中山10R 中山大障害(無料記事)
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私たち障害大好き人にとっての総決算はこの中山大障害と言っても過言ではないでしょう!!!
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今年の障害戦線の簡単な振り返り
今年の障害界はマイネルグロンの王者立場盤石化かと思われたものの、まさかの中山GJでの敗戦。
加えて故障発覚と波乱の幕開けとなりました。
「固定障害戦」に限定すれば、京都HJを圧勝したサンデイビスという新星候補が現れたものの、こちらも故障。加えてマイネルグロンを中山GJで倒したイロゴトシも故障とこれらが絶対王者不在の今年の障害競争戦線が築かれた要因であります。
そんな中でもトップの座を守りぬいたのが東京JS、東京HJと東京での障害重賞を連勝したジューンベロシティ×高田潤騎手のコンビでありました。おそらく今回も1番人気に支持されるでしょう。
ただ、ジューンベロシティにとって大障害コースがベストかと言われるとそれは「No.」であるだけに「混戦模様」であることに代わりありません。
今回のnoteでは各馬の見解を出来るだけ分かりやすく説明、個人的に導いた結論をお話致します。
出走全頭解説(50音順)
全頭近5走分を分けて解説していきます。
かなりのボリュームとなりますので「目次」から気になる馬の部分まで飛んでみてくださいね。
また、説明文は「である調」で書いております。
ヴェイルネビュラ
・5走前 2023年11月12日 福島2750m 未勝利戦1着
(レース回顧)
ヴェイルネビュラにとってはこれが入障初戦。障害試験のタイムとしては全体時計が117.1秒、ラスト1ハロンが12.7秒とそこまで突出したようなところはありません。飛越評価としてもまずまず。正直戦前はピンパーかなと予想。レースとしては、ガイフウカイセイがハナを取る形からヴェイルネビュラ自身はマイペースで追走で、中団からの競馬で平地区間で押し上げを測るような競馬内容。飛越としてはどちらかと言えば駄目な部類だったものの、基礎スピードの高さが際立ったようなレース内容で完全に「置き障害向き」かつスピードを求められるレース質が適性と判断が可能。このレースからは距離は伸びない方が良さそう。
・4走前 2024年1月20日 小倉2860m オープン2着
(レース回顧)
一言でこの馬の走りを表現するのであれば「飛越に所々低い点があり、スピードのみでなんとかした」というようなレース内容。勝ち馬のブラックボイスは4コーナー付近でワンテンポ抑えさせて控えて内に回る石神騎手のファインプレーが光っての勝利だったのに対して、草野騎手は抜け出したブラックボイスを見て慌てて内に寄せても時すでに遅しというような直線の進路取り。この内容から「枠の差がハッキリと結果に結びついたレース結果」であり、対ブラックボイスとは完全に勝負付けが済んだとは言えないレース内容。ただし、初戦同様に今後距離が伸びるのはあまり良くないタイプに思えた感触は2戦目でも変わらなかった。
・3走前 2024年4月6日 福島2750m オープン1着
(レース回顧)
福島の開幕週で決着時計はレコードタイム。「最内枠」という初期条件としてはかなり恵まれていたものの、戦前としてはオープンでもポジションが取れるのかという点がポイントと思っていたがある程度の位置取りが叶ったのは勝因。ルリアンが3コーナー過ぎから捲り気味に上がっていった中をヴェイルネビュラ自身は枠なりにインから進出して行っての直線での差し切り勝ちという内容。レース自体に全く無駄がなく、ヴェイルネビュラの良さを全て出しきったようなレース内容だっただけに、これ以上のパフォーマンスレベルを求めるのは今後は酷ではないかとも思ってしまった。
・2走前 2024年6月22日 東京3110m 東京JS3着
(レース回顧)
東京3110mのコースレイアウトとしては外枠というのはかなり不利。その中で8枠13番という初期条件は厳しそうに思えたものの、五十嵐騎手は後方まで下げて内ラチ沿いまで寄せて行く競馬を選択。良ポジションの確保を犠牲してまで鞍上は距離ロスの軽減を選択したことはこの東京JSにおける最善を尽くしての戦法なのか、それとも距離に不安があったことからの戦法なのか。この点については、今の段階でも疑問に思っている部分有。結果としては直線では大外に持ち出しての3着確保とこの距離には問題が無いと言い切れるレース内容であったが、五十嵐騎手の心理は気にはなる。
・前走 2024年11月2日 東京3110m 秋陽JS4着
(レース回顧)
コースレイアウトとしては東京JSと同コースだったこともあり変化が無かったものの、「稍重馬場」と道悪の影響がある馬場状態での出走に。五分のスタートを切ったあとは最後方まで下げる形を選択。レースとしては、逃げ馬が不在だった中をサイードがハナを切り、ヴァレッタカズマ、サペラヴィの2頭が追走する形の序盤の隊列図となり、ペースとしてはかなりのスローペース。1コーナー地点でサペラヴィがサイードを交わしてハナを叩いたことによりレースが少し動いたものの、ヴェイルネビュラは後方2番手。そこから外を回し進出して行ったものの、飛越も決して安定していたとは言えないものでスタミナを消耗する形に。結果は4着と一見悪くないように思えるものの、今回の大障害コースへの対応に関しては、不安要素が残りすぎるレース内容に終わってしまう。
エコロデュエル
・5走前 2023年11月12日 京都3170m 京都JS1着
(レース回顧)
ペースとしては内枠から注文通りナギサがハナを切る展開でメイショウハチクが2番手、エコロデュエルは外枠から下げて11番手と最後方近い位置からの競馬。2周目の正面スタンドを終えた後の平地区間でエイシンクリックが一捲りを入れたことにより、ナギサを筆頭とする前目の各馬は苦しい形に。一方で、エコロデュエルは三段跳びで致命的に思えるようなミスをしてしまい、エイシンクリックが動いた際でも後方2番手。普通に考えるのであれば、この時点で中団に居る馬までで決着するが、直線部分での爆発的な脚は今でも鮮明に思い出せるほどのインパクトの強さを伴っていた。三段跳びであそこまでブレーキした馬が勝ち切るのは今考えてもあり得ないパフォーマンスレベル。このパフォーマンスからエコロデュエルの「距離延長」に魅力を感じたファンも多そうには思う。
・4走前 2023年12月23日 中山4100m 大障害3着
(レース回顧)
展開としては確固たる逃げ馬ビレッジイーグルが居たことにより、すんなり隊列が決まるかと思われたものの、ビレッジイーグルの行き脚が思ったより付かなかったこと、ジューンベロシティ&ギガバッケンが速かったことから1つ目のコーナーではジューンベロシティがハナ、ギガバッケンが番手。その直後にビレッジイーグルが引っかかり気味で構える形。この時点でエコロデュエルは「最内枠」という初期条件の恩恵を活かしながら内ラチ沿いの4番手と理想的なポジションを確保することに成功。ビレッジイーグルがハナを叩いたのは1つ目の水濠障害の手前部分。その頃には、外目から虎視眈々とニシノデイジーが前を見ながら運べるポジションに居たことも注視しておきたい。レースが動き出したのは、6号の大竹柵障害の地点。ここでは様々な駆け引きが行われていた。まずは、ニシノデイジーの動き。ビレッジイーグルの大江原騎手はこの地点でやや内を空ける癖なのか意図的になのか真偽は不明なものの必ずそこにスペースが出来る。そこをニシノデイジーが突くことによってインアウトの関係上からスムーズにハナを叩くことが叶うのである。次にマイネルグロン。大障害コースに入る前はジューンベロシティとギガバッケンの後ろにポジションを付けていたものの、その間に馬を持って行ってポジションを上げる形。こうすることで、大竹柵クリア後には少し出せば好きなポジションを取れる位置取りになる。結果的にこの良い動きをした2頭(マイネルグロン、ニシノデイジー)がワンツーを決めているようにここの動きが全てと言っても過言では無かった。一方、エコロデュエルは飛越毎に遅れて行ってしまうような形で序盤でガッチリキープしていた内ラチ沿いを明け渡してしまう形に。どうしても飛越のクオリティーや起動性の無い武器用な部分が仇となってしまった。ニシノデイジーが大竹柵でビレッジイーグルのインに入ったものの、過去の経験から大江原騎手も簡単には主導権を明け渡させないと2頭が競るような形に。大生け垣障害の地点では完全にニシノデイジーが主導権を奪ったものの、2頭の競り合いと後方集団があまり大生け垣のアプローチ(飛越)が上手く行かなかったことから一気に隊列が縦長になった。そこに唯一付いてきたのが勝ち馬のマイネルグロン。そこからどんどん前と後ろとの差が開いてしまい、レースとしては勝負を決してしまう形に。ただ、エコロデュエルは飛越に危うさが有りながらも無尽蔵なスタミナを活かして離れた先団の3頭を単独で追いかける形。最終障害クリア後でも3番手のビレッジイーグルとは7、8馬身はある苦しい位置だったもののなんとか交わして3着入線。終盤はマイネルグロンが前をお掃除したようなレース展開になったことの恩恵を受けての進出にはなったものの、初の大障害コースで馬券圏内まで持ってきた点は高く評価を付けたい。この内容からもなるべく上がりはかかって欲しい馬であると判断。
