しくてヤバかった。ポニーテールがお似合いで殺陣の時にヒラヒラ舞う裾がとっても素敵……。クロードとの思い出を回想している感じ、ダリちゃんはマリオネットホテルでの思い出をとても大切にしてたんだろうな。人格移植(?)してまで息子の望みを果たそうとしたクロードパパ、結構子煩悩だったんだろうな。なんでもしてやりたい猫かわいがりされてたのかなぁ。
フリーダと会っていたことを覚えていたダリを見るに一目ぼれだったのかも。
ジョー・ヴェラキッカ:愛加 あゆ
役名を見た時「ヴェラキッカで見たやつ!!!」とテンションが上がった。でもアホアホ丸なのでヴェラキッカが過去の話とかまったく気付かなかった。余談だけどジョーはカイと添い遂げその後当主になったんだね。当主のジョーは美しく麗しかったことでしょう。
フリーダの胸のおリボンというかフリルがとっても素敵……。あと生歌が聞けてハッピーだった。今宵は黒き夜ってクランの課題曲だったんだ。割とブラックめな気がするけど。
あとフリーダ様がこんなに溌溂とした少女時代を送っていたとは、と思った。グランギニョルで出てきた時完全にハートの女王だったしスゥとのやり取りも牡丹と薔薇だったし。でもフリーダ様はずっとダリのことを愛してたんだろうな。フリーダ様から笑顔を奪ったダリちゃん、やっぱり許せない……。もっと言葉にせぇよ。
エゴ・ヴェラキッカ:梅津 瑞樹
今回の裏主人公。長い髪をバッサバッサ振り乱しながらトリッキーな動きを繰り返すヤバいやつだと思ってたけどなんだかんだ振り回されてるヤレヤレ系不備君だった。サラサラだった髪がぼさぼさしていくたびにエゴの苦労を感じて涙がちょちょぎれた。
ジョーの「半年くらい家出をしていた」っていう発言は後々効いてくるんだろうなと思いつつそういうパターンか~と頭を抱えた。っていうか半年家出ってヤバくない??ソフィ爆誕後だったら繭期少年少女誘拐事件ってことで血盟警察稼働案件だけど、まだ誕生してないからそこまで大事になってないってこと???でもさすがに半年は長くない?存在感が薄いの??っていうか半年家出して戻ってきたら腹話術師になってたら色んな意味で心配なるやで。
イニシアチブリングで頭を抱えながら回ってる時、長い髪がバッサバッサと振り乱されてダイナミックでめっちゃよかった。長身長髪からしか得られない栄養があります……。
個人的に梅津さんの横顔が好きでした。ストンとした鼻筋と重い前髪が無機質な感じを出していてエゴ特有の雰囲気を醸し出していた気がする。そんな感じなのになんだかんだ巻き込まれ体質。気の毒で可愛い。完全に弟キャラ。
フランチェスカに縛られたり掃除させられたり靴を磨かされたり、とにかく不憫。全体通してみても不憫。もう不憫という言葉では説明できないくらい不憫。幸せになって……。
無理確定なのは分かってるけど幸せになってほしい。
梅津さん、声を変えるのが上手すぎた。クラウスが降りてきた時も陣内さんかと思ったしダミアンで女性になった時も声がめっちゃ変わった。役者さん凄い。
ムンク・ミーラン:神農 直隆
笑顔が不気味な支配人だった。ムンクが従業員に指示するとイニシアチブの音が聞こえた気がして割と序盤から「こいつ怪しいんじゃないの?」って思ってた。シンプルに怪しいだけのやつだった。ごめん。
ダリちゃんのストーカーから何がどうなって医療の道に進んだのか気になる。自分はダリだと思い込もうとしたっていうのは完全なる黒歴史。そんな黒歴史持ちながら嬉々としてダリちゃんの前に現れられるな。こっちがびっくりだわ。共感性羞恥心で死ぬやで。
神農さんの自撮りが見たい!お顔のアップが見たい!とXのアカウントまで行ったけど全然ない!あげて!自撮り!あげてください!!!
