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詩「愛称」

わたしを愛称でよぶひとと
わたしを下のなまえでよぶひとがいる
わたしを愛称でよぶひとよりも
下の名前でわたしをよぶひとのほうが
よりわたしを近いところに
抱きしめているきがする

愛称でわたしをよぶひとのまえでは
ひそやかなうすまくの
他人行儀のいつわりがある
わたしを愛称でよぶあのひとも
このいつわりの
しらじらしさ
を生々しくあじわっている

下のなまえでわたしをよぶあなた
あなたは
わたしの底の底を
信じきっている
うす汚いびちゃびちゃした浅瀬を
下の名前でよぶときに
ちらりと
盗み見ながらゆるしてくれている

わたしはそのゆるしを
ささやかながら奇跡のように
抱きしめて生きている。


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