見出し画像

建築士歴40年近くの超ベテランが家づくりで選んだ素材とは【5人家族都心築52年マンションリノベ記】

こんにちは、mizutamaと申します。

2024年1月11日より都心部にある築52年の自邸を、スケルトンからのリノベ工事をしました。おかげさまで4月下旬に引き渡しが無事完了し、5月1日にすっかり生まれ変わった自宅へと戻り、早くも4ヶ月半が経過しました。

まだまだ猛暑に近い気温が続く東京都心部。
以前記事にしたように、二重サッシの恩恵に感謝しまくる毎日です。

夫、私、高校生、中学生、小学生それぞれ1人ずつ、合計5人家族のヴィンテージマンションリノベ記録。同じような状況でリノベを検討している方や、状況は違えど住まいやインテリアについて興味を持っていらっしゃる方の何かのヒントになればとブログの更新を続けております。
詳細な自己紹介はこちらの記事、また100本以上に及ぶ過去記事のINDEXは以下にまとめております。何かのヒントになることがあるかもしれません、ぜひご覧くださいね。

今年に入って子どもの学校関係で出逢った一級建築士の方がいる。
長く勤め上げられた建築関係企業を定年退職され、退職後は独立され個人事務所にて士業を続けられているとのこと。

いつもセンスの良い服を身に纏われていて、色々と拘りのありそうな方だな、とお見受けしていた。
人生待望の家づくりをやっと経験した私。
そんなセンスのいい、かつプロでもあるUさん。そんなUさんが、果たしてどのような家に住んでいるのか、興味があった。

とあるタイミングで、そんなUさんと雑談のできる時間があったので、Uさんのお宅について、自分の反省や感じたことを踏まえて、色々とお伺いすることにした。


はじめに

他人の住宅を何百、何千軒と手掛けられてきたベテラン建築士Uさん。
人生で相当数の住宅やマンション(大規模施設やランドスケープの設計を手がけられらこともあるとのこと)設計を経験してきたからこそ、設計や建築設備について、熟知されていることだろう。

更にはなんと、奥様も一級建築士というスペシャリストカップル。お互い建築士となると、双方拘りも強く形にするのはさぞかし大変だったことと感じた。
ところが、日常生活では主に水回り関係の家事はご主人であるUさんが担当されているとのこと。
夫婦それぞれで「譲れないポイント」は決めて、棲み分けて決めていったとのことで、大きく揉めることはなかったそう。

そんなベテランスペシャリストカップルの住まいで拘ったポイントについて、いくつか掻い摘んで質問をさせてもらった。

超ベテラン建築士の選んだ"床材"

最初にもっとも個人的に気になったのが、床材。
我が家の場合は、調べて、悩んで、最終的に水回り以外は無垢床にした。

ではプロであるUさんはどうしたか。

U:「床はね、無垢。」
me:「無垢につく油汚れとか水のシミが落ちないとか。敬遠される方もいますけどどうして無垢にされました?」
U:「どんなものを使っても、変化しないものなんて、ないんですよ。
たとえばクッションフロアとか合板フローリングとか、傷がついたり汚れた時の痛み方が、あれもう個人的にどうしても許せない。
無垢だったらどう転んでも汚れでも、どっちでもいい。
逆にそれ以外の素材(クッションフロアや突き板)は、個人的にどうしてもいやなんです。」
me:「あーーー、それすっごいわかります。
私今回こうしてリノベをするまで無垢の家って住んだことがなくて、やはりどこかで大丈夫かなと心配してたんですけど、汚れもシミも、最悪ヤスリで削れば良いし、"味"のような感じになるんですよね。
逆にクッションフロアとか、仮住まいの時の合板フローリングなんかは、傷がつくともう中の白いものが見えちゃって偽物感がすごく感じられて。
私もその感覚、全く一緒です。」
U:「実はね、玄関まで無垢なの。
もう、見せるつもりなかったけど見せちゃいますよ。
特別にダメージ加工を施してもらって、汚れが目立ちにくくした無垢にしてもらったんです。他でもこれ、そうそう同じ事例はないと思いますよ。」

補足だが、キッチンはリビングに鎮座するアイランド型にされたこともあって、キッチン周りの床も無垢だった。
その他のトイレや洗面スペースについては確認できなかったものの、「数多く他人の家を手掛けてきたプロであっても、無垢を選ぶのだな」ということを強く感じた。

