deGrom v Urias、2021年:何が勝ったのか?

  1. 問題の核心と背景の整理

この質問の中心テーマは、「2021年のシーズンにおいて、ジェイコブ・デグロム(92IP、防御率1.08)とフリオ・ウリアス(183.2IP、防御率2.96)の2人の投手がチームにどれだけ貢献したか」ということです。どちらが優れた成績を残したか、という問いは**質(防御率)と量(投球イニング数)**という2つの異なる価値観に依存します。どちらを重視するかによって、評価が分かれますが、これをどのように数値的に判断するかが本質的な課題です。
この質問は具体的な数値データを元に、両投手のパフォーマンスを同じ基準で評価することを目的としています。質の高い投球を短期間で行ったデグロムと、多くの試合で貢献したウリアスのどちらがチームにとって有利であったかを、勝率ベースで導き出す手法が提案されています。

  1. 問題の構造とデータ

まず、両投手が同じ条件下で投げたと仮定します。両者が投げた試合をベースに、チームがどれだけ失点を防いだかという観点から、各投手の貢献を評価するのが基本の枠組みです。

• デグロム: 92IP、防御率1.08。デグロムの登板試合でチームは14失点したが、92IPの平均的な投手であれば46失点する。結果として、デグロムは32失点を防いだことになります。
• ウリアス: 183.2IP、防御率2.96。ウリアスはチームの67失点に貢献しましたが、183.2IPの平均的な投手なら93失点するため、ウリアスは26失点を防ぎました。

この時点で、デグロムは質的に優れており、32失点を防いだのに対し、ウリアスは26失点を防いだことがわかります。しかし、これだけでは投球回数の差を無視した評価です。

  1. 試合ごとの勝利貢献度

次に、両投手がチームの勝敗にどう影響を与えたかを考えます。

•	デグロム: 92IPを投げた15試合で、リリーフが残りの43IPを投げました。平均的なリリーフ投手の防御率(RA/9=4.50)を考慮すると、リリーフ投手は21.5失点します。デグロムとリリーフ投手が合わせて、合計35.5失点、つまり1試合あたり2.37失点を許したことになります。チームが1試合あたり4.5得点し、失点が2.37であれば、勝率は約**75%(11.3勝3.7敗)**になります。
•	ウリアス: 183.2IPを投げた32試合では、チームの勝率は約.588(18.8勝13.2敗)です。

この時点での勝利への貢献度は、デグロムの方が1試合あたりの勝率が高いということが明確になっていますが、ウリアスの投げた試合数は多いため、全体としての勝利数ではウリアスが上回ります。

  1. ベースラインの設定と投手以外の貢献の除外

次に、投手以外の貢献を除外し、両者の純粋な投手としての影響を計算します。このプロセスでは、勝率のベースライン(.300)を基準に、どれだけの価値を提供したかを測定します。

•	デグロム: 投手以外の貢献を考慮し、デグロムの試合でのチームの純粋な勝率貢献は6.0勝、-1.6敗。ゼロベースラインより+4.7勝。
•	ウリアス: ウリアスの純粋な勝率貢献は7.2勝、1.6敗。ゼロベースラインより+4.6勝。

これにより、両者の貢献はほぼ同等であることが確認されます。デグロムは質の高いパフォーマンスを短期間で見せたのに対し、ウリアスはより多くのイニングを投げ、長期間にわたって安定した貢献をしました。

  1. 最終的な結論

最終的な結論としては、デグロムとウリアスは2021年シーズンにおいて、両者ともにほぼ同等の貢献をしたという結果になります。質を重視する人はデグロムを、量を重視する人はウリアスを選ぶでしょうが、どちらを選んでもチームにとって大きな利益をもたらす投手であることは間違いありません。


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