・3走前 2024年3月9日 阪神3900m 阪神SJ2着
(レース回顧)
戦前の下馬評はマイネルグロンの1強状態。ハナに行きそうな馬が不在のレースになったものの、ニシノデイジーとネビーイームがハナを取りに行く意思を見せたものの、最終的にはネビーイームがハナ、ニシノデイジーが番手という隊列。エコロデュエル自身は大外枠から好スタートを決めて、マイネルグロンの横に付ける6番手のポジショニング。向こう正面の1つ目の生け垣部分でマイネルグロンら先団馬群にはいつも通り置かれるものの、襷コース手前ではネビーイームよりニシノデイジーが前に出る形となり、ネビーイームは外2番手、内にマイネルグロンにラチ沿いを譲りたくない執念の持って行き方をしていた森一馬騎手のマッスルビーチ、そしてマイネルグロンという隊列図。残り800メートル地点手前で再度ネビーイームがニシノデイジーを交わして先頭に立ち潰し、マイネルグロンが3、4コーナー中間の生け垣でネビーイームを交わすことで大障害同様に前をお掃除する形に。ただ、大障害の時ほど先団と後方馬群との差が付いて無かったことから後ろが十分届くレース展開に。その恩恵を受けたこともあり、エコロデュエルの追い込みも決まり2着入線となる。このレース内容からもマイネルグロンとエコロデュエルはある程度セットでの食い込みを想定する必要があることが分かる。
・2走前 2024年4月13日 中山4250m 中山GJ4着
(レース回顧)
草野騎手の負傷によりエコロデュエルは小野寺騎手に手替わりとなり挑んだ今年の中山GJ。ゲートとしては少し行き脚が付かなかったものの、内枠を活かして5番手辺りを追走。だが、いつも通り飛越で少しずつ他馬よりアドバンテージを付けられる形でポジションとしては後ろになって行ってしまう形に。レース全体としては、大障害同様の動きをニシノデイジー&ビレッジイーグルの2頭はしており、その2頭を捉えに行ったのはマイネルグロンではなくイロゴトシ。エコロデュエルとしては垂れたビレッジイーグルを交わすのが精一杯の4着と過去走のパフォーマンスと比べると少し物足りない走りではあったものの、やはり鞍上が変わったことが乗り難しい本馬としては大きくマイナスとして働いたと見るべきであろう。にしても、もう少し走って欲しかったというのは本音である。
・前走 2024年10月13日 東京3110m 東京HJ2着
(レース回顧)
これまではスタミナ色の強いレースを続けて使われていたエコロデュエルであったが、キャリア初の東京コースを使われたのが前走。出走メンバーとしては、いつものニシノデイジー、ジューンベロシティが居るのに加えて、オールザワールド、ケイティクレバー、ブラックボイス、アサクサゲンキといったスピード競馬らしいメンバーも揃った構成。初期条件としては「最内枠」と恵まれた条件下で当然ながら初速ではスピード負けして後方2番手からの競馬に。2周目1コーナー部分から草野騎手のアクションが大きくなり、ポジションをジワジワと上げることが叶ったエコロデュエルは直線手前でオールザワールドと併せ馬の形で、前のジューンベロシティを捉えるだけの状態。いつも以上に強引にポジションを上げて行ったことから終いの脚は鈍ったものの、スピード競馬にも一定数の対応を見せたのはエコロデュエルの順調な成長曲線を感じることが出来た部分である。ジューンベロシティとの着差は2馬身。大きな差にも思えるが、大障害コース替わりなら1発逆転出来る可能性まで感じるだけに評価はしたい馬である。
ジューンベロシティ
・5走前 2023年12月23日 中山4100m 大障害5着
(レース回顧)※大部分はエコロの部分を引用
展開としては確固たる逃げ馬ビレッジイーグルが居たことにより、すんなり隊列が決まるかと思われたものの、ビレッジイーグルの行き脚が思ったより付かなかったこと、ジューンベロシティ&ギガバッケンが速かったことから1つ目のコーナーではジューンベロシティがハナ、ギガバッケンが番手。その直後にビレッジイーグルが引っかかり気味で構える形。ジューンベロシティに騎乗していた西谷騎手はハナを良しとしない考えだったのか引っ張り通してビレッジイーグルが来るのを待つ形。実際、ビレッジイーグルがハナを叩いたのは1つ目の水濠障害の手前部分。その頃には、外目から虎視眈々とニシノデイジーが前を見ながら運べるポジションに居たことも注視しておきたい。レースが動き出したのは、6号の大竹柵障害の地点。ここでは様々な駆け引きが行われていた。まずは、ニシノデイジーの動き。ビレッジイーグルの大江原騎手はこの地点でやや内を空ける癖なのか意図的になのか真偽は不明なものの必ずそこにスペースが出来る。そこをニシノデイジーが突くことによってインアウトの関係上からスムーズにハナを叩くことが叶うのである。次にマイネルグロン。大障害コースに入る前はジューンベロシティとギガバッケンの後ろにポジションを付けていたものの、その間に馬を持って行ってポジションを上げる形。こうすることで、大竹柵クリア後には少し出せば好きなポジションを取れる位置取りになる。結果的にこの良い動きをした2頭(マイネルグロン、ニシノデイジー)がワンツーを決めているようにここの動きが全てと言っても過言では無かった。一方でジューンベロシティはマイネルグロンにラチ沿いを明け渡した後はさらにポジションを下げて後方馬群の先頭を切るようなポジショニングに。どうやら脚元をぶつけていたようだがその影響もあってか少し消極的な乗り方となってしまった。ニシノデイジーが大竹柵でビレッジイーグルのインに入ったものの、過去の経験から大江原騎手も簡単には主導権を明け渡させないと2頭が競るような形に。大生け垣障害の地点では完全にニシノデイジーが主導権を奪ったものの、2頭の競り合いと後方集団があまり大生け垣のアプローチ(飛越)が上手く行かなかったことから一気に隊列が縦長になった。そこに唯一付いてきたのが勝ち馬のマイネルグロン。そこからどんどん前と後ろとの差が開いてしまい、レースとしては勝負を決してしまう形に。ジューンベロシティは向こう正面手前でエコロデュエルに並ばれる形となり抵抗を試みたものの、軽々とパスされてしまったのには少し不満を感じる部分があった。パスされた直後は西谷騎手らしく流すような競馬で無理をしなかった形。ただ、垂れてきたビレッジイーグルは差して欲しかったのは本音である。このレース内容からは鞍上との相性を懐疑的に見てしまったことと大障害コースの「スタミナ面」で適性がどうなのかというのが率直に感じた感想である。
・4走前 2024年2月24日 小倉3390m 春麗JS2着
(レース回顧)