超ベテラン建築士の選んだ"キッチンのワークトップ"

この時私は、自分が選択したキッチンのワークトップ。「傷が目立ちにくい」という特性をもつはずの、ステンレスバイブレーション仕上げが、実は結構傷が目立つということにショックを受けていた(笑)。
キッチンの話題が出た流れで、ベテラン、かつ、ご自身でお料理もされるUさんが選んだキッチンのワークトップについて、質問させてもらうことにした。

me:「ちなみに、キッチンのワークトップは、やっぱりセラミックですか・・・?」
U:「キッチンはですね、ステンレスのアイスっていうのがあって、氷のような文様で凹凸のある面材にしたんですよ。」
me:「なるほど。ステンレスっていろいろな種類があるんですね。ホットバイブレーションとは違うんですか?」
U:「ええ、それとはまた別で、(写真を見せながら)こんな感じで不規則にプレスされて、流氷をイメージした模様がついているんです。」
me:「全く知りませんでした。こんなものがあるんですね。
ちなみに、このアイスだと、傷はつかないんですか?」
U:「いや、つきます(笑)
あのね、どんなものでも本当に、状態が変化しないものなんてないんですよ。結局このアイスも、傷がついてきてます。」

TOYO KITCHENのサイトより引用。

超ベテラン建築士が選んだステンレスワークトップでも、傷ができているという話を聞いて、やっと自分の中から、ワークトップにつく傷への執着が解放された気がしたのだった。

ベテラン建築士の数少ない後悔

このブログでも何度も出している言葉、
家作りは、3回経験してはじめて納得のいくものが仕上がる」。

ご自身が手掛けられた家は今のご自宅の1軒のみということだったが、今後もう一度作り替えたい、そういった要望はあるかどうか、尋ねてみた。

U:「いえ。
もう自分の家づくりは十分です(苦笑)。
これまでの人生で散々他人の家はつくってきてますし、その経験を踏まえて、自分なりに最大限納得のいくものをつくったと思っているので。」
me:「では、そんなプロであるUさんでも、「失敗したー」と感じたり、後悔していることはありますか?」
U:「特にないんだけれど、やっちまったというのが、ベランダを作り込みすぎました・・・。
自分自身が植物が大好きで、ベランダのガーデニングも相当設計して作り込みすぎてしまって。
終わってみて気づいたのが、「やばい。そういえば大規模修繕何年後かにあるじゃん。そのときどうするんだよー」っていうこと。こればかりは完全に、向こう見ずにやってしまいました。」

我が家もそうですが、マンションでは一般的に、外壁やサッシ、ベランダの塗り替えなど、マンション全体で定期的に大規模修繕工事が行われるものです。
我がマンションでも(当時は賃貸として住んでいた)8年ほど前に大規模修繕工事が行われ、その際にはベランダの植栽は一度全部引き上げる必要があって、そんなに量は多くなかったものの、それなりに大変だったことを記憶しています。

植栽って鉢の大きいものは本当に運び出しが大変です。

今回のリノベで導入を勧められたガス乾燥機幹太くんのベランダ設置についても、今後の大規模修繕を考慮し見送りました。

マンション住まいでガーデニングがお好きな方は、大規模修繕工事の存在を頭の片隅に入れておくと、いざと言う時に慌てず済むかもしれません。

さいごに

大概の人の人生で、一生に一度あるかないか。家づくりってそのくらいのビッグイベントだと思う。
その家づくりの場数を大量に経験している建築士という立場の方(しかも大ベテラン)から、話を聞けたのはとても貴重な機会だと思った。

そして、そんな超ベテランも無垢床を選んだということに、ほっとした自分がいた。ただし、どんな素材を選んでも、それぞれにメリットデメリットがあるわけだから、ここはセンスと好みによって選択が分かれるのだと思う。

今もしくは今後、家づくりやリノベをする方に、一つの参考にしてもらえたらと今回記事にさせてもらうことにした。

何かヒントになることがあれば、ぜひ取り入れてください。



楽天ROOMはじめました。
このnoteで紹介した商品や、これまでの暮らしを通して実際に使ってきた、お気に入りのアイテムたちを紹介しております。

よろしければサポートいただけると嬉しいです。 いただいたサポートは、今後より充実した記事発信のための、取材や調査費に使わせていただきます!