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住宅のデザイン
それはいかように決めていくものなのか。
そもそも、家のデザインを本気で考えている一般の方はどれくらいの割合でいるのだろう。
思うに、ほぼ10割の方が「おしゃれで可愛くてカッコいい」デザインにしたいと願っているのではないだろうか。
しかし、数多ある建設会社、ハウスメーカー、設計事務所、どこに頼んだらいいか途方もない可能性が目を眩ましてくるし、このデザインで本当にいいだろうかと不安になるのではないだろうか。
それは至極当たり前の感情である。
では、決めてはなんだろうか。
それは一言、「自分の家族の在り方」を考えることに尽きるのではないだろうか。
つまり、まず形があるのではなく、まず私たち家を建てる家族が、どのように人生を過ごしていくか、に焦点を当てることである。
間違っても、
知人の家がかっこいいからあのようにしたい、とか
SNSでみたあの家みたいにしたい、とか
そんな風に考えてしまうと、必ず後悔していくことになると思っている。
それは、長期的思考で家の佇まいは考えなければいけないからだ。補足すると、私たちが死ぬまで生活する場所になるからだ。
本質的に。
とにかく、家は本質的に考える。
家はなんために建てるのか、
それは日常生活を可能にするために建てる。
外敵環境(気候や他人など)に晒されたままでは満足に日常生活(食、睡眠、寛ぎ、趣味など)を行えないからだ。
では、どう建てたら良いのか。
私たちの日常生活を豊かに実現してくれるように建てるのだ。
そして、ここを考えることが今回のテーマで最も重要なステージである。
日常生活とは、今日のわたしの生活から、
将来住む人数が増えた時、そして減った時も含まれるし、
実はやりたかった趣味や、今の趣味をもっと充実させたような生活も含まれる。
つまり、家族の人生を思うように空想し、こんな生活が過ごせたらきっと豊かな人生になるだろうという物語を描くことが、あなたの理想の日常生活であるからだ。
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そう考えていくと、おしゃれさなど考えるまでもなく、あなたオリジナルのストーリーが勝手に筆を進め始める。
あとはこの筆を握ってもらう人が、ヤブ医者や素人ではなく、プロであるかどうかだけなのだ。
本質的に考えると、あなたの「家族の在り方」を追求していくことこそ、家を形作り、そして形ができた後のデザインを見た時、「美しい」と感じられたのなら、それがあなたがた家族の本質的な形、デザインなのである。
不安になることなどない。
あなたの家族のストーリーが、面白おかしく楽しげに描けたのなら、そのストーリーが家づくりの原点にあるのなら、住宅のデザインは唯一無二のものになるからだ。
他人と比べる必要もない、全く別の次元にあなたの家は立っている。あなたがた家族の進む未来という一つだけの未知なる道の上に。