戦前からハナを切る馬が不在と見られていたレースであったが、ハナを切るのを良しとしないアサクサゲンキが引っかかって行ってしまう形となってしまった。2番手はスヴァルナとタガノベルマネンテ、その後ろに枠の利を活かしてブラックボイスという隊列に。ジューンベロシティはその直後にタイキフロリゼルの外にポジショニング。ただし、このレースでのジューンベロシティの飛越は全体的に後ろ重心となってしまっており、飛越でのアドバンテージを取れるタイプの馬がアドバンテージを取れない中の競馬となってしまった。そこが最後の直線でブラックボイスとの追い比べで競り負けた部分ではないかと見ている。また、この際は高田潤騎手に手替わりしているが、高田騎手自身の流れも決して良くなかったことも頭に入れておきたい。パフォーマンスレベルとしては非常に物足りないレースとなってしまったが、これらがその要因となってしまったと分析している。
・3走前 2024年4月13日 中山4250m 中山GJ2着
(レース回顧)
森一馬騎手との新コンビで挑んだ中山GJ。「最内枠」と最高の初期条件であったことからラチ沿いの4番手を無理せず取ることに成功する。展開としてはいつも通りのビレッジイーグルとニシノデイジーのやり合いが発生するのだが、それを見ながら運べる絶好位で運べたのが2023年の中山大障害のレース運びとは異なる点であると言える。しかし、ニシノデイジーがビレッジイーグルに大障害コース後に絡みに行くと思いきや、ビレッジイーグルは抵抗をしなかったことにより、馬群の開きというのが大障害の時よりも小さくなったのは注目すべきポイントであるかもしれない。2度目の大障害コースの大生け垣障害ではジューンベロシティはやや内を空けて処理をしたものの、そのスペースを突いたのが勝ち馬のイロゴトシ。この時のジューンベロシティの飛越は決して上手とは言えず、リズムをやや崩してしまった。もう1つ崩してしまったのが外回りコースに入った際のハードル障害部分。ここでイロゴトシが仕掛けたことにより、ジューンベロシティ、エコロデュエル、マイネルグロンの4〜6番手集団の各馬は一気に離される形となってしまう。ただ、大障害のマイネルグロンのように前2頭(ニシノデイジー、ビレッジイーグル)をイロゴトシが掃除してくれたことにより、ジューンベロシティは外に寄れながらも2頭を交わすことが叶っての2着。大障害コースでもしっかりレースの流れに乗れることを示したのは収穫で、今回においても期待感は高まる。しかし、「最内枠」の恩恵は相当に受けていたことは予想する際に頭に入れておきたい。収穫の多い1戦。
・2走前 2024年6月22日 東京3110m 東京JS1着
(レース回顧)
連覇がかかっていた東京JS。得意な東京コースに戻るのは明らかなプラス材料であったものの、G1の後の重賞ということもあり、状態面がどこまで伴っているかというのは鍵となる部分であった。レースとしては内枠3頭(ダイシンクローバー、ホッコーメヴィウス、ジューンベロシティ)が競り合う中でまず引いたのはダイシンクローバー。そして2つ目の障害でホッコーメヴィウスが落馬してしまい、少し空馬に絡まれてジューンベロシティ自身のペースはグッと落としてしまう形に。序盤で脚を使ったのにも関わらず、思うようにリードを取れなかったのは誤算のように思えた。正面スタンド前でも、ホッコーメヴィウスがレースに参加するように放馬してしまったことにより、必要以上に絡まれてしまい、それを見た石神騎手のブラックボイスが絡みに行くような厳しいレース展開に。しかし、ジューンベロシティらしく飛越でアドバンテージを取って行き、ブラックボイスを競り落として行き、後方から捲ったロスコフの追走も凌ぎきった非常に強い内容であった。この調子であれば、東京コースで負けることはないと信頼しきれるほどレベルの高いパフォーマンスであったことは間違いない。ロスコフ以下は5馬身と決定的な差を付けた「格の違い」を見せつけた競馬であった。積極策からスピードの持続力を活かすような競馬をしたのは今後にどう作用するのか。この点には一考の余地があるように思っている。
・前走 2024年10月13日 東京3110m 東京HJ1着
(レース回顧)
東京JSと同条件となった東京HJ。メンバーレベルとしては、ニシノデイジーやエコロデュエルの参戦により上がったと思うが、このコースの適性としては断然としてジューンベロシティの方が上である。よって、戦前から絶対的な本命と見ていたがその信頼の通りの「完勝」であった。レースとしては、ナチュラルスピードが長けていることから馬也でハナを叩く形に。前走のように空馬に絡まれることもなかっただけに、ある程度リードを取っての逃げとなった。正面スタンド部分では、意図的に息を入れるために2番手との差は1馬身圏内まで詰まったが、1コーナーから少しずつペースを上げて行き後方を振り落として行くレースメイクをしていった。追走を試みたケイティクレバーとオールザワールドは動きづらく難しい競馬になっている所に外から捲ったのがエコロデュエル。4コーナーでのエコロデュエルとの差は2馬身ほどと一度は詰まったものの、そこからはその差をキープし続けての押し切り勝ち。こちらのホームグラウンドでは負けられないという気概すら感じられるような走りであった。ただ、想像以上にエコロデュエルが走った印象で、大障害コースに戻る今回の力関係がどうなるかは、一考の余地がある。
ダイシンクローバー
・5走前 2024年4月13日 中山4250m 中山GJ7着
(レース回顧)
2023年度の中山GJで3着の実績があるように大障害コースの適性は高い馬であるものの、時計勝負は好まないタイプであるのが戦前の不安要素であった。「大外枠」からのスタートと不利な初期条件だったこともあり、戦法としては後方で構える形を選択。イロゴトシ、マイネルグロンを見ながらの後方3番手からの追走となり、そこからレース終盤まで「伸びずバテず」というような形に終わってしまった。相変わらず飛越のクオリティーは高いものの、勝負どころで思うように動けなくなってしまっている。少し年齢を重ねることによる衰えを隠しきれなくなってしまっているように思えたレース内容。物足りなさが先行するレース。
・4走前 2024年6月1日 京都D1800m 平地9着
(レース回顧)
続けて「叩き」として京都ダート1800m戦を使われる。レースとしては、五分のスタートからインで砂を被る形でも怯まずに追走が出来ていたのには好感が持て、この内容から気持ちが切れているというような精神面からの不調では無さそうに思えたのは1つ収穫であった。着順としては1.6秒差の9着とどうこう言えるものではないが、メンバーレベルが低い1戦だったことを考えるともう少し見どころを作って欲しかったのは本音である。まあ、叩きの1戦でそこまで求めるのがどうかと尋ねられるとなんとも言えないのだが。平凡な内容。
・3走前 2024年6月22日 東京3110m 東京JS10着
(レース回顧)
初期条件としては「最内枠」と恵まれたものの、東京のスピード競馬に使う馬ではないだけに、苦戦必至と思っていた。ただ、黒岩騎手のホッコーメヴィウスに対する抵抗の意思かポジションを求めに行った戦法には驚いたのが率直な感想。結果としては、結局6、7番手に収まってしまうのだが出そうと思えばポジションを求められることが分かったのには「おっ」と思う部分はあった。着順自体は10着とかなり負けてしまっているが、舞台適性が無いのは目に見えていたので仕方がない。
・2走前 2024年7月27日 新潟3250m 新潟JS12着
(レース回顧)
固定障害から置き障害に変わることもマイナス、スピード競馬もマイナスと一体どんな使われ方をしているのかと可哀想に見えてくるのだが、この大敗も仕方がない。レースとしては、ホッコーメヴィウスをスローペースで逃げるレース展開で瞬発力と平地力を求められるようなレース質になってしまったことからダイシンクローバーから見ると「展開苦」のレースとなってしまった。また、斤量はメンバー中唯一の「61キロ」と初期条件からして厳しかった。良く頑張って走っている。
・前走 2024年11月9日 京都3170m 京都JS5着
(レース回顧)
ここで栗東の高橋一哉厩舎から美浦の戸田厩舎に転厩。ここで1つ疑問が。転厩するのは良いもののなぜわざわざ京都JSを使うのにも関わらず、美浦に転厩先を求めたのか。これを先(今回の大障害)を見据えての判断であるなら好感が持てる。初期条件としては固定障害替わり、実績のある京都コースと新潟JSの時よりかは好走に繋がりそうな舞台ではあったものの、スマイルスルーからは2.9秒差の5着。そもそもが距離短かったように思うだけに、今回大障害コースに舞台が替わるのは大きなプラス材料となる。後は年齢との戦いか。
