『Lean in 女性、仕事、リーダーへの意欲』を読んで
この本を読んだきっかけ
20代後半に差し掛かる今、女性の働き方について考える機会が増え、この本を手に取りました。
20代後半の女性は結婚や出産といった人生の大きなイベントと重なることが多いです。結婚のタイミングは自由になってきたものの、出産には適齢期があり、それを過ぎると子供を持つことが難しくなります。子供を持つことが全てではないにせよ、適齢期である今はそのことをよく考えさせられる時期です。「まだ若い、人生これから!」と思っているのに、この時期に大きな決断を迫られるとは、10代の頃は予想していませんでした。
そんな悩みに応える先人を探して、この本にたどり着きました。
女性の働き方に関する本は多くありますが、この本の題名や内容は他の書籍でも度々紹介されており、まずはここから読もうと思いました。
感想を一言でいうと、感情論や経験談だけでなく、数字や統計も用いてキャリアに悩む女性を応援してくれる本でした。読書感想文ですが、今回は感想を書き込むのではなく、読んで参考になったこと・これから何度も思い返したい部分を抜粋しておきたいと思います。
私に響いた筆者の主張とデータ
筆者の主張
・女性のリーダーシップ
筆者は、女性差別が昔より減ったものの平等は実現できていないと指摘している。そのため、女性のリーダーを増やし、女性が抱える問題を社会で主張できるようにすることが必要だと述べている。
・ 家庭内での男性の役割
筆者は、女性が職場で力を持つ必要があるのと同様に、男性も家庭で力を発揮する必要があると述べている。これには、女性が男性に指摘しすぎず、任せることが重要だと考えている。
・成功の定義
筆者の成功の定義は「自分に出来る最善の選択をし、それを受け入れる事」。成功は外部の評価だけでなく、自分自身が満足できるかどうかにかかっていると述べている。
興味深い実験やデータ
・インポスター・シンドローム:十分な実力がありながら理由もなく自信を持てずに悩む症状、女性特有の詐欺師感覚。男性に成功した理由を質問すると、自分の資質や能力のおかげだと答える人が多い一方、女性は自分の外に原因を求めることが多く、運や他からの助けと答えるなど、自己評価を下げる傾向がある。
・ハイディとハワード実験:成功と好感度は男性の場合は正比例し、女性の場合は反比例するという結果に。交渉の場において、男性が強気に交渉しやすいが、女性が同じようにすると逆効果になることを女性自身も感じているので、同じようにできない。ポイントは、女性は他人のため(会社や同僚など)に交渉することで、利己的にみられないので上手くいきやすい(著者談)。
・過去四十年間に行われた様々な調査により、父親が積極的に育児参加した子供は、そうでなかった子供に比べて精神的充足感が高く、認知能力も豊かであり、非行に走る率は下がり、社会的適性を身に付けた子供に育つ傾向がある。家庭においても仕事においても、パートナーと対等な関係を築くことを推奨している。
・労働時間も家庭に費やす時間も、過去に比べると増加している。1975年には、専業主婦が子供のために使う時間は週約11時間、働く母親は週6時間だったのに対し、今日では専業主婦では週17時間、働く母親は週11時間使っている。今日では、「良い母親」はいつでも子供に付きそう「高密度育児(intensive mothering)」が賞賛される傾向にある。しかし、調査によると「母親が全面的に育児をした子供とそれ以外の人が育児に携わった子供の間では、発達に何らちがいは認められなかった」。だから、すべてこなせるだろうかと悩むのはやめ、自分と家族にとっていちばん大事なことをできるだろうか」と問う事が必要だと主張している。
筆者からのアドバイス
・高い地位に上った女性は世間から厳しい目で見られることが多い。また、女性が上をめざすとき、立ちはだかる障害の一つがすでに上にいる女性であることもある。女性による女性へのジェンダーバイアスは正当なものとみなされる傾向がある。女性は性差別の犠牲者であると同時に、加害者にもなり得る。逆に、女性も男性も女性に温かさや優しさを求め、男性が相手では非難しないことも、女性が相手では「あの人は冷たい」と評価してしまうことがある(=ダブルスタンダード)。そうではなく、お互いを認め合うことが必要だと主張している。
・女性のキャリアはジャングルジムで考える。梯子は一本道だが、ジャングルジムはてっぺんに行く道筋はいくつもある。だが、現実では女性は現状維持を選ぶ傾向にある。女性が困難な仕事や新しい挑戦に二の足を踏みがちなのは、新しい仕事に必要な能力が自分に備わっているかどうか心配しすぎるせいでもある。応募基準を100%満たしていると確信しない限り、女性は応募しないが、男性は60%程度満たしていれば応募している。
・本当に辞めなければいけない時まで仕事は辞めないで。辞めなかった先にやりたかった仕事が舞い込んでくるかもしれない。
この本を読んだ感想
私の中で一番衝撃的なアドバイスだと感じたのは、「本当に辞めなければいけない時まで仕事は辞めないで。」の部分です。本当に忙しい時、いっぱいいっぱいで全て投げ出したくなる時、私はいつも「選択と集中」の戦略を取ってきたからです。そのため、仕事と育児と家事の両立なんて結局何かを捨てないとできっこないと思っていました。そして一番真っ先に捨てなければならないのは仕事なんだろうな、とキャリアを諦める姿を想像していました。そんな思いを持っていた私に筆者の主張はとても刺さりました。。。
今は仕事だけ、自分のことだけで精一杯な私が読んだ感想になってしまいましたが、これから数年後にキャリアと家庭の両立問題に直面した時、この本をもう一度開き、今とは違う感想を持つことになると思います。そして全てを経験した後にもう一度この本を開くと、また違う感想になるでしょう。
読み手と一緒に人生を歩み、考えてくれる本だと思いました。
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