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経営改革で「パナソニック株式会社」を解散?聖域無しで様々な可能性含め改革。
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【出典】パナソニックホールディングス株式会社 パナソニックの由来
【2400文字】
1.日本を駆け巡ったパナソニック解体報道
2月4日、急きょ発表されたグループ経営改革説明会に登壇したパナソニック ホールディングスの楠見雄規社長は、テレビ事業を2025年度末までに撤退か事業売却を検討する「課題事業」の1つに指定した。
これまで「テレビ事業は白字を目指す」と説明してきた。
白字とは、黒字でも赤字でもないという意味。
1-1.テレビが他の製品買い替えのきっかけに
これまで事業からの撤退や売却を検討してこなかったのは、全国各地に点在パナソニックショップ(専売委託店)の存在が大きい。
専門店では一部の例外を除いてパナソニックの製品だけを扱っている。
その中でもテレビは主力の商品で
「テレビの買い替えを機に顧客の家に訪問し、それ以外の家電の買い替えにつながる(営業活動)ケースが多い」のだとか。
2.他社でも似たような営業はしている
「パナソニックショップがテレビの買い替えを機に顧客の家に行き、テレビ以外の家電の買い替えにつなげる」営業活動自体は珍しいことではなく、例えば東京ガス株式会社では「東京ガスライフバル体制」という戦略で似たような事をしている。
2-1.東京ガスライフバル体制の流れ
東京ガスライフバル体制が目指すもの
「一件一件のお客さまとの親密な関係づくり」
下記3社でライフバル体制と呼ぶ営業活動の充実化
①東京ガス(株)ライフバルへ販売委託
【都市ガス供給】
↓ ↑
②東京ガス・カスタマーサービス(株)(東京ガス子会社)
【コールセンター】
↓ ↑
③東京ガスライフバル(販売等委託店)
【1.ガス機器の営業・修理・設置
2.その他家電販売 3.ガス開閉栓 4.検診業務】
東京ガスライフバル体制では
コールセンター(電話窓口)
↓ ↑
東京ガスライフバル(店舗窓口)
1.コールセンターでお客様宅へ伺う機会を逃さない
2.東京ガスライフバルが訪問し営業活動につなげる
2-2.ライフバル体制の営業活動例
①コールセンターに支払い方法変更や料金プラン変更の入電
↓
②本題以外の話しがお客様からでる(電球切れ、家電の故障)
↓
③「ライフバルで対応可能か確認の提案と必要性の有無」確認
↓
④ライフバルへ引き継ぎ。対応可能な案件かライフバルで判断
↓
⑤対応可なら(例:電球交換)お客様宅へライフバルから訪問
↓
⑥その他の困り事、家電の様子を伺い、家電やガス機器の営業
東京ガスライフバル体制で、このような小さな機会も逃さず、電球交換など、本来業務とは関係ない事からコミュニケーションを深め冷蔵庫や洗濯機、乾燥機、ガス機器、ソーラーなど多岐にわたる生活家電や省エネ提案などを行う。
(個人的にはこういうの断る対応も面倒臭いし、歳をとった親に変なもの売りつけたりしそうで怖いけど。)
東京ガスライフバル体制の完成についてを一部参考
3.パナソニック創業者の松下政経塾も
パナソニック創業者の松下幸之助氏の松下政経塾は有名だ。
実は松下政経塾では、当時のパナソニックショップに塾生達が派遣され、担当地域の家々を周り一定期間飛び込み営業をし、販売ノルマを達成を目指す研修があった事は有名だ。
松下政経塾出身のある女性政治家は、電球を店舗から許可を得て持ち出し、電球が切れてる家がないかを重点的に確認した回ったという。
そして、電球切れのお宅があると、交換もサービスですると上がり込み家族構成などを聞いていき、洗濯機や冷蔵庫、エアコンの営業をし、販売成績は上位だったのだとか。
4.「パナソニック株式会社」を解散へ
経営改革の中身は、大きくわけて3つある。
1つ目は、低収益事業は撤退か売却を主眼として検討すること。
2つ目が、家電などを手がける「パナソニック株式会社」を解散し事業再建を進めること。
3つ目は、エネルギーや供給網管理などのソリューション事業に注力することだ。
これら3つの改革で、2024年度との比較で2026年度までに約1500億円の収益改善を見込む。
テレビ以外にも、工場向けの製品が主体の産業デバイス事業、電子部品を生産するメカトロニクス事業、炊飯ジャーや食洗機を手がけるキッチンアプライアンス事業が「課題事業」だと名指しされた。
これから撤退か売却かを検討していく、これら4事業の合計売上高は9000億円に上る。
5.波紋を呼びそうな営業・開発の見直し
こうした組織の見直し以上に波紋を呼びそうなのが、家電事業の営業と開発体制の見直しだ。
楠見社長は「日中連携によって(家電の)量産開発を中国にシフトして、それに伴う日本の量産開発リソースの適正化を進める」と発言。
家電部門では、これまでも生産拠点の海外移転や、部品コストの引き下げを進めてきている。
すでに電子レンジや冷蔵庫の一部のモデルで大幅なコスト削減に成功しており、開発体制の変更でさらにコスト構造を見直す考えだ。
すでにテレビは一部の上位モデルを除いて生産を中国のテレビ大手TCLなどに委託している
6.成長しないパナソニックの「本質的課題」
楠見社長は、自ら「本質的課題」とするガバナンスの不備についても言及した。
現在は各事業会社の取締役に楠見社長と梅田博和CFO(最高財務責任者)が名を連ねており、これが目詰まりを起こしていた。
社外取締役から「私と梅田がその場(事業会社の取締役会)にいると、HDに案件が上がってきたときにやっぱりひっくり返しにくいという意味でガバナンス不備に繋がるというご指摘もあった」(楠見社長)という。
そうしたガバナンスの不備が顕著に表れているのが「ヘッドカウントコントロールができていない」ことだ。
人員が増えすぎている事業部や本社などの間接部門を中心に早期退職を募集、2025年度中に適正化する。
7.最後に思うこと
今までも、事業の整理で自社開発していたプラズマテレビからの撤退や、液晶製造の撤退。
これまでも、経営的危機に陥るたびにリストラを何度も繰り返してきた。
今度こそ本当の意味で生まれ変わり、体質改善ができるのか。
今後のパナソニックの行方が気になる。
日本の総合家電メーカーは、シャープは台湾鴻海傘下になっちゃったし、東芝も白物家電も黒物家電も中国企業に売却して、幅広く品質や対応も信頼できるメーカーはパナソニックだけになっちゃったから、がんばって欲しいと切実に思う。