テイエムタツマキ
・5走前 2024年6月2日 京都3170m オープン6着
(レース回顧)
2022年の中山大障害を完走後から少し歯車が狂ったような形でこのレースも3ヶ月半の休養明け。馬体重プラス34キロという数字が示すように、状態面としてはいかにも休み明けという感じで、最初のポジションから伸びず垂れずのような感じで6着入線。この競馬内容からも直線ダートコースに関してもあまり良いような感じはしなかった。まだ復活には時間を要しそうなレース内容であった。
・4走前 2024年6月29日 福島2750m オープン7着
(レース回顧)
前走時34キロ増えた馬体は14キロ絞れての出走。福島のコースレイアウトからして合うような馬には思えなかっただけに、いかに追走力を活かして競馬を組み立てられるかというところであったものの、ヴィジュネルがマークした2:58:3という勝ち時計は少しテイエムタツマキとしては時計が速すぎたと言えるだろう。ただ、上がりを38秒を切る時計でまとめられているのには好感が持てる。
・3走前 2024年7月20日 小倉2860m オープン2着
(レース回顧)
福島のコースレイアウトよりかは小倉の方が適性があるような感じはレース振りからも感じられたものの、個人的に距離は足りなさそうだなと懸念していた部分があった。結果的には2着と復活を遂げるのだが、これは「稍重馬場」と道悪の影響が加わった馬場状態とそれによって作り出されるレース質がテイエムタツマキからすれば恵まれていたように思う。正直、ファルコニア以外のメンバーレベルが高いとは言えないものではあったが、一応京都のタマモワカマシャ戦で強い競馬をしているクラップサンダーに先着して見せたのは見どころがあったように思う。距離が伸びて更なる台頭に期待したくなるようなレース内容であった。
・2走前 2024年8月10日 中京3300m オープン1着
(レース回顧)
このレースは6頭だてということもあり、かなりメンバーレベルとしては低い1戦であった。テイエムタツマキに関しては、このメンバーに入ると飛越のクオリティーが1枚抜けた存在であり、飛越数の多い中京コースを味方に台頭して見せた形。ハーツシンフォニーとの着差は僅かにクビ差ではあったものの、直線部分でインで狭くなりながらもこじ開けてきた内容は着差以上の強さを感じたものであった。ただ、このメンバーに入ると褒められたものではなく、置き障害の中京コースとコースレイアウトとしても、何らリンク性を感じない。
・前走 2024年9月14日 中京3330m 阪神JS2着
(レース回顧)
完全復活とはいかないものの、ある程度実力を発揮出来るデキには戻ってきたテイエムタツマキ。前走のオープン戦とほとんど同コースである阪神JSに使ってきた意図は良く分かる。ただ、前走が小頭数かつ決してレベルの高くない1戦であったこと、スピードの限界値が高くなさそうな馬であることから当時のスピード質の強かった中京の馬場適性という面で少し不安を感じていたのが本音。レースとしては、ザメイダンがハナを切る展開を正面スタンド前でケンアンビシャスがハナを奪いとり、そこにサペラヴィが競りかけに行くようなレース展開。テイエムタツマキは枠なりに進めて少々消極的とも取れる競馬に思えたものの、2着は確保出来た内容は人気馬としては最低限の競馬内容であったように感じる。しかし、このレースに関してもメンバーレベルは怪しかったように思えるし、置き障害の中京コースと今回の舞台にリンク性が無いコース。今回の舞台適性は未知数だ。
ニシノデイジー
・5走前 2023年10月15日 東京3110m 東京HJ11着
(レース回顧)
この馬は馬場が渋った瞬間に終わりの馬であるだけに、「重馬場」の馬場状態は初期条件から厳しかった。また、J-G1勝ち馬ということもあり、他馬より重い「62キロ」の斤量を背負うディスアドバンテージもあった。ゲートはやや遅れ気味で馬群の中に突っ込みに行こうと促すも、なかなか進まず飛越でも遅れを取る形で最後方追走という最悪の序盤の入りとなってしまった。レースとしては、注文通りにホッコーメヴィウスがハナを取り切り、シャンボールナイト、ヤマノグリッターズらがメヴィウスから少し離れての2番手。その直後にサイードが居て、マイネルグロンがその後ろのインを確保する形。その直後にジューンベロシティが構えるというようなレース展開。馬場状態によるスタミナ切れを懸念してか後方組がなかなか動こうにも動けないような展開の中で、ニシノデイジーは3コーナー過ぎから大外を回って進出を測るが流石に厳しく11着と惨敗。有力各馬は情けない競馬になってしまった印象が強い。このレースからニシノデイジーの好走には「外枠がマスト」ということが分かり、東京のコースレイアウトを合っていないことが分かる。良馬場がマスト。
・4走前 2023年12月23日 中山4100m 大障害2着
(レース回顧)※大部分はエコロの部分を引用
展開としては確固たる逃げ馬ビレッジイーグルが居たことにより、すんなり隊列が決まるかと思われたものの、ビレッジイーグルの行き脚が思ったより付かなかったこと、ジューンベロシティ&ギガバッケンが速かったことから1つ目のコーナーではジューンベロシティがハナ、ギガバッケンが番手。その直後にビレッジイーグルが引っかかり気味で構える形。ジューンベロシティに騎乗していた西谷騎手はハナを良しとしない考えだったのか引っ張り通してビレッジイーグルが来るのを待つ形。実際、ビレッジイーグルがハナを叩いたのは1つ目の水濠障害の手前部分。その頃には、外目から虎視眈々とニシノデイジーが前を見ながら運べるポジションに居たことも注視しておきたい。レースが動き出したのは、6号の大竹柵障害の地点。ここでは様々な駆け引きが行われていた。まずは、ニシノデイジーの動き。ビレッジイーグルの大江原騎手はこの地点でやや内を空ける癖なのか意図的になのか真偽は不明なものの必ずそこにスペースが出来る。そこをニシノデイジーが突くことによってインアウトの関係上からスムーズにハナを叩くことが叶うのである。次にマイネルグロン。大障害コースに入る前はジューンベロシティとギガバッケンの後ろにポジションを付けていたものの、その間に馬を持って行ってポジションを上げる形。こうすることで、大竹柵クリア後には少し出せば好きなポジションを取れる位置取りになる。結果的にこの良い動きをした2頭(マイネルグロン、ニシノデイジー)がワンツーを決めているようにここの動きが全てと言っても過言では無かった。ニシノデイジーが大竹柵でビレッジイーグルのインに入ったものの、過去の経験から大江原騎手も簡単には主導権を明け渡させないと2頭が競るような形に。大生け垣障害の地点では完全にニシノデイジーが主導権を奪ったものの、2頭の競り合いと後方集団があまり大生け垣のアプローチ(飛越)が上手く行かなかったことから一気に隊列が縦長になった。そこに唯一付いてきたのが勝ち馬のマイネルグロン。そこからどんどん前と後ろとの差が開いてしまい、レースとしては勝負を決してしまう形に。これがニシノデイジーの理想とする「能力を出し切る競馬」である。とにかく直線までに出来るだけアドバンテージが欲しい馬なだけに馬群が縦長になるのを望みたいのでは。今回は毎度仲良く兼ね合いを考えないと行けなかったビレッジイーグルが不在ということもあり、どのような立ち回りになるかは読めない。ただ、序盤は他馬がハナを切り、そのタイミングで絡みに行くような競馬になるのではないだろうか。
・3走前 2024年3月9日 阪神3900m 阪神SJ4着
(レース回顧)※大部分はエコロの部分を引用
