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無駄になった教員免許

地方国立大学の教育学部を卒業し、現在は中小ゼネコンの営業をしている。もちろん教員免許も取った。10年ごとに更新すればずっと使えるのだと思ってたら、教育にかかわる仕事じゃない限り更新できないらしい。もったいないなあと思うが、まあこれはこれでよかったのかな。


教育学部に進学したきっかけは、教員免許が欲しかったからに他ならない。金銭的な都合から地元での進学を余儀なくされた僕にとって、学部なんてどこでもよかったのだ。ただ、何の収穫もなく4年間を過ごすのが嫌で、大学でしか取れない資格(なるべく楽なやつ)を、と思いついたのが教員免許だった。安直。

ご存じの方も多いと思うが、教育学部から教員免許を取得することは簡単である。基本的に必修授業を受けるだけで取得できる。授業によってはテストや実践もあるが、理系学生ほど自主勉強が必要なこともない(取りたい科目にもよるが)。必要な能力を強いて言うなら、実習先で子どもと会話するコミュ力と人前で授業をする度胸くらい。極端にコミュ力がない人間はキツい。授業もグループワークが多いので地獄。


教師になる夢がない僕でも、授業を受ければ興味もわくし、実習もキツかったけど楽しかった。子どもたちと一緒に勉強する時間も悪くなかった。ただ、過労問題や、不祥事のニュースを見ていると、やっぱり教師になんてなろうと思えんわな。そんな社会問題に一石を投じられるほどの学もないし経験もないが。

「教師として働く大変さ」を負担に感じたのも理由のひとつだが、教育学部という環境も大きな原因だったと最近思う。なにせ教育に夢と熱意を持っている人間が多すぎる。とんだクレーマーであることは重々承知しているが、やっぱりその熱に圧倒されるというか、波長が合わないというか。自分は教師に向いてないんだなあと実感させられた。

これ、僕が赤の他人なら、「学部内で浮いたって関係ないだろ、自分のやりたいことを大事にしろよ!」って怒ると思う。実際その通り。でも、熱意っていろんなものを見失わせると思うんですよね。仕事の大変さとか、他の仕事の魅力とか、自分の向き不向きとか。



そういういろんな不安から目を背けた結果、教員免許をなんて必要ない、建築会社の営業マンになった。教師になる未来もあったとしたら、どんな人生になっていたかなあ。一般企業での社会人生活を割と楽しめてるので、後悔はまったくないけど。

教員を目指すみなさん、頑張って下さい。僕にもし将来子どもができたら、ぜひ教えてあげてください。ちゃんと先生の言うこと聞く子に育てておきます。

あ、でももし今僕と同じように、教師になるかどうか悩んでいる人がいるなら、もっといろんな仕事を見てみるといいと思います。教員免許なんて、無駄にしたってどうってことないよ。

追記:なんと教員免許の10年更新制が撤廃されたらしいです(詳しくは知りませんが)。やっぱり人手不足なんですかね。無駄にならないみたいでシンプルに嬉しい。

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