第8話 富士からの使者、もとい死者
あれは確か今から5年前の年末、
初めてお伊勢参りに行った帰り道でのできごと。
高速を運転していると、突如目の前に現れた富士山。
その美しさに心奪われ、
インターを降りて近くまで行ってみることにしました。
日付は確か12月31日の夕暮れ。
あの日の富士山には雲一つなく、山頂が夕日に照らされて、
紫がかったピンク色に怪しく輝いていました。
まるで何かに引き寄せられるかのように、
富士ハイウエイを進んでいきました。
だんだんあたりも暗くなり、すれ違う車も少なくなってきて・・・
心細くなってきたので、途中で引き返すことにしました。
ナビを自宅に設定し車を走らせていましたが、
来た道とは違う道をナビに案内される。
どうも街とは反対方向の森の方へ進んでいっているようで、
街灯も少なくなってきた。
しばらく走っているのに、
いっこうに「高速」の表示すら出てこないんです。
なんだかおかしいな???と感じ、
車のナビとケータイのナビの両方にもう一度自宅を入力してみましたが、
やっぱり両方とも先ほどと同じルートを示しています。
前を走っている車もすれ違う車もほとんどなくなり、
いよいよ心細くなってきました。
来た道を戻ればよかったのですが、何故か突き進んでしまったのです。
一向に街らしい明かりも見えてこず、どんどん森の中へ。
時刻は18時半くらいだったでしょうが、辺りはもうすっかり夜。
おかしいと思いながらも車を走らせていると、標識が目に入りました。
目を凝らして見ると・・・「青木ヶ原樹海」と書いてある!?
私には怖いイメージしかない!!!
一気に全身がゾワ~ッとなり、めっちゃ鳥肌が立ちました。
やばい、やばい、やばい、戻らなきゃ!!!!!!
もう心臓は恐怖でバクバクです。このまま進んでは絶対に危ない!
直感的にそう感じ、大急ぎで来た道を引き返すことに。
ほぼ一本道だったのは幸いでしたが、もう全身鳥肌で、
怖くて後ろもみれません。
藁をもすがる思いで、ひたすら般若心経を唱えながら、
来た道を戻りました。
なんとかコンビニまでたどりつき、
インターの場所を店員さんに教えてもらうと、
まったく反対の方角でした。
店員さんに教えてもらった通りに戻ると、
やっとインターの看板も出てきました。
インターの手前でもう一度ナビに自宅を入力してみましたが、
示す経路はまた富士山の方で、またまた怖くなりました。
富士からだいぶ離れた所へ来て、
ナビが自宅への経路を正常に案内してくれるようになり、
ようやくほっとしました。
ほっとしたせいか今度は眠気が襲ってきたので、
PAで仮眠をとることに。
約1時間くらい寝たでしょうか?
起き上がろうとしたその時、ギューッと後ろに引き戻される感覚?
というか、倒されるというか、そんな感覚がしたんです。
再びゾゾ~ッ!!!
もしかして、車になんかついてきちゃった???
私になんかついてる???
色々な不安が頭に浮かんできました。
これは本格的に怖い~!!!!!!!
車の後ろの方がなんか怖いので、あんまり見ないようにして、
大声で歌いながら、怖い気持ちを紛らわしながら自宅への道を急ぎました。
ようやく自宅に到着し、車をガレージにいれようとしたその途端、
車が急に・・・ギュルギュルギュルー!!!!!!
ともすごい音を立てました。
まるで車の悲鳴のように聞こえ、また全身に鳥肌が!
いや~絶対なんかついてきちゃったよ~!
もう恐怖しかない・・・。
次の日もまたエンジンをかけた途端、ギュルギュル!!!と、
ふたたびすごい音がなりました。
やっぱり気持ち悪いな~って感じがしたのですが、
さらに不安になるできごとが!!!
車内で電話していた時のこと。しばらくしても相手が出ないので、
電話を切ろうとケータイの画面を見ました。
あれ???どうやって電話って切るんだっけ???
画面を見つめ、しばらくパニックに!
通常ならば画面に表示されている、通話を切るボタンがない!!!
表示されてないんです。
結局、主電源を切って電話を切ったのですが、
再び不安&恐怖に襲われました。
いやいや、絶対車になんかいるでしょ!?
私は霊は見えたりはしないけど、なんかそんな感じがする。
このまま車に乗り続けるのも嫌なので、お祓いとか受けたほうがいいのか?
でも本当になんかついてるのか?見える人に相談したい!と思い、
霊能者の方に見てもらいました。
車を霊視してもらうと、何か乗ってるかもねということでした。やっぱり!
車のお祓いをすれば大丈夫とのこと、それを聞いてとりあえず一安心。
その時、「車」の話から、「旦那さん1月~3月まで運転気を付けて!」
「旦那さんの車も一緒にお祓いして、お守り付けておいた方が良いよ。」というアドバイスも頂き、
後日旦那さんの車と2台でお祓いを受けてきました。
(※ちなみに宇都宮の多氣山のお不動さまです。こちらは「祓い」の力が超強力なお不動さまです。)
おかげさまでその後、旦那も私も事故にあうことなく過ごせました。
富士山での体験は怖かったですが、この体験がなかったら、
旦那さんの車のことも知ることができなかった訳だし・・・
結果的には良かったのか!?
いや、旦那の車の件に気付かされるために、怖い思いしてきたのか!?
とにもかくにも、終わりよければすべてよし!!!
ってことですかね、チャンチャン!
9話につづく・・・。