戦前の下馬評はマイネルグロンの1強状態。ハナに行きそうな馬が不在のレースになったものの、ニシノデイジーとネビーイームがハナを取りに行く意思を見せ、最終的にはネビーイームがハナ、ニシノデイジーが番手という隊列。襷コース手前ではネビーイームよりニシノデイジーが前に出る形となり、ネビーイームは外2番手、内にマイネルグロンにラチ沿いを譲りたくない執念の持って行き方をしていた森一馬騎手のマッスルビーチ、そしてマイネルグロンという隊列図。いつも通りハナを奪い取ってマイペースで進めて行ったニシノデイジーではあるが、順周りの阪神のコースでリードを取るのはなかなか難しくあまりネビーイーム以下との差が開かないままレースが進み、残り800メートル地点手前で再度ネビーイームがニシノデイジーを交わして先頭に立った。こうなってしまうとニシノデイジーは厳しくなってしまう。更に、マイネルグロンが3、4コーナー中間の生け垣でネビーイームを交わすことで大障害同様に前をお掃除する形に。ただ、大障害の時ほど先団と後方馬群との差が付いて無かったことから後ろが十分届くレース展開になり、その恩恵を受けたエコロデュエルの追い込みが決まり2着入線となる。まさしくニシノデイジーの弱点が垣間見えたレース展開になってしまったように思う。バンケット等を活かしてなるべく隊列を縦長に仕立てたい。
・2走前 2024年4月13日 中山4250m 中山GJ3着
(レース回顧)
この馬の好走条件である「外枠偶数枠番」という最高の条件下での出走が叶った中山GJ。好スタートからいつも通り序盤はビレッジイーグルを外で見ながらの競馬に。そしてお決まりの大竹柵障害の部分でのイン突きであるが、昨年の中山大障害と異なる点としては、ビレッジイーグルが競りかけることなくすんなりと前を明け渡したことである。どうしてもビレッジイーグルはこの距離ではスタミナ面で課題がある馬だっただけに、ここで脚を使わずにじんわりと追いかけてどこまでやれるかという戦法を立てたのだと推測している。そのおかげもあり、ニシノデイジーは楽にリードが取れる理想的な展開に仕立て上げられた。ただ、残り1000m付近のハードル障害でイロゴトシが仕上げたことにより一気に差が詰まってしまい、完全に前に出られてしまう。そして溜めていたビレッジイーグルにも一度完全に前に出られてしまうが、そこは地力の違いで差し返して見せた。だが、最内枠からロスなく完璧に立ち回ったジューンベロシティには差されてしまい3着入線。大障害コースでここまでの安定感を誇るのは流石に思うものの、勝ち切るにはもうワンパンチ必要に思えるようなレース内容に思えた。戦法としてはこの形がベストであとはハマるのを待ち続けるのみ。
・前走 2024年10月13日 東京3110m 東京HJ4着
(レース回顧)
昨年の東京HJは「重馬場」の初期設定から考えても厳しい競馬を強いられてしまったものの、今年は小頭数かつ良馬場と理想的な初期条件での出走が叶った。レースとしては、ジューンベロシティが主導権を握る形でケイティクレバー、オールザワールドらがその直後を追走する形に。ニシノデイジーはそれら後ろのブラックボイスらのもう1列後ろのポジションに収まる形となった。当然ながら東京のコースレイアウトが合う馬ではないだけに正面スタンドを過ぎる頃には後方2番手までポジションを下げてしまった。また、エコロデュエルに飛越で飛び負けた地点があったように飛越のクオリティーとしては高くなく、その地点で外に被されるタイトな形になってしまったものの、やめる面を見せなかったのは収穫であるように思う。また、斤量面で他馬より重い「62キロ」を背負っていたことからも厳しい競馬になってしまった。ただ、3コーナー手前でグンとポジションを上げたものの、4コーナー手前では手応えで周囲の馬に比べても劣勢に見えた中でもしっかり巻き返しての4着という内容は素直に評価したい。このパフォーマンスを東京出来るならホームグラウンドである中山コースなら大仕事をやってしまってもなんら不思議ではないと思えるような好内容であった。
ネビーイーム
・5走前 2024年3月9日 阪神3900m 阪神SJ7着
(レース回顧)※大部分はエコロの部分を引用
戦前の下馬評はマイネルグロンの1強状態。ハナに行きそうな馬が不在のレースになったものの、ニシノデイジーとネビーイームがハナを取りに行く意思を見せたものの、最終的にはネビーイームがハナ、ニシノデイジーが番手という隊列。襷コース手前ではネビーイームよりニシノデイジーが前に出る形となり、ネビーイームは外2番手、内にマイネルグロンにラチ沿いを譲りたくない執念の持って行き方をしていた森一馬騎手のマッスルビーチ、そしてマイネルグロンという隊列図。残り800メートル地点手前で再度ネビーイームがニシノデイジーを交わして一度は先頭に立ったものの、マイネルグロンが3、4コーナー中間の生け垣でネビーイームを交わすことで大障害同様に前をお掃除する形に。ただ、大障害の時ほど先団と後方馬群との差が付いて無かったことから後ろが十分届くレース展開に。その恩恵を受けたこともあり、エコロデュエルの追い込みも決まり2着入線となる。ネビーイームとしては、最終障害で落馬寸前の躓きがあったことから着差は3.0秒と大きく見えるものの、レース内容としてはそこまで大きな差がないようには思える。力を付けているなと感じ取れた良い1戦であったと個人的には思う。
・4走前 2024年4月20日 福島3380m オープン4着
(レース回顧)
前走の阪神SJの最終障害飛越がかなり脚元に負担がかかりそうな処理になってしまっただけに、僅か1ヶ月ちょいオープンに出てきたのには不安を感じてしまった戦前。レースとしては、アコルドエールが離し逃げをする形をラジェドールが抑えきれない感じでハイペースを助長してしまう流れ。離れた2番手集団はサクセスエース、ロードトゥフェイムが形成し、その後ろがネビーイームという隊列順。襷コース手前でおおよそ10馬身ほどの差に詰まったが、2番手集団は3頭(サクセスエース、ロードトゥフェイム、ネビーイーム)で団子状態。そこに吸収されたラジェドールが一緒に上がって行くようなレース展開。6号のハードル障害でサクセスエースがアコルドエールを捉えて先頭に替わると、その動きにネビーイームは付いていく戦法を選択。この馬としては少し仕掛けが早いように思えたがそれが悪い方に的中してしまう。先着を許した馬がサクセスエース、ホウオウヴォーヌ、ロードトゥフェイムと決して悪いメンバーではないものの、J-G1のメンバーと比較してしまうと3ランクくらいは落ちるメンバーたちである。この敗戦は正直いただけない内容であった。
・3走前 2024年6月2日 京都3170m オープン1着
(レース回顧)
レースとしては序盤は外からアスターディゴンが行ってしまう形でインの2番手をスマッシャーが追走する形。しかし、4号障害の部分の飛越の勢いの差によりスマッシャーがハナを切る形となる。この時のネビーイームはいつもと比べるとあまり行きっぷりが良くなく、1周目は7、8番手辺りと後方に位置付けていた。しかし、2周目の正面スタンド前で中団各馬を上手くパスして行くと、5号障害部分ではインの3番手まで押し上げに成功する。最後の直線はダートコースでの追い比べであったがこの点はプラスに働いたように見える差し切り。正直、今回の大障害コースに向けてどうこう言えるレースでは無かったが、不甲斐ないレースに終わった前走から即巻き返した点には評価したい。
・2走前 2024年9月14日 中京3330m 阪神JS3着
(レース回顧)
レースとしては、ザメイダンがハナを切る展開を正面スタンド前でケンアンビシャスがハナを奪いとり、そこにサペラヴィが競りかけに行くようなレース展開。ネビーイームとしては、置き障害の実績はあるにはあるものの、サクセスエース戦の福島での内容が物足りなかっただけに、少し懐疑的に見ていた面は戦前からあった。ただ、陣営がブリンカー装着という手段に出たのは気になり、結果としてはそれがプラスに出たような結果に。しかし、このレースに関してもメンバーレベルは怪しかったように思えるし、置き障害の中京コースと今回の舞台にリンク性が無いコース。今回の大障害コースに対する舞台適性は未知数である。
・前走 2024年11月30日 中山3570m イルミJS2着
(レース回顧)
小牧加矢太騎手がアサクサゲンキに乗ることもあり、ネビーイームは小坂騎手に乗り替わりとなって挑んだイルミネーションJS。また、休み明けで調整もかなり手控えられていた中での馬体重マイナス12キロというのは少し怪しさを感じる部分が多かったものの、距離としては非常に向きそうな舞台設定に思えるというのが戦前の感触。レースとしては、テイエムナイスランがハナ、ピーターサイトが番手という隊列をアサクサゲンキが見ながら運ぶ形の隊列。ネビーイームはそれら馬群の2列後ろに構えてじっくり脚を溜める形。レース後の小坂騎手によるとほとんどの障害で完歩が合わなかったことでなかなかポジションを押し上げるのに苦労したようだが、それも踏まえてると2着まで突っ込んできたのは能力の証である。個人的には4000越えの距離も上手く対応出来るタイプであると思うだけに怖い存在と見ている。能力は有。
