男子校にも吹奏楽部があるんだよ#5 絡まれるおまんじゅう君
石橋は危ないので渡らずに暮らす派です
トランペットの音に誘われて高校音楽室へ向かうのですが、音楽室へ向かう道のりは臆病で可愛い中学一年生の私には過酷なものでした。高校音楽室は中学校の校舎とは別の校舎の最上階の一番端にあります。怖そうな男たちがうろうろする廊下を抜けなくてはならないのです。最初に行った時は先輩が一緒だったので大丈夫でしたが、一人で行くのは大変なことです。
まずは上り階段へ向けて、大柄な男子高校生の間を縫って歩いていました。
あまり柄の良い学校ではありませんが、それを締め付ける先生が沢山いる為、いきなり絡まれる様なことはありませんでした。
「あれ細山君じゃん!」
いきなり絡まれました。話しかけてきたのはアメフト部の先輩です。
入学した後の話をかなりすっ飛ばしているので話していませんが、
ぽっちゃりとしていた私はアメフト部に執拗に勧誘をされてました。
そしてぽっちゃりとしてかわいいので付けられたあだ名は細山君です。
細山君って分かりますかね。ぽっちゃりした子役みたいな子です。今は痩せてかっこよくなりましたね。私はそんなに痩せずにかっこよくもなっていません。
アメフト部先輩「細山君なにやってんの?」
安西「。。。」
アメフト部先輩「おう、で、アメフト部今日は来る?」
安西「ぃかなぃです。。。」
アメフト部先輩「なんで?」
安西「吹奏楽部。。。行くんで。。。」
アメフト部先輩「すいぶか~まあまた誘うわ。」
吹奏楽部のことをすいぶって略すのはこの時初めて知ったかもしれません。最大の敵アメフト部の先輩を何とか巻いて、音楽室へ向かいます。
最後の試練である階段を登り切り、ようやく音楽室へたどり着きました。
でも前回着た時とは様子が違っています。音楽室の扉は閉まっていて、廊下や踊り場でも誰も練習をしていません。でも音楽室の中からは音が聞こえます。
ストーリー的にはここで扉を開けるべきなのでしょうが、
私は普通にあきらめて帰りました。
変な挑戦はしない派です。
仕方がないので翌日また勧誘に乗って吹奏楽部見学へ行くことにしました。
翌日の放課後に、下駄箱のあたりで勧誘をしていた先輩につかまえてもらって、音楽室へ行きました。この時私を音楽室へ連れて行ってくれたのは一つ上のフルートの阿部先輩でした。
阿部「安西君今日はどの楽器にする?」
私はトランペットの音に誘われて吹奏楽部に来てはいたのですが、
やりたい楽器はサックスでした。多分サックスをやるのが一番かっこいいと思っていたんでしょうね。なのでサックスをやりたいと伝えました。
阿部「分かった。ちょっと待ってて」
そういうと阿部先輩がもう一人の先輩を連れてきました。
先輩「どうも。高井です。サックスをやりたいんだ。」
安西「はい。」
高井「なんで?」
安西「この前やってみて面白かったんで。。。」
高井「ふーん。まあ練習場所に行こうか。」
高井先輩は一見優しそうに見えて話し方も穏やかなのですが、非常に眼光の鋭い先輩でした。私の目をにらみつけるようにして話しかけてきます。こうして高井先輩に連れられてサックスパートの練習場所へ向かうのでした。前回の体験の時には、誰に教わったのかも覚えておらず、この時が私とこの男子校吹奏楽部のサックスパートメンバーとの初めての出会いです。
つづく
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