たった一つのギターとマイクから。
定刻通りに流れる駅のアナウンスに日常を感じな
がら今日も街灯は疲れ切った僕らの影を照らす。
規則的に変わり続ける信号と無意識に変化をもつ
自分に懐かしさを思い出したので音楽に興味を持
ったきっかけを。
-- その花の名前 --
中学3年生の頃。いつも通り晩御飯の前に受験勉
強をしていたぼくはテレビであるTVCMを目にす
る。それは、女性シンガーとある芸人の対談のよ
うな形。それを15秒程度に縮め最後に女性シン
ガーの曲が流れる。なんとなくその曲が気に入っ
た僕は勉強をしながらずっとその曲を聴いてい
た。本当にずっと。当時スマホなど持ってなく、
YouTubeのMVをずっと再生していた。そうして
いるうちに他の曲にも興味を持ち始めアルバムに
入ってるいる別の曲やカップリング曲に手を出し
た。なんなんだろうこの気持ち。
-- ロックを聴かずには --
高校に入学してからは自転車通学だったためずっ
っっとその女性シンガーの曲を聴いて学校に通
い、家路に着く時も僕の耳には彼女の歌声が流れ
ていた。高校時代サッカー部のキャプテンだった
自分は正直周りの部員とは馴染めず言いたくもな
いが叱ったり、関係を気にしながらもキャプテン
の仕事を全うした。距離感が他の部員とは違い分
かってはいたもののやはり試合などの帰りはいつ
も1人。同じ電車に乗っても別の車輌に乗った
り、でもそれで良かった。それが心地よかった。
-- 幕から上がったら、 --
初めてのライブは大阪城ホール。何気なく申し込
んだトレードで当たったこの日はまだライブの楽
しさや醍醐味を知らなかったからか大きなワクワ
クは特にしなかった。会場に着くとカップルや友
達と意気揚々とする人達が大半を占めていた。
でも孤独なんかこれっぽちっぽ感じなかった。初
めてのライブ。意気込んでいたのか買えるグッズ
は片っ端から買うという今じゃ考えられない初
動。どれも大切なグッズ達。
開演5分前、いつ始まる??もうちょっと??と
考えてるうちに暗転。幕があがり始めたと同時に
そこには1人のシルエットとある曲のBGM。
凄い。足の裏から脳天にかけて鳥肌が覆い被さ
る。雷が落ちたかのような衝撃を今でも忘れない
シンバルを叩く度に、、ギターをストロークする
度に、、音が地面を這って足の裏から頭の先まで
揺れを音に乗せて伝わってくるのが分かる。
音が生きてる。。。。
この時のBGMは未だに聴いても鳥肌が止まらな
いしあの時幕が上がった時の彼女のシルエットが
すぐに浮かぶ。
自分が過去に一度だけ戻れるとしたら間違いなく
この日に戻るだろう。
忘れられもしないこの日の帰り道。電車の中で一
目散に打ったTwitterでの検索。
「あいみょん」
僕の神様のようなアーティスト。