マイネルグロン
・5走前 2023年10月15日 東京3110m 東京HJ1着
(レース回顧)
レースとしては、注文通りにホッコーメヴィウスがハナを取り切り、シャンボールナイト、ヤマノグリッターズらがメヴィウスから少し離れての2番手。その直後にサイードが居て、マイネルグロンがその後ろのインを確保する形。その直後にジューンベロシティが構えるというようなレース展開。馬場状態によるスタミナ切れを懸念してか後方組がなかなか動こうにも動けないような展開の中でマイネルグロンは上手く流れに乗ってインでじっくり脚を溜める形に。最終的に3コーナー過ぎで仕掛けたニューツーリズムと逃げたホッコーメヴィウスとマイネルグロンの3頭で決まったように展開利としては大きかったレースではあった。ただ、戦前から調教師がデキに不安を持っていたという背景を加味すると好内容であったと判断している。次の中山大障害に向けては上澄みしか無かっただけに、今後が楽しみになる1戦であった。
・4走前 2023年12月23日 中山4100m 大障害1着
(レース回顧)※大部分はエコロの部分を引用
展開としては確固たる逃げ馬ビレッジイーグルが居たことにより、すんなり隊列が決まるかと思われたものの、ビレッジイーグルの行き脚が思ったより付かなかったこと、ジューンベロシティ&ギガバッケンが速かったことから1つ目のコーナーではジューンベロシティがハナ、ギガバッケンが番手。その直後にビレッジイーグルが引っかかり気味で構える形。ビレッジイーグルがハナを叩いたのは1つ目の水濠障害の手前部分。その頃には、外目から虎視眈々とニシノデイジーが前を見ながら運べるポジションに居たことも注視しておきたい。レースが動き出したのは、6号の大竹柵障害の地点。ここでは様々な駆け引きが行われていた。まずは、ニシノデイジーの動き。ビレッジイーグルの大江原騎手はこの地点でやや内を空ける癖なのか意図的になのか真偽は不明なものの必ずそこにスペースが出来る。そこをニシノデイジーが突くことによってインアウトの関係上からスムーズにハナを叩くことが叶うのである。次にマイネルグロン。大障害コースに入る前はジューンベロシティとギガバッケンの後ろにポジションを付けていたものの、その間に馬を持って行ってポジションを上げる形。こうすることで、大竹柵クリア後には少し出せば好きなポジションを取れる位置取りになる。結果的にこの良い動きをした2頭(マイネルグロン、ニシノデイジー)がワンツーを決めているようにここの動きが全てと言っても過言では無かった。ニシノデイジーが大竹柵でビレッジイーグルのインに入ったものの、過去の経験から大江原騎手も簡単には主導権を明け渡させないと2頭が競るような形に。大生け垣障害の地点では完全にニシノデイジーが主導権を奪ったものの、2頭の競り合いと後方集団があまり大生け垣のアプローチ(飛越)が上手く行かなかったことから一気に隊列が縦長になった。そこに唯一付いてきたのが勝ち馬のマイネルグロン。そこからどんどん前と後ろとの差が開いてしまい、レースとしては勝負を決してしまう形に。前2頭を捉えてからはどんどん後続を離して行く横綱相撲となり、コース適性の高さと能力の完全覚醒を示した1戦となった。
・3走前 2024年3月9日 阪神3900m 阪神SJ1着
(レース回顧)※大部分はエコロの部分を引用
戦前の下馬評はマイネルグロンの1強状態。ハナに行きそうな馬が不在のレースになったものの、ニシノデイジーとネビーイームがハナを取りに行く意思を見せたものの、最終的にはネビーイームがハナ、ニシノデイジーが番手という隊列。襷コース手前ではネビーイームよりニシノデイジーが前に出る形となり、ネビーイームは外2番手、内にマイネルグロンにラチ沿いを譲りたくない執念の持って行き方をしていた森一馬騎手のマッスルビーチ、そしてマイネルグロンという隊列図。残り800メートル地点手前で再度ネビーイームがニシノデイジーを交わして先頭に立ち潰し、マイネルグロンが3、4コーナー中間の生け垣でネビーイームを交わすことで大障害同様に前をお掃除する形に。ただ、大障害の時ほど先団と後方馬群との差が付いて無かったことから後ろが十分届くレース展開に。その恩恵を受けたこともあり、エコロデュエルの追い込みも決まり2着入線となる。このレース内容からマイネルグロンとエコロデュエルはある程度セットでの食い込みを想定する必要があることが分かる。今回もその組は十分あり得る。
・2走前 2024年4月13日 中山4250m 中山GJ6着
(レース回顧)
悪夢の始まりとなってしまった今年の中山GJ。ゲートでまさかの出遅れかつ行き脚が付かない形。レースとしては、いつも通りのニシノデイジーとビレッジイーグルのやり合いが大竹柵障害の部分でのイン突きであるが、昨年の中山大障害と異なる点としては、ビレッジイーグルが競りかけることなくすんなりと前を明け渡したことである。どうしてもビレッジイーグルはこの距離ではスタミナ面で課題がある馬だっただけに、ここで脚使わずにじんわりと追いかけてどこまでやれるかという戦法を立てたのだと推測している。マイネルグロンは終始追走がバタバタとなっており、ゲートが出遅れた影響のみとは思えないような走り。レース回顧と言いながらも最初から調子がおかしかったようにしか思えないためなんとも言えない。ただ、レース中にアクシデントが起こっていたと仮定するのであれば、その状態でビレッジイーグルと1馬身3/4であるならばめちゃくちゃ強い競馬をしているように思う。立て直せているのか。
・前走 2024年11月3日 福島芝2600m 平地12着
(レース回顧)
屈腱炎明けから戻ってきた復帰初戦。京都JSなど復帰戦の選択肢は他にもあったようだが、脚元を考慮して福島の2600m戦を選択。平地時代は未勝利だったことあり、戦前から厳しいのは覚悟の上だったものの、思った以上に走れなかった。しかし、このレースの目的としては息を作ること。いわゆる調教替わりだっただけに度外視可能だ。
ロードトゥフェイム
・5走前 2023年11月4日 東京3110m 秋陽JS1着
(レース回顧)
レースとしては暴走機関車フィロロッソが大逃げを打つ形となり、ザメイダンが離れた2番手を追走するようなレース展開。ロードトゥフェイムは出たなりの位置で中団に構える戦法を取る。フィロロッソは飛越ミスから下がっていき、そのタイミングでロスコフが捲りを入れる競馬に。質としてはかなりタフ寄りに寄ったことにより、前がバタバタとなりロードトゥフェイムの差しが決まったようなレースに。3着にワンダークローバー来ていることからも求められる能力はスタミナ寄りだったことが分かる。勝ち時計ははレコードタイムと優秀ではあるが、少し特殊なレース質であったことから真っ当に評価して良いのか非常に難しい。
・4走前 2024年1月8日 中山3200m 中山新春JS3着
(レース回顧)
最内枠にザメイダン、2番ゲートにメモリーズオブユーと騎手としても石神騎手と森一馬騎手が内枠かつ隣の枠に入り、先行力が武器のある馬に乗っていたことからもレース展開としてはすんなり決まりやすかった。ロードトゥフェイムは外枠からバンケット部分で3番手の外に進出していき、前の2頭から少し距離が空いての追走となった。特に捲りが入ることもなく淡々とレースが進んでいき、いざ勝負どころとなったがザメイダンを捉えきれず、後ろからセブンデイズに差されるというなんとも言い難いレースに終わってしまった。先程も触れたが秋陽JSはフィロロッソが作り出したレース質の恩恵をモロに受けての勝利だっただけに、地力で挑むと良くも悪くも相手なりの走りに留まってしまう。また、この内容から本質的に中山のコースレイアウトは合っていないように思える。
・3走前 2024年2月24日 小倉3390m 春麗JS6着
(レース回顧)