フランチェスカ・フラ:川崎 愛香里
ゲルハルトの妹ってだけあってダリへの激重感情を余すことなく発揮していた。仮に恋が成就してたらゲルハルト、嫉妬でフランチェスカのこと刺しそう……。
ゲルハルトとは違う意味で拗らせてたなぁ。「フラ家に必要なのはお兄様だけ。特級貴族のデリコ家の当主を射止めればお父様もきっと私を見てくれるはず」という言葉が切なかった。フラ家に必要とされたゲルハルトは父親の厳しい躾のもと家のために生きるという呪いをかけられてしまった。ゲルハルトが身内含め誰かに自分の精神的去勢の話をするもの思えないからフランチェスカからしたら「お父様に愛されてずるい!」ってなるんだろうな。でも彼には彼の呪いがある。
ゲルハルトよりも快活な感じだから養子に出された先でちゃんと愛されたのかも。そうだったらいいな。いつか家柄やブランドではなくフランチェスカを心から愛し、心から愛せるパートナーと出会ってほしい。フラ家はいつも誰かに愛されたがってる。マジでちゃんと子供の情緒教育した方がいいよ。その方がお家存続に繋がるんじゃないかしら。
オニオンヘアーが可愛い。動く度にミニスカートがヒラヒラして可愛かった。とにかく可愛いを詰め込んだキャラクター。あとギャル。
愛加さんとの生歌最高だった。音源を下さい。金なら払います。
ヒルマ・モンドリアン:トヨザワ トモコ
マリオネットホテルの良心。本当に……本当に安心した……。いるだけでホッとする存在。圧倒的信頼感。クロードを信頼しダリのことも見守ってきた人。みんなのお母さん。初見で性格悪そうな大阪のおばちゃんとか思ってごめんな。恰幅もいいから酒を海賊のように飲む人だと思ってた。
フランチェスカと一緒におばけを怖がっていたり可愛いシーンも多かった。
モリゾ・コバックス:末満 健一
末満さんだったんですね!!!こんなに体格のいい方なんですね。舞台映えしまくり。
モリゾは絶対女装家だと思ってた。唇紫だし色眼鏡かけてるし。でもただの怪しい情報屋だった。黒猫って呼ばれてるけど黒感がなかった。赤猫ですやん。
一番アドリブ多かった気がする。末満さん、役者として立つことも多いのかな。Xで自撮り載せてって言われて載せてるのめっちゃよかった。お顔が宜しくって。眼福眼福。
身長もあるしお顔がしっかりしているので存在感があった。中華風の衣装にパンチパーマみたいな髪型と激細みつあみ。めちゃくちゃ存在感あるのに突然クロードになったりしてたから「いつの間に!?」ともなった。凄いね~。
声が渋くて素敵だった。キャラクターも好きだからまた別の舞台で出てほしい。ただ、演出も脚本も役者もやってって、末満さん体調大丈夫?健康面が心配だよ……。
ついでにクロードの話も
今回F席だったので舞台が近かったからこそなんだけどクロード出てきた瞬間唇紫で「モリゾやんけ!」ってなった。初演でダリちゃんを演じた末満さんがクロードを演じるってなんだかいいなぁ。
厳しくも優しいパッパ。でも息子の願いを叶えるためにイニシアチブサークル作ろうと思うあたり激重ヤバヤバパッパにも見える(正確には人格移植もサークルもモネがやったことだけど)。妻を亡くしても息子を育て上げたパッパは偉いよ。ダリもパッパみたいになりたかったんやろな。でもなれんかったんやな。悲しすぎる。
モネ・スタンフィールド:瀬戸 かずや
人形遣い!正直、イニシアチブであんなあっさり告白するもんなんや~って思った。この人は色々謎が多いね。男か女かっていうのを分かりづらくしてる雰囲気もあるし、仮に女性(フランチェスカがやきもち焼いてたから多分女性なんだけど)だとしたらクロードに言った「お慕いしておりました」は恋愛感情的なことなのか。だとしたら片思いの末、クロードの最後の願いを託されたってことになる。部下として、友人、長年の片思いとしてこんなにも誉れ高いことはないよな。クロードに噛まれたのもきっと嬉しかっただろう。
クロードの時とモネの時で声質が変わってて凄かった。声質とかの感じからして初見ではノラ役の美弥 るりかさんかと思った。宝塚の方なのね。跪くシーンがとにかく麗しいのお美しいの。
気になったのはクロードに言った「原初信仰の取り締まりでは大変お世話になった。命を助けてもらった」という言葉。ストレートに受け取るなら原初信仰者に襲われそうになったけど救われたとかそういう話っぽいけど、本当はこの人、元々原初信仰者だったんじゃないの?とか思っちゃう。
それをクロードに救われて今度は取り締まる側に回ったというか。ただの仕事上での上司なのにそこまでモネが入れ込むのがいまいちしっくりこない。恋愛感情ありきならば分からんでもないが、「命の恩人」って相当なことじゃない?
でもクロードがそこまでして原初信仰者を助けるとは思えないし言葉の裏を読みすぎなのかも~。
以下余談だけど笑っちゃったところ
エゴにクラウスが降りてきた時、真剣なシーンなのは分かってるけど「そんなイタコみたいなことできるの!?」って思った。降りてきている間のクラウスってどうなってるの!?っていうか降りてきてる時は不老不死なの!?こんな簡単に降ろしちゃったらそれこそ不老不死製造マシーンになるのでは????
サークルを作れる人数って決まってるのかな。3人でもサークルってことになったら原初信仰者集めて噛み合ったらそうなる気がする。
割と気軽にできることない???大丈夫ソ?????ほぼこっくりさんやないか。
あと降りちゃったがためにダリに殴られたエゴ、やっぱり不憫。
アレン症候群
繭期の症状でアレンを探し求めるっていうのはクラウスの悲しみがそれだけ大きいことを表してて痛ましいと思ってたけど、それを「アレン症候群」って名前をつけてたのはちょっと笑った。
それ以外ないのは分かってるけど聞いた時「ダセェ!」って笑った。
今回初めての観劇でめちゃくちゃ楽しみにしてましたが、その反面、少しだけ不安でもありました。グランギニョルやマリゴを超える地獄が浴びれる可能性は低いだろうなと。
でもそんなこと全然なかった。今回も末満さんにぶんぶん振り回されました。本当にありがとうございまし(ありがとうございます)。
円盤出たら買います!人にも進めます!っていうか明日発売がいいよ~!!
音源もください!マリゴの音源も私は全然諦めてません!マリゴの「我は守護者なり」の音源を下さい!!!!
円盤でもっと細かく見れるのが楽しみ~!!!