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檻のなかの初心者クラス

僕はテニススクールに通い始めた。
もちろん初心者クラスからだ。
クラスには女性2人と男性1人がいた。
みんな僕よりは若い。たぶん。
といっても、みんな40歳以上だろう。
おばさん、おじさんだ。
僕はおじいさん。

初心者クラスは縦半面のコートで行われる。
細長い初心者専用コートは防球ネットで仕切られていて、
その向こうには普通のテニスコートが3面広がっている。
フォームを覚えるためのレッスンが中心だから
普通のコートはいらない、半面で十分ということだろう。
ただ初心者クラスから見ると、
向こうの初級や中級の世界は非常に楽しくみえる。
向こうでやってる人のなかには
こっちの狭い世界と大してレベルの変わらないような人も
たくさんいるが歓声があがったりして楽しそう。
僕はフォームもまったく身についていないにもかかわらず、
早くこの狭い世界から出て、広いコートで打ち合いをしてみたい。
そう思った。
ただここから抜け出るのに僕は随分かかった。
おばさん、おじさんもいなくなり、僕はひとりぼっちになった。
(続く)

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