戦前からハナを切る馬が不在と見られていたレースであったが、ハナを切るのを良しとしないアサクサゲンキが引っかかって行ってしまう形となってしまった。2番手はスヴァルナとタガノベルマネンテ、その後ろに枠の利を活かしてブラックボイスという隊列に。ジューンベロシティはその直後にタイキフロリゼルの外にポジショニング。ロードトゥフェイムは後方3番手からとかなり後方からの競馬を余儀なくされ、終始大外を回すロスの多い進路取りとなってしまった。飛越も安定していた訳でなく、この日飛越のクオリティーがあまり良くなかったジューンベロシティにすら遅れを取るような部分もあった。結局、道中のロスが響いてしまい伸びを欠いての6着と物足りない内容。また、レコードホルダーでもあることから、「稍重馬場」と道悪の影響があった馬場状態に関してもマイナスに働いたのではないかと推測している。
・2走前 2024年4月20日 福島3380m オープン3着
(レース回顧)
レースとしては、アコルドエールが離し逃げをする形をラジェドールが抑えきれない感じでハイペースを助長してしまう流れ。離れた2番手集団はサクセスエース、ロードトゥフェイムが形成し、その後ろがネビーイームという隊列順。襷コース手前でおおよそ10馬身ほどの差に詰まったが、2番手集団は3頭(サクセスエース、ロードトゥフェイム、ネビーイーム)で団子状態。そこに吸収されたラジェドールが一緒に上がって行くようなレース展開。6号のハードル障害でサクセスエースがアコルドエールを捉えて先頭に替わると、その動きにネビーイームは付いていく戦法を選択。そこにロードトゥフェイムらがワンテンポ待っての差し込みという形になった。今回ある程度穴馬として支持されそうなネビーイームに先着した経験があるのは魅力的であるが、タイプとしては向こうの方が距離の融通は効くタイプに思える。せめてホウオウヴォーヌには先着をして欲しかったと思ってしまう内容であったが、ポジション取りの良化が叶った点についてはポジティブに考えたい。
・前走 2024年6月22日 東京3110m 東京JS8着
(レース回顧)
レースとしては内枠3頭(ダイシンクローバー、ホッコーメヴィウス、ジューンベロシティ)が競り合う中でまず引いたのはダイシンクローバー。そして2つ目の障害でホッコーメヴィウスが落馬してしまい、少し空馬に絡まれてジューンベロシティのペースはグッと落としてしまう形に。序盤で脚を使ったのにも関わらず、思うようにリードを取れなかったのは誤算のように思えた。ロードトゥフェイム自身は坂口騎手に手替わりしての重賞挑戦となったが、押さないとポジションを取りに行けない馬にも関わらず、出たなりに進めてしまって後方3番手からの競馬となってしまった。結果としては、最初のポジショニングで全て決まってしまった形でありました。ただ、直線部分でじんわりと脚を使っての8着とまずまずの内容であったが、まだ一線級とやり合うのには実力が不足しているように思えた。その他特に見どころは無し。
以上が出走全頭の近5走の解説となります。
長々となりましたが気になる馬のところへ「目次」の部分から飛んで頂ければと思います。
今回の(中山大障害)展開予想
ここからは今回の話については触れていきます。
今回はビレッジイーグルが不在により、ニシノデイジーが一気にペースを上げるであろうタイミングを読むのがなかなかに難しいのが1つポイントであると見ていて、まず枠の並びとナチュラルスピードからジューンベロシティは前目に押し出されそうに思う。昨年の中山大障害でもそのような形になったものの、西谷騎手はハナを切る形を良しとはしなかったような乗り方に。しかし、今年は高田潤騎手に手替わりしており、前走や2走前のように高田騎手はこの馬を前付けさせてスピードの持続力を活かすような乗り方を展開しているだけにそのまま行かせる選択肢はあると見ている。もし、ジューンベロシティがそのままハナに立った場合はニシノデイジーが動くのはいつも通り大竹柵障害部分になるとは思うものの、例年のビレッジイーグルよりかは遥かに強い相手に競りかけに行くだけにすんなり高田騎手が譲るように思えずニシノデイジーが苦しくなる展開も想定したい。ただ、高田騎手がニシノデイジーにすんなり譲る意思があるのであれば今年の中山GJのような展開になる可能性はゼロではない。しかし、ナチュラルスピードで例年より馬群が縦長になるようなことは起こらなさそうに思えるだけに、五十嵐騎手も仕掛けところが難しくなりそうにも思えるが。
次にポイントとして見たいのが、マイネルグロンとエコロデュエルのゲート周りの対応である。実は、エコロデュエルはあの武器用さとは裏腹にある程度ゲートは決めるタイプであり、それに対しマイネルグロンはあまり初速が速いタイプではない。流石に今年の中山GJの行き脚については、何かアクシデントが最初から起こっていたと思わざるを得ないほどの行き脚の付かなさであったが、万全だったとしても両者が馬也のまま1つ目の飛越まで挑むと仮定するのであれば、エコロデュエルの方が前に出ていたようにも思える。この推測とは裏腹に、石神騎手としては飛越でごちゃつくであろうエコロデュエルの後ろだけには入りたくないという意思を持っていそうでこのゲートから1つ目の障害までのアプローチにかなりの強い意識を持っている可能性が高いのではと個人的には考えている。エコロデュエルは草野騎手であれば、GJの際の小野寺騎手よりもポジションを求めに行くような競馬はさせないのではと思いつつも、マイネルグロンを潰しに行くのであれば強引にでも1つ目の障害部分で前に出たいという考えを持ってもおかしくはない。この両者の考え方がどのような隊列を生み出すかは非常に注視してみたい所だ。
今回の私の予想としては、ジューンベロシティは大竹柵障害部分より前の地点まででニシノデイジーが前に出るのを良しとさせそうなスタイルを取ってくるのではないかと予想しており、隊列としては意外と広がりすぎない感じを想定して組んでみた。そして、内2頭のポジション争いに関しては石神騎手のポジション意識の強さの方を上に取ってマイネルグロン→エコロデュエルというような隊列順になることを想定して予想を立ててみた。
予想印
◎1、マイネルグロン
◯5、ジューンベロシティ
▲2、エコロデュエル
△8、ニシノデイジー
見解
「王者の秒針は再び動き出す」ことを信じて◎1、マイネルグロンに本命を打ってみたい。屈腱炎からこの短期間で良くぞ戻ってきてくれたとまず称賛の言葉をかけてあげたい。昨年度の中山大障害でのパフォーマンスレベルはオジュウチョウサンのレースを見た際に感じたほどの「制圧感」が感じ取られ、歴史的ジャンパーになることが確実であると確信した破格の内容であった。そんな特別な馬を脚元をはじめとする状態面に不安があるのであれば、使わないのが普通である。実際に、青木調教師からは脚元の状態は良好であると何度もコメントが出されており、石神騎手に関しても心配している雰囲気が感じ取れないほどの自信の表れようのコメントであった。レースとしては、序盤のジューンベロシティがハナ、外からニシノデイジーが見ながら進めるという競馬パターンを最内枠からじっくり見て運ぶような競馬を選択しそうで、石神騎手なら3番手インになるべく近い位置からの競馬を希望するのではないかと見ている。もし、そのポジション取りが叶わない場合はペースとしては流れて欲しい部類の馬であるだけに、ニシノデイジーがどれほど離してリードを取るのかは1つこの馬にとってもポイントとなりそう。ただ、本来の力を取り戻せているのであれば、機動性がある馬なだけに1つ目の大障害コースまでのアプローチは様々な選択肢があるように思える。エコロデュエルを前に置く場合では、必ず内ラチ沿いを通り続けるような競馬を向こうは出来ないであろうことからそのスペースを突ける可能性もあり、大障害コースの入り口はその最大のポイントになりそうではある。エコロデュエルより前に行けた際は言わずもがな。その場合はいつでも外に出せる条件下に居そうであることから、枠の利点を最大限活かせるような展開になりそうである。ただ、これは全て中山大障害の際のデキの9割ほどが戻っていると仮定した場合である。ここで、今回の中間過程を振り返っていきたい。11/3に平地戦を叩かれた後は放牧に出されてちょうど1ヶ月前ほどに帰厩。障害練習と併用しながらの追い切りとはなったものの、時計になる部分で本数としては「計7本」とかなりの調教量となっている。時計としては、日曜追いとなった12/8がなかなか時計が詰まってこないような追い切りになってしまったものの、その3日後の1週前追い切りではしっかりと時計を詰めており、中山GJ出走時よりも好時計をマークしている。実際に、この間には気持ちを乗せるためにメンコを外して追い切るなど、陣営としてもかなり工夫を加えての追い切り消化。その工夫がしっかりプラスに働いた上でのこの時計であると見ているだけに、状態面としてはかなり良いのではないかと個人的には判断している。当週については本当に息を整えるのみの調整にはなったものの、動きや息遣いに関しても騎手、調教師ともに満足いってそうでしたから今回はこのお二人の感覚を信じてみたいと思っている。中山大障害→阪神スプリングJS→中山GJという王道ローテを全てで高レベルのパフォーマンスを披露したことからも、春はかなり負担がかかっていたように思えるだけに、今回の方がむしろ状態面としては良い可能性まで考えたい。そもそも力が伴っていれば、ここでは抜けた存在であることからもここは軸馬として信頼してみたい。確かに春で王者の時計は止まることを知った。ただ、音楽においても「休符」というものがあるように、どんなに優れた音楽でも時間を止める場面は生まれる。それでも「良い音楽」と評されるのは「休む時間が良いアクセントに繋がるから」であろう。マイネルグロンに関しても、一度は王者の時計が止まってしまった。ただ、今回の中山大障害で「王者の秒針は再び動き出す」。その瞬間を待ちたい。
そしてそこに対抗するのがコツコツと打倒マイネルグロンを掲げて力を付けてきた◯5、ジューンベロシティの存在である。展開予想の部分で触れたように、ナチュラルスピードから序盤はハナに立ちそうなものの、ニシノデイジーとわざわざやり合うようなメリットも無いだけに、一歩引いた地点からあまり差を付けられ過ぎないような競馬を組み立ててくるのではないかと予想している。昨年の中山大障害は押し出されるような形で前に出てしまうも、ビレッジイーグルがハナに立つまでにモタモタしていることから水濠障害部分までハナを譲ることは叶わず。そこからポジションをどんどん悪くしてしまったことからも、不完全燃焼な形の競馬に終わってしまった。また、レース後のコメントで「赤レンガの障害で脚をぶつけて脚が痺れてしまい、仕掛けに反応出来ていなかった」とのコメントが出ていたように、敗因はハッキリとしている。また、東京のスピード競馬でこれほどのパフォーマンスを披露しているのにも関わらず、西谷騎手によるとスタミナはタップリあるタイプの馬であることが強調されており、実際にその言葉通りに春の中山GJではイロゴトシに次ぐ2着と大障害コースに対しても無難な対応を見せた。コースレイアウトや馬場の感じからも、今回の大障害コースが中山GJほどの適性があるのかというのは少し疑問が残るものの、ジューンベロシティ自身もこの1年間で飛躍的に実力がアップしている存在であり、その面から舞台設定を相殺出来る可能性まで考えてみたい。高田騎手のトーンもかなり高いようなのでこの勢いのまま悲願の初G1制覇に向けて是非とも頑張って貰いたい存在だ。
今回の大障害において評価を凄く悩んだのが▲2、エコロデュエルと△8、ニシノデイジーの存在である。まずは、エコロデュエルの方から話していきたい。前走の東京HJはスピード競馬に対する適性を懐疑的に見ていたことからも無印評価としていたのだが、その心配を跳ね除けての2着に好走。ジューンベロシティとオールザワールドの馬連を持っていただけに馬券を破壊される形になってしまったのだが、2周目の向こう正面部分からあそこまでのロングスパートをかけながら、直線部分ではオールザワールドをねじ伏せた内容はハッキリと強かったというのが第一印象としては強かった。この内容から間違いなく距離が伸びた方が良い!のは間違いないのですが…この馬としてはビレッジイーグルが居なくなったことでレースが流れずに居ると飛越のクオリティーから終い勝負で負けてしまうのではないかという懸念が個人的には拭いきれなかった。やはりペースとしては出来る限り流れて欲しく、ジューンベロシティが終いでしんどくなるようなレース質の方が台頭の可能性が高くなるのは無いかと見ている。そのペースの鍵を握るニシノデイジーをその下の評価としているのは、この考え方に通じるものがあるからだ。
今度はそのニシノデイジーについて説明していきたい。ビレッジイーグルが居ないことにより、前半から馬群としてはさほど開かないような展開を予想しているが、その塩梅を決めるのは全てこのニシノデイジー×五十嵐騎手のコンビである。過去の大障害コースではビレッジイーグルのインを突くあの技を繰り出すことによって、馬群を縦長にしながら自身はリードを広げて行くという戦法が取りやすかったが、今年は交わす相手がおそらくジューンベロシティであることを考えると、どこまで強気に行けるかというのは少し不安に感じる部分がある。ここで強気に行けるのであれば、頭まであって良いとは思うが、ジューンベロシティはある程度射程圏内にしながら追走を試みたいはずで、さほどリードは取れないと見る。それだけジューンベロシティの能力を尊重しての予想を立てているが、逆に考えるとニシノデイジーがジューンベロシティが追走を躊躇するようなレース質に仕立ててしまえば残る可能性が生まれるのだ。この動きを戦前から読むのはなかなかに難しいが、個人的には思ったより難しい競馬になるのではないかという推測を立てている。逆の展開になれば、予想は崩壊してしまうが仕方ないだろう。
以上が4強についての見解となります。
他に食い込みを期待出来る馬は居ないと見ていますが、4、ネビーイームは今年の追走スピードなら追走が楽にならないかと思うところはある。前走後の小坂騎手のコメントから「完歩が合っていない」との話が出ながらもアサクサゲンキの2着まで走った能力は評価したく、ブリンカーの効果も効いているように思うだけに評価したくなる。ただ飛越のクオリティーはさほど高い馬ではないだけに今回も飛越で遅れを取る可能性は考えたい。そうなると、4強とは力量差を感じざるを得ない。
その他はちょっと検討の余地すら感じないように思ってしまう…。ヴェイルネビュラは近5走解説の部分でも触れたように距離が伸びるのは決して歓迎出来ないタイプの馬であり、ロードトゥフェイムはそもそも中山の適性が怪しいと見ている。また、ここに向かうまでの二転三転した流れもあまり歓迎出来るものとは言えないだけに少し厳しさを感じてしまう。本調子ならダイシンクローバーに期待したくなるのだが、流石に4強のうちの最低2頭に先着して見せるのには加齢によるフィジカル面の低下から難しそうに思える。テイエムタツマキは固定障害自体は良さそうに思うものの、大障害コースで田村騎手を買うのはちょっと気が引けるし、そもそも能力が大分足りなさそうである。
以上が出走全頭の見解となります。
ということで最後に買い目の方に移ります。
買い目
馬連フォーメーション
1 - 2、5、8 (3点)
買い目に関して至ってシンプルに行きます。
当然ながら配分としてはジューンベロシティ>エコロデュエル>ニシノデイジーとなりますが。
これでも回収率200%は狙えそうなだけに十分理にかなった買い方であるように思っております。
※買い目の方は参考程度までに宜しくです。
ということで長々となりましたが締めます。
制作時間2日+13時間強と私としてはかなり力を入れてこちらのnoteの方を書かせて頂きました。
それほど皆さんに障害競争を好きになって貰いたい、馬券を買って頂きたいという願いからです。
私のフォロワーさんは障害競争好きの方ばかりではないだけに、今回の機会に是非とも楽しんで頂ければ、そしてその楽しむためのツールとしてこちらのnoteを使用して頂ければと思っています。
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なお、本日の阪神カップのnoteも公開中です🙆
こちらは良い穴馬を見つけています!
中山大障害の後も是非ともお楽しみください!
ここまでご覧頂き本当にありがとうございました